防災 Q&A

Q:被災者の方に、臨床心理の専門知識がない私ができることはなんですか?

被災地のことを気にかけて忘れないこと、伝えたいという思いを受け取ることです。

東日本大震災から10か月の時間が経過し、被災地では仮設住宅の仮住まいに移るなどで、生活に一定の落ち着きが見られるようになりました。しかし、家族や一人の時間ができることで、あらためて震災と向き合い、大切な人、財産や思い出を失った悲しみを強く感じることもあります。
決して止まることなく進んでいく時間とともに、気持ちの折り合いをつけていきますが、その悲しみに終わりはありません。前向きに生きようとする気持ちと、つらい出来事が思い出されるたびに苦しくなることを繰り返します。
まちの復興や個人の生活再建に向けて地域が変化していくなかで、「悲しんでいる自分」を表に出すことが難しくなることがあります。私たちが被災者の心のケアのためにできることは、被災地や被災者のことを忘れないことです。社会の関心ごととしていつも被災地を話題にして気にかけることです。
社会が、悲しみに終わりがないことを理解し、いつだって「泣きたいとき泣ける」、「悲しみや寂しさを出せる」ように受け止めていくことが大切です。そして、今まで閉ざしていた気持ちや思いを、今だからこそ話せるという気持ちの変化も出てきます。
直接伝えたい、経験したことを残したいという気持ちを様々な活動で支援し、その思いを受け取ることも私たちにできる心のケアのひとつです。

イラスト:井塚 剛

危機管理教育研究所 危機管理アドバイザー 国崎 信江
くにざき・のぶえ
阪神・淡路大震災を機に、女性の視点を生かして自然災害から子どもを守るための研究を始める。防災・防犯関連の著作、講演のほか、内閣府・文部科学省など多くの防災関連の専門委員も務めている。

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