阪神・淡路大震災教訓情報資料集【02】民間住宅の再建・供給

教訓情報資料集

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  • 4.第3期以降も続く課題(地震発生後6ヵ月以降)
    • 4-01.生活の再建
      • 【02】民間住宅の再建・供給
        • 01.民間の住宅建設は戸数としては順調に進んだものの、社会経済的状況による格差がみられた。
          • 01) 個人の持家を中心に95年6月から前年同月を上回る住宅着工が始まり、続いて公営住宅や民間マンションの大量建設が始まった。96年6月から9月までの4ヶ月間は、消費税の引き上げを見込んだ駆け込み建築も多かったとの見方もある。
          • 02) 大阪に近い阪神地域や神戸市東部の市街地では活発に住宅建設が進んだが、神戸市西部では、民間賃貸住宅の再建が進んでいない。
          • 03) 民間住宅等の再建支援策として、神戸・復興住宅メッセや総合住宅相談所等の情報提供・人的支援、融資面での支援、復興基金による利子補給・家賃補助等の様々な対策が講じられた。□
          • 04) 神戸市の民間分譲・賃貸住宅は、他地域で大量・安価なマンションが供給されたことや、震災によるイメージダウンなどにより、競争力が低下している。□
          • 05) 被災地の住宅供給は、2002年には供給過剰の様相が色濃くなった。☆
          • 06) 民間によるコレクティブ・ハウジングの整備を支援する補助事業は、有効に活用されていないという指摘がある。▼
        • 02.民間賃貸住宅には空き家が出るなどの状況も発生。再建された民間賃貸住宅の家賃は従前に比べて高騰し、被災者、再建家主双方にとって厳しい状況となった。
          • 01) 震災から2年半を経過して、民間賃貸住宅は過剰感もあって空き家も目立ち、再建した家主には厳しい状況にあることが指摘された。
          • 02) 新築・再建された民間賃貸住宅の家賃は、大きな被害を受けた文化住宅や長屋の家賃に比べて高騰した。単身世帯、高齢世帯で家賃の負担が難しい世帯に対しては家賃負担の軽減策がとられることとなった。
          • 03) 民間賃貸マンションも供給過剰となって入居率・賃料が低下。市場が正常化するためには10年かかるとの指摘もある。
        • 03.様々な要因で再建が遅れている住宅があり、それらの再建は困難をきわめている。
          • 01) 一般に被災の程度が大きい区域ほど復旧も遅れた。震災後2年を経て再建はペースダウンし、再建困難なものが取り残されている。
          • 02) 住宅再建の立ち遅れの要因として、区画整理・区分所有・建築規制などのために再建が大幅に遅れているケース、権利関係の紛争から難航している事例、資金関係などがあげられた。
          • 03) 神戸市民意識調査からは、すまい再建を困難にするもっとも大きな要因が経済的な問題であり、さらに、すまいが再建、確保された後でも家賃やローンの問題が生活レベルに大きく影響しているとみられる。□
          • 04) 個人の住宅の再建段階においては、再建資金、法的規制等による様々な問題が生じたほか、再建後もローン返済、画一的なまちなみなどの問題が、将来にも影響を残すであろうと指摘されている。□
        • 04.マンションの再建は当初様々な困難が予想されたが、震災後2年で再建されたか再建に向けて動き出したマンションは9割に上った。
          • 01) 当初復興に伴うトラブル、困難さが報道されたが、被災マンション172地区のうち、99年5月末現在で再建方針が定まらない地区は4地区(2.3%)となっている。
          • 02) 事業着手に至る期間には2年ほども開きが生じ、管理組合の体制づくり、専門家の参加などが問題解決のポイントと指摘された。
          • 03) マンション再建特有の問題があり、様々な支援制度やバックアップ体制がとられたが、さらに再建後の課題も指摘されている。□
          • 04) 民間マンションでは、区分所有法が曖昧な上、区分所有が複雑なため、建替、補修の選択等の過程で、所有者は多大な困難を抱える結果となった、という指摘がある。□
          • 05) 兵庫県住宅供給公社は、公社が事業主となる支援策を打ち出してマンション再建を積極支援したが、転出者の住宅や保留床の買い取りにより、大量の住宅取得が発生した。◎
          • 06) マンション再建をめぐる訴訟で、建て替え決議が無効とされる判決が出されているケースがある。▲
            • 05.各種住宅再建支援策が実施されたが、それでも再建できないケースも多く、共同化が重要な課題となった。
              • 01) 法的に個々の敷地単位で再建が困難なケースについては、敷地の共同化や街区単位での建物の協調化が必要となった。
              • 02) 相談窓口の設置、補助制度の震災特例によって共同再建が実現している。
              • 03) 共同化の困難さから、神戸市では土地の権利関係を変えない協調再建を促進する支援も行われた。
              • 04) 震災復興を通じ、共同化、協調建替に多様な共同事業の可能性が提起された。
              • 05) 神戸市では、98年までに99地区計4,318戸の共同化・協調化事業が実施され、大きな成果を上げた。□
              • 06) 共同再建の事業化までの過程では、制度適用のための時間的制約や、資金的制約などが大きな課題となったことが指摘されている。◎
              • 07) 住宅の共同化は、復興まちづくりの中でも重要な役割を果たしたという指摘がある。◎
                • 06.再建された建物には、違法建築、低質化などの問題が指摘されている。また、震災特例措置期限後の再建への措置、さらには将来の建替え等も今後の課題として指摘されている。
                  • 01) 再建を急ぐあまり、あるいは経済的な制約の中で、低質な住宅も建てられた。
                  • 02) 違法建築も行われたが、行政側の人手不足もあって対応が難しく、全国的な支援体制が求められた。
                  • 03) 臨時措置により救済された建物については、将来の建て替えも課題として残ることが指摘されている。
                  • 04) 被災後の官民の住宅供給は計画を大幅に上回ったが、その結果、マンション再建を支援した住宅供給公社の経営圧迫など、難しい問題を引き起こしているという指摘がある。□

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