3 鹿児島県奄美地方における大雨


3 鹿児島県奄美地方における大雨

(1)災害の状況

前線が奄美地方に停滞し,この前線に向かって南から湿った空気が流れ込み,大気の状態が不安定となった。

この影響で,奄美地方では1時間に120ミリ以上の猛烈な雨となった所がある。奄美市名瀬では10月18日の降り始めから21日までの降水量が766.5ミリに達した。また24時間の降水量は648ミリとなり観測史上1位を更新した。

この災害により,死者3名及び負傷者2名の人的被害が発生した。特に奄美市ではグループホームわだつみ苑において入所者2名が亡くなった。また,住家全壊10棟,住家半壊479棟,住家一部破損11棟,床上浸水119棟及び床下浸水767棟等の住家被害が発生した。

避難指示・勧告は,1,638世帯に出された。

土砂災害については,5市町で56件発生した。

ライフライン関係については,九州電力で延べ約2万5百戸が停電となったほか,上水道は約35百戸が断水した。通信関係では固定電話のアナログ回線,ISDN,ADSL 及び専用線が不通となり,携帯電話の基地局が停波した。

道路については,被災により,延べ県管理国道11区間及び県道23区間で通行止めが発生した。

公共土木施設では,河川121箇所,海岸3箇所,道路(橋梁含む)261箇所,下水道1箇所及び公園1箇所で被害が発生した。

農林水産施設等では,農地366箇所,農業用施設373箇所,林地荒廃22箇所,林道施設374箇所及び木材加工施設3箇所で被害が発生した。

文教施設等では,公立学校施設22校,社会教育・体育,文化施設等5施設及び文化財等1件で被害が発生した。

社会福祉施設では,8施設で被害が発生した。

(2)国等の対応状況

奄美地方で大雨の影響から電力の供給停止や通信の途絶が多数発生したことにより,住民等の安否,集落等の安全等について確認が困難となったことをかんがみて,内閣府及び災害対策関係省庁は情報収集体制を強化し,被害・対応状況の速やかな把握等を行った。

政府,鹿児島県及び被災市町村が一体となって災害応急対策に全力をあげるために,関係省庁災害対策会議を10月21日以降5回にわたり開催した。10月27日には,被災・対応状況の把握や,鹿児島県及び被災市町村が行う災害応急対策についての助言等を行うため,政府現地連絡対策室を設置した。また,10月30日に内閣府特命担当大臣(防災)が鹿児島県奄美地方における大雨に関する現地調査を実施した。

自衛隊は,鹿児島県知事からの災害派遣要請を受け,行方不明者の捜索・救助,孤立地域に対する住民の救助及び生活支援物資の輸送,給水支援,土砂の除去並びに関係行政機関等の人員等の輸送等を行った。

鹿児島県は,10月20日に奄美市,龍郷町及び大和村に,災害救助法を適用した。また,同日に奄美市及び龍郷町に被災者生活再建支援法に基づく支援金支給制度を適用した。

なお,この災害を「平成22年10月18日から同月25日までの間の豪雨による鹿児島県奄美市等の区域に係る災害についての激甚災害及びこれに対し適用すべき措置の指定に関する政令」(11月19日閣議決定,11月25日公布・施行)により激甚災害に指定し,公共土木施設災害復旧事業等に関する特別の財政援助及び農地等の災害復旧事業等に係る補助の特別措置等を適用した。

各府省の対応は,参考資料18のとおり。


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内閣府政策統括官(防災担当)

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