3−2 平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震



3−2 平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震

(1)災害の状況

平成20年6月14日8時43分,岩手県内陸南部の深さ8kmでマグニチュード7.2の地震が発生し,岩手県奥州市,宮城県栗原市で震度6強,宮城県大崎市で震度6弱,岩手県北上市,一関市,金ヶ崎町,平泉町,宮城県加美町,涌谷町,登米市,美里町,名取市,仙台市,利府町,秋田県湯沢市,東成瀬村で震度5強を観測した。

この地震により,死者13名,行方不明者10名,負傷者451名,住家全壊30棟,住家半壊143棟,住家一部破損2,380棟の被害が発生したほか,合計で487人に避難勧告・指示が出され,最大時で322人が避難所に避難した。また,岩手県一関市厳美町地内には,災害対策基本法に基づく警戒区域の設定がなされた。

土砂災害については,岩手県,宮城県,秋田県及び福島県の6市で48件発生した。また,岩手・宮城県境の栗駒山周辺において15箇所の河道閉塞が発生した。

ライフライン関係においては,東北電力管内で最大29,005戸が停電となったほか,都市ガスについては,岩手県,宮城県及び秋田県内で1,944戸が供給停止,上水道については岩手県,宮城県,秋田県及び山形県内の5,560戸が断水した。また,電気通信関係では,岩手県及び宮城県内で119回線の電話が不通となったほか,携帯電話基地局13局が停波した。

道路については,県管理道路等22区間において法面崩壊や陥没等により通行規制が行われた。鉄道については,東北新幹線等で被害が発生し運休した。

公共土木施設では,河川34か所,砂防23施設,道路(橋梁を含む)669施設,下水道7施設,公園1施設に被害が発生した。

農林水産関係では,農地464か所,農業用施設等937か所,林地荒廃299か所,治山施設27か所,林道施設986か所,養殖施設10か所等で被害が発生した。

文教施設では,国立学校施設5校,公立学校施設256校,私立学校施設20校,社会教育・体育,文化施設等180施設,文化財等30件で被害が発生した。

社会福祉施設等では,116施設に被害が発生した。

(2)国等の対応状況

地震発生後直ちに,関係省庁の局長級職員からなる緊急参集チームをはじめ,防災担当者が官邸危機管理センターに参集し,警察,消防,自衛隊,海上保安庁,国土交通省などのヘリコプターからの映像等により迅速な情報収集を行うとともに,内閣府の地震防災情報システム(DIS)を稼働させて,建物被害や人的被害などを推計し,概括的な被害規模の把握に努めた。福田内閣総理大臣(当時)から,被災状況の早期把握と迅速な広報及び被災者等ある場合,救助に全力を挙げること等の指示の下,政府一体となって初動対応に当たった。発災直後には,泉防災担当大臣(当時)を団長とする政府調査団を岩手県及び宮城県に派遣,同日,栗原市役所内に政府現地連絡対策室を設置し,現地での情報収集や地元地方公共団体との連絡調整に当たった。

6月16日には,内閣総理大臣が出席し,官邸において関係閣僚会合を開催し,総理大臣から次の指示があった。<1>引き続き,行方不明者の捜索,被災者の方々の救出活動に全力を尽くすこと。<2>被災者の方々が一日も早く安定した生活に戻れるよう,水道等のライフラインの応急対策を含め,被災者の方々の支援対策に尽力すること。<3>余震に備え,被災者の方々,救助関係者の安全確保に万全を期すこと。<4>道路等の災害復旧に適切に対応すること。

また,6月18日には,内閣総理大臣による現地調査を実施した。

6月14日から26日にかけて,内閣府において災害対策関係省庁連絡会議を9回開催し,被害状況や各省庁の対応状況についての情報を共有するとともに,対応状況今後の対応についての申し合わせ等を行った。

適用日を6月14日として,岩手県は一関市,奥州市,北上市,金ヶ崎町及び平泉町に,宮城県は栗原市及び大崎市に災害救助法を適用した。これに基づき岩手県及び宮城県は仮設住宅73戸を建設することとした。

また,適用日を6月14日として,宮城県が栗原市に対し,被災者生活再建支援法に基づく被災者生活再建支援金支給制度を適用した。

更に,「平成二十年岩手・宮城内陸地震による岩手県奥州市等の区域に係る災害についての激甚災害及びこれに対し適用すべき措置の指定に関する政令(平成20年7月4日閣議決定,7月9日公布・施行)」により激甚災害として指定し,公共土木施設災害復旧事業等に関する特別の財政援助等の措置を適用した。なお,指定にあたっては,公共土木施設及び農地等の措置について,査定見込額が明らかに現行の指定基準を超えると見込まれる場合には,中小企業関係の特例又は林野関係の措置が適用されない場合でも,当該災害に係る被害箇所の数がおおむね10未満のものを除き,早期に指定を行えるよう,局地激甚災害指定基準を改正し(平成20年7月3日中央防災会議決定),この災害に遡及適用した。

各府省の対応は, 附属資料3 のとおり。


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