「楽しみながら、しっかり学ぶボウサイ」を始めよう! 第4回

阪神・淡路大震災の教訓や知恵を次の世代へ伝える

東日本大震災以降、防災教育の重要性はますます高まってきています。このページではNPO法人プラス・アーツが開発してきた、「子どもたちと楽しく防災を学ぶ」プログラムやツールの紹介と、活用現場のレポートを併せて掲載していきます。

●「楽しい」が子どもたちの学びの力となる「イザ!カエルキャラバン!」

「電車に乗ったら、車内の消火器を指して、3歳の娘が言うんです。『パパ、あの使い方知ってる?まず黄色いピンを抜いてね…』って。娘は一回しか体験していないのにすごいですね!」と、あるお父さんが話してくれました。娘さんが体験したのは、「水消火器で的あてゲーム」。「イザ!カエルキャラバン!」のプログラムの一つです。
「イザ!カエルキャラバン!」は、美術家の藤浩志氏が考案したおもちゃの物々交換プログラム「かえっこバザール」のシステムと、ゲーム感覚で楽しみながら消火・救出・救護などの知識や技を学べる「防災体験プログラム」を組み合わせたイベントです。
阪神・淡路大震災から10年目にあたる2005年にプラス・アーツが開発し、その防災体験プログラムの多くは、被災者の方々へのヒヤリングなどの調査をもとに考案され、被災地で本当に役立った“知識”や“技”を分かりやすく伝えるものとなっています。
しかし、冒頭で紹介した娘さんは「防災」を学びたいと思ったのではなく、おもちゃが欲しいから、楽しそうなゲームに参加してくれたのでしょう。それでも「楽しさ」が、彼女に正しい消火器の使い方をしっかり伝えてくれました。
これが「イザ!カエルキャラバン!」の最大の特長です。例えば、「○月×日、防災訓練実施します」と呼びかけてどのくらいの数の大人と子どもが集まるでしょうか?集まる人たちは毎回同じ顔ぶれということはないでしょうか?こうしたこれまでの防災訓練が抱えていた課題を解消したのが「楽しさ」です。「楽しさ」が子どもたちをひきつけ、そして災害時に地域を守る中心となってもらいたい若いファミリー層も巻き込む仕掛けとなっています。
地震大国・日本において、地震は「モシモ」ではなく、「イツモ」起こりうるものだという意識を持つことが重要であり、そのためには「防災」を日常に溶け込ませる工夫が必要です。その一つが「楽しさ」ではないかと私たちは考えています。一見すると異質なもののように思えますが、実は「楽しい」と「防災」はお互いの魅力を引き出すベストマッチングなのです。

子どもたちに大人気の「水消火器で的あてゲーム」

HPを今年リニューアルしました!
「イザ!カエルキャラバン!」は、全国21都道府県で計210回以上、また海外では10ヵ国以上で開催されています。こうした開催地のほとんどで、プラス・アーツが開催のためのノウハウをお伝えした地域団体や自治体、教育機関、企業などが主体となって実施しています。プログラムに興味を持たれた方、開催をご希望される方は、プログラムの詳細、開催スケジュールなどが掲載されているホームページをぜひご覧ください。
「イザ!カエルキャラバン!」ホームページ
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「楽しい」の現場──兵庫県神戸市

阪神・淡路大震災から20年目となった今年は、「イザ!カエルキャラバン!」が誕生してから10年目でもあり、この節目に、1月24日には「楽しく学ぶ!防災教育サミット」、翌25日には「イザ!美かえる大キャラバン!2015」を、兵庫県神戸市のJICA(国際協力機構)関西及び阪神・淡路大震災記念人と防災未来センターにて開催しました。
サミットには、インドネシア、タイ、チリといった海外での開催の中心的役割を果たしている方々を、また国内からは東京の地域団体、兵庫の学校、大手不動産企業という様々な主催団体の代表・担当者をお呼びし、お互いの開催報告や課題などを紹介し合いました。こうした事例紹介に先立って、各国や地域で生まれた防災プログラムの「ショーケース」を実施し、国内外の知恵と工夫がつまった防災教育プログラムを体験していただきました。
翌日には、23団体の協力のもと「イザ!カエルキャラバン!」を開催。「イザ!カエルキャラバン!」のレギュラープログラムの他、各団体オリジナルのプログラムも加わり、開催時間の3時間では回り切れないほど盛りだくさんのイベントとなりました。
「また来ます!」と言ってくださった方々の期待に、これからの10年も応えていきます!

東日本大震災の教訓から生まれたプログラムに、JICAの研修員も高い関心をもってくれました。

NPO法人プラス・アーツ www.plus-arts.net
教育/まちづくり/防災/福祉/環境/国際協力といった社会の既存の分野に対して、アート的な発想やアーティストの既成概念にとらわれない創造力を導入し、それぞれの分野が抱えている課題や問題を解消し、再活性化させることを活動目的に掲げる。

所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

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