平成29年版 防災白書|第1部 第1章 第2節 2-2 噴火時等の避難計画


2-2 噴火時等の避難計画

御嶽山噴火災害(平成26年9月)の教訓等を踏まえ、平成27年に改正された「活動火山対策特別措置法」により、火山災害警戒地域として指定された地方公共団体(23都道県、140市町村)に対し、噴火時等の避難計画を地域防災計画に位置付けることなどが義務付けられた。

噴火時等の避難計画について、内閣府は、これまで平成24年3月に「噴火時等の具体的で実践的な避難計画策定の手引き」を作成し、地方公共団体による策定を支援してきた。この手引きについて、火山学者、火山地域の自治体、登山・旅行の関係者等で構成された「噴火時等の避難計画の手引き作成委員会」における検討を経て、平成28年12月に御嶽山噴火災害の教訓等を踏まえた改定を行った(図表1-2-2)。

具体的には、火山防災協議会にて火山毎に検討することとなった避難計画を策定するための手引きとして整理するとともに、迅速な情報提供や避難誘導など登山者、観光客対策を充実させた。また、噴火警戒レベルがあらかじめ引き上げられる場合だけでなく、突発的に噴火する場合等も想定し、市町村、都道府県等、火山防災協議会の構成機関が取り組むべき対応事項について、活動主体を明確にして記載した。

図表1-2-2 避難計画の手引き(改定後)
図表1-2-2 避難計画の手引き(改定後)
コラム:避難計画の手引きに基づく噴火時等の避難計画策定支援

警戒避難体制の整備を義務付けられた地方公共団体では、具体的で実践的な避難計画の検討が必要である。しかし、火山噴火の規模や発生する現象、被害の特性は、火山毎に様々な違いがあり、また、噴火時の防災対応の経験を有する職員はごく一部に限られるため、地方公共団体のみで避難計画を検討・作成することは困難なことが多い。

そのため内閣府では、各火山地域が抱えている課題について調査を行い、有識者等の意見も踏まえて4つの検討テーマを設定し、平成28年度は17火山において、内閣府と地方公共団体が協働して課題に対応した避難計画を検討する取組を行った。

検討テーマ毎に、手引きなどを参考にしつつ、登山道などの立入規制を行う基準、市街地など多数の住民を避難させる方法、複数の火口や噴火シナリオに対応した避難計画、離島における島内・島外避難を行う手段等について、実際に内閣府職員が各火山地域に赴き、地方公共団体職員と合同で被害想定区域の現地調査や避難対象地区毎の避難経路や避難所の具体的な検討を実施した。

噴火時等における避難計画策定上の課題を協働で検討する取組を進めることにより、各火山地域における警戒避難体制の着実な整備が期待される。

コラム:避難計画の手引きに基づく噴火時等の避難計画策定支援

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