東日本大震災(平成23年3月)
家に入ったとたん庭先に津波~止めたはずの車が動く~
(名取市 50代 女性 農家)
ものすごい揺れで、畑の中で地面に突っ伏したまま動くこともできませんでした。地震がおさまってから収穫した野菜を車に積み、家にひとりでいるおばあちゃんが心配で、かなりのスピードで車を走らせました。
途中、木は倒れているし、道路には亀裂が入っているし「こりゃ、大変だ」と。
車を降りて家に入ったとたん、「え?エンジン切ったのになんで車が動くの」とびっくり。庭先にとめた車がプカプカと水の中を流れていきました。一生懸命運転していて、後ろから津波が来ているのにも気づかずにいたのです。
チリ地震津波が来るとか騒いでいた時も「津波はここまで来ないから、大丈夫」と言っていたおばあちゃん。「ばあちゃん、津波来た!」、「ここまで来ないよ」、「来ないじゃなくて、来たの!」という会話の後、おばあちゃんは腰が抜けたみたいになってしまい、後ろから腰を押して2階にあげました。
畑は津波で被災した空港の金網のそばでしたから、もう少し仕事をなんて思っていたら、津波にやられていたと思います。もしもおばあちゃんが家にいなかったら、私は畑にいて津波の犠牲になっていたかもしれません。「人を心配するのは、自分のためにもなるんだな」と思いました。
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