4 霧島山(新燃岳)の噴火


4 霧島山(新燃岳)の噴火

(1)災害の状況

霧島山(新燃岳)では,平成23年1月26日から本格的なマグマ噴火が発生し,更に活動が活発になる可能性があることから,26日に火口周辺警報を発表し,噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)から3(入山規制)に引き上げた。1月27日以降爆発的噴火も発生するようになり,28日に上空から確認された直径数十メートルの溶岩は,30日には直径500m程度に成長し,今後の爆発的噴火に伴う火砕流の発生への警戒が必要になったほか,大きな噴石が火口から3km を超えて飛散している事例も確認されたことから,1月31日及び2月1日に火口周辺警報を発表し,噴火警戒レベル3(入山規制)を維持したまま,火砕流や大きな噴石に対する警戒範囲を順次拡大した。

1月26日以降,爆発的噴火は3月1日までに計13回発生し,噴火に伴う降灰が宮崎県高原町や鹿児島県霧島市等火口の南東側を中心に広い範囲で観測された。

この災害により,負傷者42名の人的被害が発生した。負傷者の多くは灰の除去作業中に誤ってはしご等から落下したものである。住家被害は発生していないが,こぶし大の噴石による太陽光パネルの破損,空振現象(爆発的噴火に伴い発生する空気の強い振動)による自動車ガラスの破損等の被害が約900件発生している。

避難勧告は,1,661世帯に出された。堆積した火山灰が,降雨により土石流を生じさせる可能性が高まっていることから,警戒が必要となる雨量の基準に達するおそれのある場合には,総合的な判断により,土石流避難勧告が出されている。

降灰により,露地野菜の一部収穫不能,収量や品質低下等の農林水産関係被害が,これまでに約12,000ha において生じている。

道路については,延べ高速道路1路線,県管理国道1区間及び県道6区間で通行止めが発生した。

公共土木施設では,道路1箇所で被害が発生した。

文教施設等では,国立学校施設2校,公立学校施設41校,私立学校施設1校,社会教育・体育及び文化施設等4施設で被害が発生した。

社会福祉施設では,11施設で被害が発生した。

(2)国等の対応状況

1月26日以降噴火活動が活発した新燃岳に対し的確な観測監視体制,被害状況の把握,避難体制の確立等を図るため,2月25日までに関係閣僚会議を2回,関係省庁連絡会議を3回開催した。

2月7日には住民の避難計画の作成等早急に講じるべき対策について地方公共団体の取組をサポートするため,新燃岳噴火に関する政府支援チームを派遣し,現地で開催されたコアメンバー会議において国と地方公共団体及び火山専門家等が一体となって検討を行い,避難計画策定に係るガイドライン等を作成した。

1月29日から同30日,2月11日から同12日及び5月27日から同28日に内閣府特命担当大臣(防災)が,1月29日に国土交通大臣が,2月27日に経済産業大臣が,それぞれ霧島山(新燃岳)の噴火に関する現地調査を実施した。

2月25日に,火山の噴火により住民等の身体・生命に被害が生じるおそれのある地域で,避難施設の整備を緊急に必要とする地域として高原町の大字蒲牟田の一部及び大字広原の一部の区域を避難施設緊急整備地域に,また降灰防除施設(空調施設等)の整備を必要とする地域として都城市,日南市,小林市,三股町及び高原町を降灰防除地域にそれぞれ指定した。

宮崎県は,1月30日に高原町に,2月10日に都城市に,それぞれ災害救助法を適用した。

各府省の対応は,参考資料18のとおり。

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内閣府政策統括官(防災担当)

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