特集 想像力を高めて「もしも」に備える! 災害をイメージし、防災につながる行動へ【コンテンツ編】

[イメージトレーニング PART 1] -1/2-
カードゲームで災害対応を体験
防災シミュレーションゲーム「クロスロード」

災害時には、同時多発的に想定外の問題に直面する。ここでは、阪神・淡路大震災で実際に問題となった「災害対応のジレンマ」をカードゲーム化した「クロスロード」を紹介する。ルールは、問題カードに対し Yes か No か決めるだけ。シンプルなシミュレーションで防災の心を育むことができる。

震災の教訓を生かすために作られた「クロスロード」

 クロスロードとは、阪神・淡路大震災で、災害対応にあたった神戸市職員へのインタビューをもとに作成された、カードゲーム形式の防災教材。「大都市大震災軽減化特別プロジェクト」(文部科学省)の一環として、矢守克也氏(京都大学防災研究所准教授)、吉川肇子氏(慶應義塾大学商学部准教授)、網代剛氏(ゲームデザイナー)によって開発された。
 クロスロードの問題カードには、「3000人いる避難所で、2000食を確保した。この食糧を配るか配らないか」など、どちらを選んでも何らかの犠牲を払わなければならないような「ジレンマ」が多数ある。
 プレイヤーは、自分なりの理由を考え、苦心の末に「Yes」か「No」か、一つだけを選び、自分の前にカードを裏返して置く。合図で一斉にオープンし、多数派の人は、青座布団を獲得できる。一人だけの人がいる場合、その人は金座布団を獲得し、他のプレイヤーは何ももらえない。座布団の配当を終えたら、問題を全員で話し合ってみよう。
 その人が「Yes」または「No」を選んだ理由を聞くことで、多くの価値観や視点に出会うことができる。
 10枚のカードを終えたときに、一番多くの座布団を持っていた人が勝ちとなる。その場に座布団がない場合は、お菓子で代用することも可能。
 また、自主防災会などでは、地域独自の問題を作ってプレイするのもためになるだろう。
 クロスロードは、災害を自分の身に引き寄せて考えると同時に、他者のさまざまな考えを知ることができる、優れたゲームである。

クロスロードの進め方

【準備】
各テーブルに5人つき、各人が自己紹介をする

それぞれにカードを配り、ルール説明を行う

【ゲーム開始】
問題カードに対して各人がYesかNoを決め、「Yes」「No」カードを裏返してテーブルに置く

裏返して置いた「Yes」「No」のカードをオープンし、ルールに従って金・青の座布団を配布する

各人が「Yes」、「No」を選んだ理由を話し合う

次のカードへ

クロスロードのさまざまなルール

→「自分の意見をいいます」ルール
問題に対して、各人が「Yes」「No」を決め、決めたカードを自分の前に裏返して出す。一斉にカードをオープンし、多数派は青座布団を獲得。一人だけの人がいる場合は、金座布団を獲得。それ以外の人は座布団をもらうことはできない。
→「多数派予測ルール」
問題に対して「Yes」と「No」のどちらが多数派かを当てるルール。「Yes」と「No」のどちらが多数派かを想像し、そのカードを自分の前に裏返して出す。座布団配布のルールは、「自分の意見をいいます」ルールと同様。

クロスロードのカード

クロスロードのカード(商品には、紙座布団がついています)
問い合わせ先:京都大学生活協同組合(電話:075-771-7336)

カード その1 神戸編より
問題:あなたは食糧担当の職員です。
被災から数時間。避難所には3000人が避難しているとの確かな情報が得られた。現時点で確保できた食糧は2000食。以降の見通しは、今のところなし。まず2000食を配る?

YES 配る or NO 配らない

YES の意見

  • お年寄りや病気の方、子どもに先に配り、体力のある人は我慢すればよい。
  • 畑などがあるなら、そこから食糧を借りてきて、3000人分に増やしてから配る。
  • 先着順で食糧を配布し、配れなかった人には、「次回の食糧配布優先カード」を配る。

NO の意見

  • 行政には常に公平性が求められるので、全員分揃うまでは配ることができない。
  • この段階で食糧を配布するためには優先順位を決めなければならない。その基準をどこに置くかが難しい。
  • 誰かに先に配ると、どんな理由があるとしても必ず文句がでる。
  • 食糧が次回、何時に届くか分からない状態で、特定の人にだけ配ることはできない。

このカードは、実際に阪神・淡路大震災であった事実をゲームに応用したものである。行政の中には、「公平性」の面から「1人に1個、配れる数を確保するまで配布しない」と決めた結果、食糧を腐らせたところもあったという。老人と子どもにのみ先に配るという決断をした自治体もあった。

阪神・淡路大震災で、朝の配給食を受け取っている被災者(写真提供:時事)

さまざまな意見や価値観を共有し、決定に必要な情報や前提条件について理解を深めよう

  • 被災時の、食糧に関するルールを自治会や避難所ごとに定めておくとよい。
  • おにぎりやご飯は、鍋でおかゆにすることができるので、他の自治体から支援をも らうときには、そういったものを優先して送ってもらうとよいのでは?
  • 派生する問題として、避難所にこられない被災者への食料配布は、どのようにすれ ばよいのかを考える必要がある。
さまざまな意見や価値観を共有し、決定に必要な情報や前提条件について理解を深めよう

カード その2 市民編より
問題:あなたは川沿いの集落の住民です。
母(65歳)、妻、小学生の子ども2人の4人家族。激しい雨が降り続いている。今、洪水の危険があるとして集落に避難勧告が出たことを防災無線で知った。しかし、現在深夜12時。今すぐ、避難を始める?

YES すぐに避難する  or NO しばらく様子をみる

YES の意見

  • 深夜であっても、老人・婦人・子どもだけであっても、水が出る前に逃げるべきだと思う。堤防が切れると手遅れになる。
  • 後悔しないためにも、即避難。命を守ることが先決。
  • 高齢者と子どもとともに逃げるには時間がかかるので、早めに避難する方がいい。

NO の意見

  • 深夜で、しかも強風の中、子ども2人と老人を連れて歩くのはリスクが大きい。
  • マンションなので浸水の心配はないから、逆に逃げない方が安全な気がする。
  • 避難の途中で、浸水による被害にあう可能性がある。

この問題のポイントは、「深夜の避難」ということ。歩き慣れた道でも、膝下くらいの水がでているだけで様相は変わる。例えば、膝下くらいの浸水だったとしても、マンホールが流されていて、その中に落ちてしまうこともある。また、避難所へ行くための道が、浸水により危険な場合もあるかもしれない。事前に、安全な道を家族全員で確認しておくことが必要だ。

平成18年7月、大雨によって増水した熊本県の球磨川を心配そうに見る住民(写真提供:時事)

さまざまな意見や価値観を共有し、決定に必要な情報や前提条件について理解を深めよう

  • 日ごろから、家族で避難経路を確認しておけば、深夜で道が暗くても迷わずにすむ。
  • 浸水しない階に住んでいても、電気や水道・下水道が使用できなくなることもあるため、長く避難ができない可能性がある。
さまざまな意見や価値観を共有し、決定に必要な情報や前提条件について理解を深めよう

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