防災の動き



平成30年7月豪雨の教訓を活かして
大規模地震・津波災害応急対策対処方針の改定
〈内閣府(防災担当)災害緊急事態対処担当〉

1. 大規模地震・津波災害応急対策対処方針とは

大規模地震・津波災害応急対策対処方針とは、防災基本計画を踏まえ、大規模地震・津波災害(以下、大規模地震という。)が発生した際に、各防災関係機関がとるべき行動内容等を定めるものです。

大規模地震が発生し、その災害応急対策を推進するために緊急災害対策本部が設置された場合に適用されますが、相当程度の地震・津波災害により非常災害対策本部が設置された場合や、大規模地震以外の災害についても必要に応じて準用することとされています。

また、震源域や地震の規模、被害想定が明らかとなっている大規模地震については、具体的な応急対策活動に関する計画(以下、具体計画という。)を作成することとし、具体計画が作成されたときは、具体計画に記載されている応急対策活動については、具体計画に定めるところによるとされています。

本方針は、災害応急対策の目安として、発災から概ね1ヶ月程度のタイムライン(時系列の行動計画表)を定め、これを踏まえ、政府が実施する応急対策活動と関係機関の役割を示しています。

大規模地震・津波災害応急対策対処方針(応対方針)の概要


大規模地震・津波災害応急対策対処方針の改定について


2. 平成30年7月豪雨に係る初動対応の検証

平成30年7月豪雨について、政府は、災害対応に当たった職員の経験を今後の災害対応に活かすため、内閣官房副長官を座長とする「平成30年7月豪雨に係る初動対応検証チーム」を設置し、①避難所の状況把握及び物資調達・輸送、②がれき処理・土砂撤去、③給水支援・水道復旧、④住まいの確保、⑤自治体支援の5点に焦点を当てて検証作業を行い、その結果を「平成30年7月豪雨に係る初動対応検証レポート」として取りまとめました。

3. 7月豪雨の教訓を活かした大規模地震・津波災害応急対策対処方針の改定

「平成30年7月豪雨に係る初動対応検証レポート」で示された方向性を踏まえ、令和元年5月27日、中央防災会議幹事会において、大規模地震・津波災害応急対策対処方針が改定されました。その主な改定内容は次のとおりです。

(1)物資の調達
自治体の物資支援方針の早期策定に資することから、緊急災害対策本部は、速やかにプッシュ型支援の実施要否とその費用負担方法を決定することとしました。

(2)災害廃棄物等の処理
従来、廃棄物、がれき、土砂の処理は、各省ごとの支援制度に基づき個別に実施されてきましたが、7月豪雨では、国土交通省の事業(堆積土砂排除事業)と環境省の事業(災害廃棄物処理事業)を一体的に活用した制度により、市町村による一体的ながれき等の処理が円滑に進められたことから、国土交通省及び環境省は、まちなかの廃棄物、がれき、土砂を被災地方公共団体が一括撤去できる措置を講じることとしました。

また、自衛隊の活動により、生活圏からのがれき等の撤去が迅速に進められたことから、緊急災害対策本部及び現地対策本部は、生活圏からのがれきや土砂の撤去を迅速に進めるため、必要があるときは自衛隊等による撤去、運搬等を実施するための調整を行うこととしました。

(3)避難者支援
7月豪雨において、政府職員チームによる横断的な支援が早期の住まいの確保につながったことを踏まえ、応急仮設住宅等の提供にあたっては、被災地方公共団体は危機管理部局と福祉部局、土木部局等関係部局間で情報共有を行い、相互の連携をとることとし、政府現地対策本部、内閣府及び国土交通省は被災地方公共団体に対して必要な助言を行うこととしました。

また、被災者が避難所生活から早期に移行することができるよう、被災地方公共団体は、公営住宅や借り上げ型仮設住宅への入居申し込みを先行させることを基本とした上で、応急仮設住宅の建設が必要と認めるときは、建設戸数を柔軟に捉え、早期に建設に着手するよう努めることとしました。

(4)防災関係機関間の応援体制 の確保
7月豪雨で初めて適用した「被災市区町村応援職員確保システム」について、周知や受援体制の整備推進が課題とされたことから、同システムの活用を明文化しました。

4. 災害対応の改善に向けて

災害の経験を今後の災害対応に活かしていくことはきわめて重要であるため、今回の改定にとどまらず、今後も災害で得られた教訓等を基に、災害対応について不断の見直しを行い、改善策を速やかに具体化していきたいと考えております。





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