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平成29年版 防災白書|第1部 第1章 第2節 2-3 避難勧告等に関するガイドラインの改定について


2-3 避難勧告等に関するガイドラインの改定について

平成28年台風第10号による水害では、死者・行方不明者27人が発生する等、東北・北海道の各地で甚大な被害が発生した。とりわけ、岩手県岩泉町の高齢者施設では、適切な避難行動がとられなかったことにより、入所者9名全員が亡くなるなどの深刻な人的被害が発生した。

このような事態を踏まえ、内閣府は、関係省庁や防災・福祉等の関連分野の有識者等から成る「避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドラインに関する検討会」を設置し、避難に関する情報提供の改善方策等について検討を行い、平成28年12月に報告をとりまとめた。

(参照:https://www.bousai.go.jp/oukyu/hinankankoku/h28_hinankankoku_guideline/index.html

本報告においては、高齢者施設において避難準備情報の意味するところが伝わっておらず、適切な避難行動がとられなかったことなどが課題とされている。内閣府では「避難準備情報」の名称について、高齢者等が避難を開始する段階であることを明確にするなどの理由から、「避難準備・高齢者等避難開始」に、また、避難勧告と避難指示の差異が明確となるよう、「避難指示」の名称を「避難指示(緊急)」に変更した。

更に、内閣府では本報告を踏まえ、居住者及び高齢者施設の管理者が適切な避難行動をとれるよう、「避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドライン」を改定した(合わせてガイドラインの名称を「避難勧告等に関するガイドライン」に変更)。

ガイドラインの主な変更点としては、先述の避難情報の名称変更のほか、「避難勧告等を受け取る立場にたった情報提供の在り方」、「要配慮者の避難の実効性を高める方法」、「躊躇なく避難勧告等を発令するための市町村の体制構築」についての記載内容の充実や、各種参考事例の紹介などを行った(図表1-2-3)。

図表1-2-3 避難勧告等に関するガイドライン(平成29年1月改定)の主な変更点
図表1-2-3 避難勧告等に関するガイドライン(平成29年1月改定)の主な変更点
台風第10号に係る現地調査を行う松本内閣府特命担当大臣(防災)(岩手県岩泉町)
台風第10号に係る現地調査を行う松本内閣府特命担当大臣(防災)(岩手県岩泉町)
コラム:平成27年9月関東・東北豪雨における航空機による救助活動と航空安全

平成27年9月10日に発生した大雨による鬼怒川の堤防決壊に伴い、茨城県常総市をはじめとする多くの地域が冠水し、多数の孤立者が発生した。同日に茨城県、翌日に宮城県、栃木県から孤立者の救助等に係る災害派遣要請があり、それを受けて、自衛隊はヘリコプターやボートによる捜索・救助活動等を実施した。

ヘリコプターによる人命救助の様子
ヘリコプターによる人命救助の様子

被災地域の上空においては、警察、消防、海上保安庁、自衛隊等のヘリコプターが多数飛行していたが、多数のヘリコプターが集中することは、安全な捜索・救助活動等を阻害することとなる。このため、9月11日に陸上自衛隊が保有する着陸誘導装置(JTPN-P20)を「下妻H/P(ヘリポート)」に設置し、関係機関等のヘリコプター延べ374機の情報提供を実施した。

JTPN-P20による情報提供は、設置した下妻H/Pの北側にある管制区(宇都宮飛行場)以南及び南側の管制区(霞ヶ浦飛行場)以北の空域を担当し、下妻H/P中心に半径約9.3km以内、高度約900m以下の空域を飛行する航空機(羽田空港や成田空港などを離着陸する航空機など当該空域を飛行しない航空機は対象外)を情報提供対象とした。情報提供を行うために、関係航空機の飛行計画(フライトプラン)の把握や共通周波数による交通情報の共有化、細かいパイロットインテンション(パイロットの飛行に関する意向)の収集などを実施した。

また、霞ヶ浦飛行場を離陸する陸上自衛隊の捜索・救助活動等に従事するヘリコプターは、「谷田部ポイント」を通過するよう飛行統制を実施した。このポイントは、同飛行場を離陸して捜索救助空域へ飛行する際、最も早く位置通報点に到達可能な効率的な経路である。ここは、谷田部I.C.(インターチェンジ)の上空でもあり、民家等が少なく騒音にも配慮されている。結果、事故もなく、捜索・救助活動等を無事に終えることができた。

本災害派遣を通じ、発災時初期において、関係機関等の航空機が集中する中、安全な捜索・救助活動等を実施するための「具体的な要領を確立する必要がある」という教訓が得られたことから、平成28年3月、陸上自衛隊東部方面航空隊が中心となり、第1回立川ヘリコプター協議会を開催した。本協議会には、警察、消防、在日米陸空軍等も参加し、航空安全の確保と連携要領に関する認識を共有した。また、同年7月の第2回協議会では、民間事業者も加わり、南海トラフ地震発生時を想定したヘリコプター運用要領に関する認識の共有化も図っている。

災害が発生した際の関係機関との迅速な情報連絡が期待されることから、今後も必要に応じて開催することとしている。

着陸誘導装置(JTPN-P20)(監視レーダー、管制装置、通信装置などで構成され、車両での牽引が可能な移動用小型航空交通管制装置)
着陸誘導装置(JTPN-P20)(監視レーダー、管制装置、通信装置などで構成され、車両での牽引が可能な移動用小型航空交通管制装置)
着陸誘導装置(JTPN-P20)による管制範囲
着陸誘導装置(JTPN-P20)による管制範囲

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