「マンホールに片足バコーン」

平成22年梅雨前線による大雨災害(平成22年7月)

マンホールに片足バコーン
~泥水で蓋が浮いているのに気づかず~

(山陽小野田市 30代 女性 看護師)

庭先に犬がいたのでつい声をかけると、飼い主さんが「実はこの犬、川が氾濫した時に流されたんだけど、泳いで帰ってきたんですよ」って。「偉いね」なんて話をしていると、そこの奥さんが出てきて、「ちょうど良かった。看護婦さんなら診てもらえる」と言いながら足を診せたのです。

足の付け根まで一本丸ごと、すごい内出血でした。「どうしたんですか?」って言ったら、「マンホールの蓋が浮いていたのに、泥水で見えなくて、落ちちゃった」と言うのです。「バコーンッと片足落ちて、『マンホールだ!』と思って自力ではい上がった」とも。表面上傷は無いけれど、ものすごく赤く腫れていて、ちょっと熱があるような感じだったので、足を冷やしてあげてから、病院に行くよう勧めました。

お母さんって、被災して片づけをしながらも、ちゃんと家族に3食食べさせなきゃいけないっていうことがあるから、気にはなるんだけど自分のことはさて置いて、という感じになっちゃうんですね。

痛かったと思いますよ、本当は。けど、耐えとったんよね。別れ際に、「ちょっと安心した」と、奥さん。そのひと言が心に残りました。

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