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3 平成21年以降に発生した主要な災害とその対策等 3−1 平成21年7月中国・九州北部豪雨



3 平成21年以降に発生した主要な災害とその対策等

平成21年は,特に風水害による被害が顕著であった。台風については,発生数は22個と平年より少なかったものの,平成21年7月中国・九州北部豪雨や台風第9号,台風第18号により,人的被害や住家被害などが発生した。地震については,8月に駿河湾を震源とする地震が発生し,最大で震度6弱を観測した。また,平成22年2月にはチリ中部沿岸を震源とする地震で発生した津波により水産関係で被害が発生した。林野火災による焼失面積は1,063haに達した。

表1−3−1 平成21年以降に発生した主な災害 表1−3−1 平成21年以降に発生した主な災害の表

3−1 平成21年7月中国・九州北部豪雨

(1)災害の状況

7月19日から21日にかけて,前線の活動が活発化し,山口県の防府では,1時間で72.5mm,24時間で275.0mmの雨を観測した。この3日間の総雨量では,7月の月間降水量平年値に相当する大雨が防府(332.0mm)と山口(294.5mm)で観測された。

また,7月24日から26日にかけて再び前線の活動が活発化し,1時間雨量の観測史上1位の値を長崎県壱岐市の芦辺(103.0mm),福岡県の篠栗(100.5mm)と飯塚(101.0mm)などで更新し,24時間雨量でも,広島県の東広島(215.5mm),福岡県の篠栗(326.5mm),飯塚(338.0mm),那珂川町の九千部山(333.0mm)などで観測史上1位の値を更新した。3日間の総雨量では,7月の月間降水量平年値の2倍に相当する雨が,福岡県の太宰府(618.0mm),飯塚(568.0mm)で観測した。

この災害により死者35名,負傷者59名の人的被害が発生した。特に山口県防府市では,土砂災害により特別養護老人ホームや同市下右田の国道262号線付近などで合計22名の死者が生じた。福岡県でも,県内各地で土砂災害や川・側溝で流されるなどにより,10名の死者が生じている。また,住家被害としては山口県と福岡県を中心とした22府県で,住家全壊52棟,住家半壊99棟,住家一部損壊231棟,床上浸水2,137棟,床下浸水9,727棟などの被害が発生したほか,226,594世帯に避難指示・勧告が出された。

土砂災害については,10県の66市町で435件発生した。

河川については,遠賀川水系笹尾川等3水系3河川で計画高水位を越えたほか,4水系7河川ではん濫危険水位(危険水位),7水系11河川で避難判断水位(特別警戒水位)を越え,各地で浸水被害等が発生した。

ライフライン関係においては,中国電力・九州電力管内で延べ約4万4,000戸が停電となったほか,都市ガスは山口県の65戸で一時供給に支障が生じ,上水道は,山口県,福岡県,長崎県などで約8万7,000戸が断水した。電気通信関係では,福岡県等において携帯電話基地局124局が停波した。放送関係では,山口県で中継局1局が停波した。

道路については,九州道の太宰府IC〜福岡IC間で,土砂崩れに伴う通行規制が行われるなど,最大時には,高速道路,国道,県道あわせて,中国地方では73区間,九州地方では37区間の通行止めが発生した。なお,通行止めとなった国道262号線の迂回車両への対応として,7月26日より山陽自動車道,中国自動車道の一部で無料通行措置が実施された。

鉄道では,32区間が運転中止となった。

公共土木施設では,河川2,158箇所,海岸1箇所,砂防111箇所,道路(橋梁含む)1,378箇所,港湾3施設,下水道2施設,公園11施設に被害が発生した。

農林水産関係では,農地6,168箇所,農業用施設等5,896箇所,林地荒廃718箇所,治山施設10箇所,林道施設1,571箇所に被害が発生した。

文教施設では,国立学校施設6校,公立学校施設121校,私立学校施設25校,社会教育・体育,文化施設等82施設,文化財等47件で被害が発生した。

社会福祉施設等では,124施設に被害が発生した。

(2)国等の対応状況

内閣官房や内閣府など関係省庁は情報収集体制を強化するとともに,防災担当大臣を団長とし,関係省庁からなる政府調査団を7月22日に山口県へ,27日には福岡県へ派遣した。この調査終了後には,災害対策関係省庁連絡会議を開催し,調査結果の報告と被害・対応状況の情報共有を行い,行方不明者の捜索救助に全力を挙げること,応急対策・復旧等に政府一丸となった対応を行うことなどを申し合わせ,対応にあたった。また,内閣総理大臣による山口県と福岡県の現地調査が7月29日に実施された。

自衛隊は,山口県知事,福岡県知事及び長崎県知事からの災害派遣要請を受け,捜索・救助活動(山口県防府市,福岡県篠栗町),給水支援活動(山口県山口市,福岡県宗像市,長崎県佐世保市),孤立者救助(福岡県那珂川町)などを行った。

山口県は7月21日を適用日として防府市と山口市に,福岡県は7月24日を適用日として飯塚市に災害救助法及び被災者生活再建支援法に基づく支援金支給制度を適用した。

なお,「平成21年6月9日から8月2日までの間の豪雨による災害についての激甚災害及びこれに対し適用すべき措置の指定に関する政令(平成21年8月25日閣議決定,平成21年8月28日公布・施行)」において激甚災害に指定し,農地等の災害復旧事業等に係る補助の特別措置等を適用した。また「平成21年等における特定地域に係る激甚災害及びこれに対し適用すべき措置の指定に関する政令(平成22年3月12日閣議決定,平成22年3月17日公布・施行)」において,島根県飯南町等について,公共土木施設災害復旧事業等に関する特別の財政援助等を適用した。

各府省の対応は, 附属資料3 のとおり。

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