「避難勧告発令の難しさ」

平成21年7月中国・九州北部豪雨(平成21年7月)

避難勧告発令の難しさ
~空振り率上がれば勧告の価値下がる~

(宇部市 40代 男性 行政職員)

私は気象予報士ですが、水害が起こる前、例えば、3時間前にそこでこれだけの雨が降るって分っていたかのように言われることがありますが、実はある程度の範囲でその可能性があるとは分っていてもほんとにその場所に大雨が降るとはわからない場合がほとんどなんです。だから、ゲリラ豪雨のような局地的大雨の場合、早めに避難勧告※を出すことは、技術的にも非常に難しいのです。

マスコミや住民から「何で避難勧告を出さなかった」みたいに言われるからといって、「避難勧告もとにかくはやく半日前から出しときゃええやんか」みたいなことになれば、空振り率は95パーセント位になってしまいます。「何も起きないね」っていう状況が続き、勧告そのものの信頼性が下がります。

もちろん行政の責任として被害が予想される場合にきちんと避難勧告を出すことは大切ですが、それが必ずできるわけではない、つまり避難勧告を事前に出せない場合もあるということも分かってほしいなと思います。

避難勧告や避難指示※の意味、土砂災害警戒区域※の意味、大雨注意報や大雨警報の意味、注意報はあるけど警報がないものなど、自分や家族の命を守ることにつながる情報っていうのを繰り返し、かつ、体系的に学んでおくこと、特に自分で判断する力を身につけておくことがとても大事なことだと思いますね。

※避難勧告とは、その地域の居住者等を拘束するものではないが、居住者等がその「勧告」を尊重することを期待して、避難のための立退きを進め又は促す行為のこと。

※避難指示とは、被害の危険が目前に切迫している場合等に発せられ、「勧告」よりも拘束力が強く、居住者等を避難のため立ち退かせるための行為のこと。

※土砂災害警戒区域とは、土砂災害のおそれがある区域のこと。

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