特集 令和元年度 総合防災訓練
〈内閣府(防災担当)地方・訓練担当〉



9月1日の「防災の日」に、政府では、安倍内閣総理大臣や山本防災担当大臣の下、首都直下地震を想定した閣僚徒歩参集訓練及び政府本部運営訓練を総理大臣官邸で実施するとともに、千葉県船橋市で行われた九都県市合同防災訓練を被災地と見立てた現地調査訓練を実施しました。

特集 令和元年度 総合防災訓練

閣僚徒歩参集訓練及び政府本部運営訓練

大規模な自然災害が発生した際の初動対応を確認するため、安倍内閣総理大臣をはじめとする閣僚を対象とした、「閣僚徒歩参集訓練」及び「政府本部運営訓練」を実施しました。

午前7時頃に最大震度7、マグニチュード7.3の首都直下地震が発生し、総理大臣官邸周辺の道路の破損や渋滞などにより車両による参集が困難となる状況を想定して、閣僚が自宅や各省庁などから徒歩により官邸に参集する閣僚徒歩参集訓練を実施しました。当日は曇り空の下、閣僚は災害時の徒歩による参集ルートを確認しながら官邸へ参集しました。

閣僚などが参集後、政府本部運営訓練として、首都直下地震の発生時を想定した緊急災害対策本部会議と臨時の閣議を開催しました。緊急災害対策本部とは、極めて激甚な災害が発生した場合に、災害応急対策を推進するために、内閣総理大臣が災害対策基本法に基づき設置する組織です。なお、これまでに緊急災害対策本部を設置した災害は、平成23年3月11日に発生した東日本大震災のみです。

政府本部運営訓練に向かう安倍内閣総理大臣(官邸ホームページより)

政府本部運営訓練に向かう安倍内閣総理大臣(官邸ホームページより)

政府では、都心南部直下地震発生時には、内閣危機管理監をはじめとした緊急参集チームの協議、内閣官房長官の緊急記者会見による国民に対する周知、必要に応じて災害緊急事態の布告とこれに伴う緊急災害対策本部・緊急災害現地対策本部設置の閣議決定を行うこととしています。訓練では、そのような状況の想定の下、第1回緊急災害対策本部会議を開催しました。会議は、山本防災担当大臣の進行で行われ、冒頭に安倍内閣総理大臣から、人命最優先の方針の下、政府の総力をあげて取り組んでいくこと、被害状況を早急に把握し、被災自治体と緊密に連携して災害応急対策に全力で取り組むようにとの指示があった後、千葉県庁とのテレビ会議を実施しました。テレビ会議では、千葉県の森田知事から被害状況の報告と、救出・救助や医療救護の応援部隊の迅速な派遣、緊急輸送路の早期啓開などの要請があり、それに対し安倍内閣総理大臣は、全国から最大限の人員と資機材等を投入すること、早急に政府調査団を派遣し、自治体と一体となって対応に当たることなどを伝えました。その後、閣僚などから被害状況の報告、対応方針や対応状況の報告がなされ、会議の最後に、安倍内閣総理大臣から、被災自治体からの要請を待つことなく積極的に対処を進めるとともに、情報共有を徹底し政府一体となって迅速に対応すること等の指示がなされ、第1回緊急災害対策本部会議は終了しました。引き続き行われた臨時の閣議では、災害緊急事態が布告されたとの想定の下、閣議決定が必要な「災害緊急事態の対処に関する基本的な方針」を決定しました。

  • 徒歩で官邸に向かう山本防災担当大臣

    徒歩で官邸に向かう山本防災担当大臣

  • 政府本部運営訓練を行う安倍内閣総理大臣、山本防災担当大臣など閣僚等(官邸ホームページより)

    政府本部運営訓練を行う安倍内閣総理大臣、山本防災担当大臣など閣僚等
    (官邸ホームページより)

会議後、安倍内閣総理大臣は山本防災担当大臣の立会いの下、総理官邸の記者会見室において模擬会見を行いました。会見の様子は、テレビ中継を通じて、国民に対して国難ともいうべき事態に打ち克つための政府の対応状況や方針を伝えるとともに、安全な場所への避難など命を守る行動をとること、事態が落ち着くまで最寄りの安全な場所に待機すること、経済的・社会的混乱を最小限に抑えるため、食料品や生活必需品の買いだめ・買い急ぎを自粛すること、お互いに助け合い落ち着いて行動することなどの協力を呼びかけました。

