(2)BCPに関する企業の取組と東日本大震災における状況


(2)BCPに関する企業の取組と東日本大震災における状況

内閣府では,全国の一般の企業全体を対象にした「企業の事業継続の取組に関する実態調査」を平成19年度から隔年で実施している。

企業におけるBCPの策定状況についてみると,平成23年度の調査では,BCPを「策定済み」とした企業と「策定中」とした企業を合わせると,その割合は,大企業では7割強,中堅企業では3割5分となっている。

大企業については,「策定を予定している」も加えると9割以上となり,東日本大震災を契機として,企業の事業継続に対する意識が高まったものと推察される。また,大企業・中堅企業ともに,「知らなかった」との回答が大幅減少しており,BCPの認知度が大きく向上していることがうかがえる。

これら調査結果から,大企業,中堅企業のそれぞれで,BCP策定への取組が着実に進められていることが明らかとなった。

図表1-2-15 大企業・中堅企業のBCPの策定状況 図表1-2-15 大企業・中堅企業のBCPの策定状況の図表

また,東日本大震災による重要業務の停止とその理由,再開までの時間を調査したところ,重要な事業が停止したと回答したのは約35%となっており,その理由として「停電」が約55%と最も高い割合となっている。一方,「自社の業務は再開したが取引先・納入元の業務の停止(資材の供給停止等)」が約26%,「自社の業務は再開したが取引先・納入先の業務の停止(顧客の工場停止等)」が約23%となっており,複雑化・広域化する製造業のサプライチェーンが大きな影響を受けたことが明らかとなった。

停止した重要業務の再開までに要した時間については,2〜3日以内に再開できた企業は3割以下で,再開までに1週間を超えた企業は5割超であり,多くの企業で1週間以上の事業中断が生じた。

図表1-2-16 東日本大震災における事業継続の状況 図表1-2-16 東日本大震災における事業継続の状況の図表

各企業のBCPで取り決めていた事業継続に関する項目については,東日本大震災において,「対策本部の設置・運用ルール」,「発災後の業務遂行に関するルール」,「情報システム関連施設の防災対策(データセンター等)」,「従業員の安否確認手順」,「重要情報の保護(電子データ,紙媒体)」が有効に機能したとの回答が多かった。

一方,改善が必要な項目は,「従業員の安否確認手順」,「事業継続に必要な物資の備蓄体制(原材料,燃料,食料等)」であった。

「改善」又は「追加」が必要な項目は,「重要拠点が被災した際の代替拠点の確保」,「重要拠点が被災した際の代替設備・手段の確保」,「非常用電源設備の確保」,「取引先の業務が停止した場合の代替調達先の確保」であった。

これらのことから,企業は,事業継続を確実にするためには,従来型の「早期復旧」戦略のみでは不十分であり,「代替」戦略を計画しておくことが必要と考えていることがわかる。

図表1-2-17 改善・追加の必要が生じた項目 図表1-2-17 改善・追加の必要が生じた項目の図表

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