平成25年版 防災白書|第1部 第2章 2 平成24年7月九州北部豪雨


2 平成24年7月九州北部豪雨

2-1 災害の状況

7月11日から14日にかけて,本州付近に停滞した梅雨前線に向かって南から非常に湿った空気が流れ込み,九州北部を中心に大雨となった。

熊本県阿蘇市阿蘇乙姫では,7月11日0時から14日24時までに観測された最大1時間降水量が108.0ミリ,最大24時間降水量が507.5ミリとなり,それぞれ観測史上1位の値を更新した。この豪雨について,気象庁は「平成24年7月九州北部豪雨」と命名した。

この豪雨により,死者30名,行方不明者2名及び負傷者27名の人的被害が発生した。特に,熊本県阿蘇市では土砂災害等により21名の死者が発生した。また,住家被害としては,福岡県,熊本県及び大分県を中心とした18府県で,住家全壊363棟,住家半壊1,500棟,住家一部破損313棟,床上浸水3,298棟,床下浸水9,308棟等の被害が発生した。(一部7月1日からの大雨による被害を含む。)

避難指示は,4県で10万1,406世帯に,避難勧告は,8県で12万8,112世帯に出された。

土砂災害は,17府県で268件が発生した。

河川については,矢部川水系矢部川で堤防が決壊し,白川水系白川,菊池川水系合志川及び筑後川水系花月川等で護岸崩壊等が発生したほか,4水系6河川では計画高水位を,5水系11河川で氾濫危険水位を超え,各地で浸水被害等が多数発生した。

ライフライン関係については,九州北部を中心に中国地方及び四国地方と合わせて約5万4,000戸で停電が発生し,水道は福岡県,大分県及び熊本県で約1万1,584戸が断水した。通信関係では固定電話で障害が発生し,携帯電話基地局が停波した。

道路については,最大時で高速道路3路線,直轄国道6区間,県管理国道20区間及び県道155区間で通行止めとなった。

鉄道については,21路線で運転休止となった。

公共土木施設では,河川2,343箇所,砂防(急傾斜地含む)254箇所,道路(橋梁含む)1,896箇所,港湾3箇所,下水道8箇所及び公園17箇所で被害が発生した(7月10日~23日の梅雨前線に伴う豪雨による被害状況)。

農林水産施設等では,農地2万8,650箇所,農業用施設1万1,761箇所,林地荒廃1,500箇所,治山施設113箇所,林道施設5,325箇所,漁港施設18箇所及び漁業用施設4箇所等で被害が発生した(6月8日からの豪雨及び暴風雨による被害状況)。

文教施設等では,国立学校施設2校,公立学校施設82校,私立学校施設8校,社会教育・体育,文化施設等91施設,文化財等24件で被害が発生した。

社会福祉施設等では,102施設で被害が発生した。


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