  • 政府本部運営訓練で千葉県知事とテレビ会議を行う安倍内閣総理大臣、山本防災担当大臣など閣僚等

    政府本部運営訓練で千葉県知事とテレビ会議を行う安倍内閣総理大臣、
    山本防災担当大臣など閣僚等

  • 会見を通して国民に協力の呼びかけを行う安倍内閣総理大臣(官邸ホームページより)

    会見を通して国民に協力の呼びかけを行う安倍内閣総理大臣
    (官邸ホームページより)


九都県市合同防災訓練と連携した現地調査訓練

九都県市合同防災訓練は、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、横浜市、川崎市、千葉市、さいたま市及び相模原市の9つの地方公共団体によって合同で行われている防災訓練です。今年度は、千葉県北西部直下を震源とするマグニチュード7.3、最大震度6強の大地震が発生したとの想定で、千葉県船橋市の高瀬町運動広場、船橋東埠頭(京葉食品コンビナート南側岸壁)及び高瀬下水処理場管理棟などを会場として実施されました。政府では、この合同防災訓練と連携して、安倍内閣総理大臣による現地視察及び山本防災担当大臣を団長とする政府調査団による現地調査訓練を行いました。

安倍内閣総理大臣と山本防災担当大臣は、官邸での模擬会見終了後、ヘリコプターで都内から副会場の船橋東埠頭内に設置された臨時ヘリポートへ移動し、到着後、千葉海上保安部巡視艇と千葉市消防局消防艇による船舶火災消火訓練、海上保安庁、航空自衛隊や水上警察隊による海中転落者の捜索・救助訓練及び医療救護訓練等の海上訓練を視察しました。

海上放水訓練の様子

海上放水訓練の様子

次に、高瀬下水処理場管理棟に移動して、安倍内閣総理大臣が森田千葉県知事や松戸船橋市長とともに、ボランティアセンター運営訓練に参加しました。災害発生時にボランティアは欠くことのできない存在であり、被災地におけるボランティアセンターの役割は重要です。この訓練では、安倍内閣総理大臣、森田千葉県知事、松戸船橋市長がボランティアとして被災地に入ったとの想定の下、ボランティアセンターでの受付から、活動上の説明を受けるオリエンテーション、参加したいボランティア活動を選択するマッチング、活動資機材の借受けから返却までという、ボランティア任務が完了するまでの一連の流れを体験しました。ボランティアセンターの運営態勢の確認やスタッフとして訓練に参加した学生等の士気向上に一役買う形となりました。

ボランティアセンター運営訓練に参加する安倍内閣総理大臣(官邸ホームページより)

ボランティアセンター運営訓練に参加する安倍内閣総理大臣
(官邸ホームページより)

その後、主会場である高瀬町運動広場に移動し、仮設医療所の設営や応急救護などを行う医療救護訓練及び水消火器による消火訓練やロープ渡過訓練(綱渡り)などの体験を行う住民参加型訓練を視察しました。訓練では、地域住民の皆様が様々な訓練に真剣な眼差しで取り組んだり、笑顔で楽しみながら参加したりしている姿が見受けられました。

住民参加型訓練を視察する安倍内閣総理大臣と山本防災担当大臣

住民参加型訓練を視察する安倍内閣総理大臣と山本防災担当大臣

最後に、スタンドに移動し、国土交通省による道路啓開訓練、消防団による放水訓練、ヘリコプターによる吊り上げ救助訓練、地元消防局や緊急消防援助隊によるCSR(狭隘な空間における救助活動)による救助訓練、自衛隊や警察による倒壊建物からの救助訓練、そして救出された要救助者に対する救急隊や医療機関等によるトリアージと応急救護訓練など、多数の参加機関による実戦さながらの訓練を視察しました。

  • 中高層建物からの救出訓練の様子

    中高層建物からの救出訓練の様子

  • 埋没車両からの救出訓練の様子

    埋没車両からの救出訓練の様子

当日は、防災フェアも併設して実施されたことから、まだまだ夏空の厳しい暑さの中にもかかわらず、訓練会場には多くの人が訪れました。実際に災害対応に当たる防災機関にとっては、日頃の鍛錬や対策の成果を披露する場になったとともに、訓練に参加した一般の皆様にとっても、防災に関する意識の向上に繋がったのではないかと思います。「自らの命は自らが守る」、「地域で協働して地域の安全を守る」という意識を持ち、日常及び災害発生時において「自らが何をすべきか」、平素から、いざという時への備えをしっかりと整えておくことが大事です。政府においても、災害対策に万全を期してまいります。


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内閣府政策統括官(防災担当)

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