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令和5年版 防災白書|第1部 第1章 第1節 1-3 防災訓練・防災教育の取組


1-3 防災訓練・防災教育の取組

災害発生時には、国の行政機関、地方公共団体、その他の公共機関等の防災関係機関が一体となって、住民と連携した適切な対応をとることが求められることから、平時より関係機関が連携した訓練等、防災への取組を行うことが重要である。このため、防災関係機関は「災害対策基本法」、防災基本計画、その他の各種規程等に基づき、災害発生時の応急対策に関する検証・確認と住民の防災意識の高揚を目的として、防災訓練を実施することとされている。

令和4年度は、防災訓練実施に当たっての基本方針や政府における総合防災訓練等について定めた「令和4年度総合防災訓練大綱」(令和4年6月17日中央防災会議決定)に基づき、以下のような各種訓練を実施した。

(1)「防災の日」総合防災訓練

令和4年9月1日の「防災の日」に、地震発生直後を想定した政府本部運営訓練を新型コロナウイルス感染症対策に配慮して行った。まず、岸田内閣総理大臣を始めとする閣僚が徒歩で官邸に参集し、緊急災害対策本部会議の運営訓練を実施した。同会議では、大村愛知県知事とのテレビ会議を通じた被害状況や支援要請の把握、各閣僚からの被害・対応状況の報告、人命第一での対応方針の確認など、地方公共団体等と連携しながら、地震発生直後の応急対策の実施体制の確保、手順確認等を行った。会議終了後には、岸田内閣総理大臣が記者会見を行い、NHK中継を通じて国民へ命を守る行動をとるよう呼びかけるとともに、「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)」が発表されたこと、今後1週間は揺れを感じたら直ちに避難できるよう準備すること等について発信を行った。また、併せて緊急災害対策本部の設置、災害緊急事態の布告などに必要な手続に係る訓練も実施した。

また、同日に千葉県千葉市を主会場とする九都県市合同防災訓練が行われ、岸田内閣総理大臣や関係閣僚等が現地調査訓練として参加した。岸田内閣総理大臣は、消防、警察、自衛隊による救出救助訓練の視察、防災普及車(VR起震車)による地震体験、防災マップ作成の視察、段ボールベッドの間仕切りの設置の体験等を実施した。

政府本部運営訓練
政府本部運営訓練
九都県市合同防災訓練と連携した現地調査訓練
九都県市合同防災訓練と連携した現地調査訓練
出典:首相官邸ホームページ
(2)政府図上訓練

令和4年12月に首都直下地震を想定した緊急災害対策本部事務局運営訓練(内閣府(中央合同庁舎8号館))と緊急災害現地対策本部運営訓練(東京湾臨海部基幹的広域防災拠点(有明の丘地区))とを連動させて実施した。本訓練においては、関係府省庁職員や東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県の職員が参加し、訓練会場に参集した上で、実際の災害に近い状況を模擬した状況付与型訓練と、災害発生時に関係機関の連携を要する課題等について討議する討議型訓練を実施した。

首都直下地震を想定した緊急災害対策本部事務局運営訓練
首都直下地震を想定した緊急災害対策本部事務局運営訓練
南海トラフ地震を想定した緊急災害現地対策本部運営訓練(九州)
南海トラフ地震を想定した緊急災害現地対策本部運営訓練(九州)

地域ブロック毎の訓練では、被災が想定される府県等と連携し、南海トラフ地震を想定した緊急災害現地対策本部運営訓練を実施した。令和4年11月に近畿(大阪市)、同年12月に九州(熊本市)、令和5年2月に中部(名古屋市)において、現地に参集した上で、状況付与型訓練と討議型訓練を実施した。

これらの訓練によって、関係府省庁職員の知識・練度の向上や関係機関との連携の強化を図るとともに、これらの訓練を踏まえ、諸計画やマニュアルに規定された応急対策の有効性の検証を行った。

さらに、令和4年6月に物資調達・輸送調整等支援システム操作・物資拠点開設訓練を実施した。本訓練においては、関係府省庁職員、地方公共団体職員等が参加し、物資拠点の確認を行うとともに、オンラインで物資調達・輸送調整等支援システムを活用した支援物資の要請、配分等を実施した。

(3)防災教育の取組

全ての国民が災害から自らの命を守るためには、災害時に国民一人一人が適切な行動をとることができるようになることが極めて重要である。このため、こどもの頃から必要な防災知識や主体的な防災行動を身に付けることができるよう、実践的な防災教育を全国に展開していく必要がある。

このため、政府においては令和4年3月に閣議決定された「第3次学校安全の推進に関する計画」に基づき、

  • 全国全ての学校で地域の災害リスクや正常性バイアス等の必要な知識を教える実践的な防災教育や避難訓練を実施できるよう、発達段階を考慮した防災教育の手引きを新たに作成し周知する
  • 学校現場で活用しやすい教材やデータ等を作成し、その普及を図るとともに、特に幼児期からの防災教育については、家庭に向けた情報伝達・啓発を行うためのひな形も含めて幼児向けの教材を作成し、保護者及び幼児に対する防災教育の充実を図る
  • 実践的な避難訓練の実施状況や見直しの状況を始めとする全国の学校の防災教育に関する実施内容を定期的かつ具体的に調査し、主要な指標を設定し、その状況を公表する

などの取組を進めている。

令和4年度は、文部科学省において、小学校教員向けの防災教育の手引きを作成するとともに、内閣府においては、地域と学校が連携した防災教育の推進に係る手引きの作成を行った。


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