Disaster Management News―防災の動き

内閣府主催「首都直下地震時の災害ボランティア連携訓練」

平成26年12月11、12日の2日間にわたり、有明の丘基幹的広域防災拠点施設において、「首都直下地震時の災害ボランティア連携訓練」(内閣府主催)が開催されました。

有明の丘基幹的広域防災拠点施設において実施された「首都直下地震時の災害ボランティア連携訓練」に参加する災害ボランティア

(1)東日本大震災で認識された災害ボランティアに係る課題

広域かつ甚大な被害を前にして、被災地域における災害対応能力と被害の大きさにギャップが生じる状況において、被災地外から多くの人的支援がなされましたが、被災地域の受け入れ機能が著しく低下していたことなどもあり、被災地のニーズと支援側のリソースをマッチングして、支援を効果的に行うことは非常に困難な状況になりました。

◯行政(政府・地方自治体)とボランティアセクターとの連携に関する課題
・各地で様々なボランティア活動が行われたが、政府現地対策本部などでは、ボランティアセクターの窓口が明確ではなく、東日本大震災前に関わりのあった団体や個人との情報交換、調整のみとなった。
・被災地では、地元社会福祉協議会を中心として災害ボランティアセンターが設置され、個人ボランティアの受入れ体制は整えられたが、地方自治体と災害ボランティアセンターなどの連携は地域によって差が生じた。

○ボランティアセクター間の連携に関する課題
・NPO・NGO等など外部からの支援者と被災地の災害ボランティアセンターが、情報を共有できる環境を十分に整えることができなかった
・支援団体間の調整を担う組織や人材が不足していた
2つの課題のうち、ボランティアセクター間の連携に関する課題の解決に向けて、訓練モデルを作成することを目的に、平成25年度は、南海トラフ地震の被害が想定される高知県、静岡県にて、そして今年度は首都直下地震の被害が想定される東京において災害ボランティア連携訓練を実施しました。

(2)実施した訓練の概要

1話題提供「首都直下地震の被害の特性について」
加藤孝明氏(東京大学生産技術研究所 都市基盤安全工学国際研究センター)より、「東京湾北部地震(M7.3)」「多摩直下地震(M7.3)」「海溝型地震(M8.2)」「立川断層帯地震(7.4)」について被害想定を解説いただきました。また、地震被害想定はあくまで参考値であり、地震被害想定を参考にして地域の被害状況を精度高く描き出す努力が必要であるとの解説をいただきました。

2ワーク1「被害を理解する」
都心南部直下地震が発生したと想定し、首都圏全域をグループ分けしたうえで、①対象地域内で、交通規制対象道路をチェックし、白地図に記入 ②通行可能な道路を白地図に記入 ③全壊・焼失が激しい地域を白地図に記入し、この後実施する地域間連携、支援団体間連携をしやすくするために必要な「被害状況確認」を行いました。

3ワーク2「首都圏域の支援の方向性を共有する」
被災地内外の支援団体がどこに支援拠点(受け入れ拠点・後方拠点)を設置できるかを検討し、共有することを目的に、ワーク1で作成した白地図をもととして、被災地内の支援グループは「支援受け入れ拠点」を、被災地外の支援グループは「後方拠点」をどこに設置できるかグループで話し合いました。その際地域特性を考慮したうえでそれぞれの拠点の役割(ボランティアの中継拠点、宿泊機能、資器材の保管等々)も論議しました。

4ワーク3「情報共有、連携をイメージする」
都心南部直下地震が発生した際に、支援の中心となる「東京災害ボランティアセンター」では、都内の状況把握や支援調整、支援の受入れなどの対応に追われ、都内、都外周辺の状況が十分につかめないことが想定されます。そこで都内、関東圏の支援関係者を対象に「情報共有の場」=連絡会議を設置し、支援実施状況を共有することにより必要な調整を把握する機会を設けました。

(3)参加者の声

○成果
・地図・話題提供を元に、拠点の持ち方・考え方について、具体的にイメージ出来た。
・拠点を設定するには被害状況、道路状況、社会資源、カバーできるエリア等の具体的なイメージ、情報を持っていなければいけないということを学んだ。

◯課題
・首都圏域での被害は想定できたが、具体的支援に結びつけるには人口や範囲がとても大きく、イメージ化が難しかった。
・支援の方向性というより多岐ににわたる支援をどのようにつなげられるか、連携できる団体との平時からの調整が必要だと感じた。
・被災地が何を求めているのか、どこに支援団体があり、パートナーシップが組めそうなのかもう少し情報があると後方支援はやりやすいと思いました。

首都直下地震を想定した訓練を、白地図を使って行う参加者

広域大規模災害発生時には、様々な連携が必要となります。平時から検討を深めておくことが、災害発生時に有効であることが改めて、確認できました。
内閣府では、災害時におけるボランティアセクター間の連携、行政とボランティアセクターとの連携ができるよう環境整備を進めています。本訓練を含めて、参考となる資料を内閣府防災情報のホームページ「防災ボランティア」のページに掲載しています。ご覧ください。(http://www.bousai-vol.go.jp/別ウインドウで開きます

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