阪神・淡路大震災教訓情報資料集【02】被災建築物の応急危険度判定

教訓情報資料集

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  • 1.第1期・初動対応(初動72時間を中心として)
    • 1-11.二次災害・被害拡大防止
      • 【02】被災建築物の応急危険度判定
        • 01.震災翌日から、他府県の応急危険度判定士の応援を受けて第1次危険度判定が実施された。対象は4階建て以上の建物で、神戸市では「使用禁止」の貼紙が貼られた。
          • 01) 第1次危険度判定は、判定に必要な資材、人員確保の問題から、急遽「使用禁止」等の札を用意し、目視により4階建て以上の共同住宅を対象として実施された。
          • 02) この判定活動は、被災自治体職員、建設省、住宅・都市整備公団、周辺県等および民間からの延べ1398名にのぼる支援を受けて行われ、22日まで実施された。
          • 03) 判定の結果、神戸市を中心に2,825棟の建築物に「使用禁止」の紙が貼られたが、判定内容の妥当性も課題となった。
        • 02.第2次判定は、共同住宅を対象に3段階の評価方法で行われた。実施にあたっては、建設省を中心とする「応急危険度判定支援本部」が設置され、35都道府県の技術者などが参加した。
          • 01) 第2次判定は、居住者の2次災害防止、避難者の早期帰宅を促すことを目的に、共同住宅を対象として「危険」「要注意」「調査済み」の3段階の判定が行われた。
          • 02) 第2次判定は1月22日から2月9日まで行われ、延べ5,068名により46,610棟が調査された。この活動の調整にあたっては、建設省が中心となって大阪府庁内に「応急危険度判定支援本部」が設置された。
        • 03.建設省の呼びかけに応じ、民間団体のボランティアによる「被災度判定体制支援会議」も発足し、地元行政機関および地元民間団体と協調しながら、巡回建築相談員として戸建住宅の危険度判定支援等を行った。
          • 01) 戸建住宅の応急危険度判定については、当初、県の依頼を受けた兵庫県下の建築関係民間団体などが対応していた。
          • 02) 建設省の呼びかけに応じて民間団体のボランティアによる「被災度判定体制支援会議」が発足、1月27日から2月末までに延べ5,564名が計30,935件の相談に応じた。
          • 03) 神戸市などでは、建築相談ボランティアセンターなどを設置し、ボランティアの調整などが行われた。
          • 04) 民間ボランティアによる判定では、3段階で表示される応急危険度判定の結果は表示されず、口頭で伝えられたことも多かった。
          • 05) 2月からは、兵庫県建築士事務所協会を窓口とする「住宅復旧相談センター」が開設され、神戸市と西宮市においてボランティア建築士の応援による応急診断や詳細診断、補修工事相談の業務が引き継がれた。
        • 04.応急危険度判定の趣旨が市民に十分理解されず、罹災証明発行のための被害調査と混同されたり、判定に関わる家主・借家人間の利害関係がトラブルとなるなどの問題があったが、被災者の間に安心を与えたという点では非常に有意義だった。
          • 01) 応急危険度判定の趣旨がPR不足もあり、罹災証明発行のための被害調査と混同された。
          • 02) 判定結果を行政命令と受け取られたために立入禁止命令に対する苦情が寄せられたり、家主と借家人の間などに利害関係のトラブルが生じたりした。
          • 03) 被災者ニーズとのギャップがあったことも指摘されたが、市民の間に安心を与えたという点では有意義だったとされている。
            • 05.交通手段がないために徒歩や自転車がほとんどで、判定作業は過酷なものとなり、トイレの問題も深刻だった。余震の続く被災地内を歩き回るため、判定士の安全確保、労務災害補償の問題も指摘された。
              • 01) 交通手段がないために、判定士は一日中徒歩あるいは自転車で被災地内を回ることとなった。トイレの問題も最も困ったもののひとつとされている。
              • 02) 余震の続く被災地内を歩き回るため、応急危険度判定には危険も伴っており、判定士の安全確保や労務災害補償の在り方についても課題とされた。
              • 03) 調査を実施する職員は、混乱する被災現場に入り厳しい対応を迫られた。☆

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