1−5 平成19年(2007年)能登半島地震に対してとった措置



1−5 平成19年(2007年)能登半島地震に対してとった措置

(1)警察庁における対応

警察庁及び関係管区警察局においては,「災害警備本部」等を設置して,情報の収集,関係機関との連絡調整,警察広域緊急援助隊の派遣調整等に当たった。また,機動警察通信隊は災害発生直後から警察通信の確保に当たり,警察庁,官邸等へ現場映像の伝送等を実施した。更に,石川県公安委員会からの援助要求を受けて,3月25日から27日までの3日間,愛知・岐阜・福井及び新潟の各県警察広域緊急援助隊延べ380名を派遣し,被災者の安否確認等に当たった。関係県警察においては,「総合警備本部」等を設置して,情報収集,被災者の避難誘導,救出救助,交通規制等の災害警備活動に当たった。

(2)総務省における対応

総務省においては,電波利用料債権の催促状及び督促状の送付を停止する措置(原則,適用の日から60日を経過する日までの間)を行った。

(3)電気通信事業者の対応

NTT西日本においては被災地(石川県,富山県)の避難所等37か所に特設公衆電話83台を設置するとともに,災害用伝言ダイヤル及び災害用ブロードバンド伝言板を起動した。

ドコモ北陸において,石川県の避難所等に衛星携帯電話等の貸し出し及びお客様携帯電話充電用に携帯用充電器を設置した。

KDDIにおいては,輻輳を回避し重要通信を確保するためトラフィックのコントロールを実施するとともに,輪島市に携帯電話10台を貸出した。

携帯電話各社においては,災害用伝言板サービスを起動した。

(4)消防庁における対応

消防庁においては,3月25日9時42分災害対策本部を設置し,関係地方公共団体から情報収集体制の強化を行った。

また,10時15分石川県知事からの要請を受け,京都府,福井県,滋賀県,富山県,東京都,大阪府,兵庫県に対し緊急消防援助隊の出動を要請し,12時30分には,石川県緊急消防援助隊調整本部へ消防庁職員を派遣するため,東京消防庁指揮支援隊とともに消防庁ヘリコプターにより出動したほか,合計で消防防災ヘリコプター5機を含めた,87隊,349名が情報収集及び救助・救急活動等の災害活動を行った。

(5)財務省における対応

財務省においては,次のとおり税務行政上の措置を講じた。

a 申告,納付期限の延長

災害により,国税の申告,納付等をその期限までに行うことができないと認められる納税者について,その申請に基づき,災害によるやむを得ない理由のやんだ日から2か月以内の日を期日として指定し,国税の申告,納付等の期限を延長した。

b 納税の猶予

災害により,その財産に相当の損害を受けた納税者及び国税を一時に納税することができないと認められる納税者について,その申請に基づき,1年以内の期間に限り,その国税の全部又は一部の納税を猶予した。

c 国税の軽減免除等

災害により,住宅,家財,事業用資産等に損害を受けた納税者について,その申請等に基づき,国税の軽減免除等を行った。

(6)文部科学省における対応

文部科学省においては,災害情報連絡室を設置,同日災害応急対策本部に格上げし,教育委員会等の関係機関から被害情報を収集するとともに,児童生徒の安全確保・二次被害の防止等適切な対応をとるよう指示した。3月26日には,文教施設等の被害状況の確認,3月28日には,学校施設の安全点検のため,建築の専門家等を派遣した。また,地震調査研究推進本部の地震調査委員会が臨時会を開催し,地震について分析と評価を実施した。更に,能登半島地震に関する調査研究に対して,科学研究費補助金を交付した。

独立行政法人防災科学技術研究所においては,職員を被災地に派遣し,今後の地震による被害の軽減を目的とし,病院の施設被害調査及び地震発生後の自治体等における災害対応状況調査等を行った。

(7)資源エネルギー庁における対応

資源エネルギー庁においては,災害救助法適用市町村及び適用市町村に隣接する市町村において被災した需要家に対して,電気及びガス料金の支払期限の延長等の災害特別措置を認可した。

(8)中小企業対策

中小企業庁においては,被災中小企業者への支援として,次の措置を講じた。

a 特別相談窓口の設置

石川県における政府系中小企業金融3機関(中小企業金融公庫,国民生活金融公庫,商工組合中央金庫),信用保証協会の各支店,主要商工会議所及び商工会連合会などに特別相談窓口を設置した。

b 資金供給の円滑化

政府系中小企業金融3機関による災害復旧貸付の適用及び,関係機関に対し返済猶予等の既往債務の条件変更などの被災中小企業者の実情に応じた対応を行うよう指導することにより,被災中小企業者の資金供給の円滑化を図った。

c 輪島塗の復興支援

経済産業省においては,輪島塗復興支援のため,全国伝統的工芸品センター(池袋)における「輪島塗展」の開催及び首都圏や主要都市での輪島塗の展示会の開催を支援した。

(9)国土交通省における対応

国土交通省においては,非常体制をとり,被害状況の把握につとめるとともに,災害復旧調査のため災害査定官を,現地調査等のため専門家をそれぞれ現地へ派遣した。また,災害対策用ヘリコプター「ほくりく号」,「きんき号」による上空からの被害状況調査,照明車・対策本部車・衛星通信車等の災害対策用車両の派遣による災害応急対策等を実施した。

国土地理院においては,災害対策本部を設置し,航空機による撮影を実施するとともに,災害対策用図,地形図,正射写真図及び災害状況図等を関係機関に提供した。また,電子基準点観測データ及び人工衛星データによる地殻変動情報を公表するとともに,復旧工事等の基準となる基準点復旧測量等を実施した。

(10)気象庁における対応

気象庁本庁及び各気象台においては,津波注意報及び地震情報を迅速に発表・伝達し,災害応急活動を支援するとともに,直ちに現地調査のための職員を派遣した。東京管区気象台,金沢地方気象台においては,地震による地盤の緩みにより,通常より少ない雨量でも土砂災害発生の可能性があることから,地震後約10か月,大雨注意報・警報の基準を引き上げて注意報・警報を発表し,土砂災害への警戒を呼びかけた。

(11)海上保安庁における対応

海上保安庁においては,本庁及び第九管区海上保安本部に対策本部を設置し,巡視船艇・航空機等により,沿岸部,主要港湾及び重要施設等の被害状況調査等を行うとともに,航行警報等により付近航行船舶への注意喚起を行った。また,この地震による海底面の変化を調査するため,測量船による震源域周辺の海底調査を実施した。

(12)防衛省における対応

防衛省においては,3月25日に防衛省災害対策室を設置し,情報収集及び連絡態勢を強化したほか,3月25日に石川県知事から災害派遣要請を受け,同日から4月8日までの間,給食・給水支援,入浴支援等を実施した。


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