1−3 宮城県沖を震源とする地震に対してとった措置
(1)警察庁における対応
警察庁及び関係管区警察局においては,「災害警備本部」等を設置して,情報の収集,関係機関との連絡調整,警察広域緊急援助隊の派遣調整等に当たった。また,機動警察通信隊は災害発生直後から警察通信の確保に当たり,ヘリコプターテレビシステムや衛星通信システム等を使用して,警察庁,官邸等へ危機管理上重要な現場映像の伝送等を実施した。関係県警察においては,「災害対策本部」等を設置して,情報収集,被災者の避難誘導,救出救助,交通規制等の災害警備活動に当たった。
(2)防衛庁における対応
防衛庁においては,地震発生後,防衛庁災害対策室を設置したほか,航空機25機及び艦艇1隻により上空及び海上から情報収集を行うとともに,ヘリコプター映像伝送装置を使用して官邸及び内閣府等へ現場映像を伝送した。
(3)電気通信事業者の対応
NTT東日本及び携帯電話各社においては,災害用伝言ダイヤル及び災害用伝言板サービスを起動した。
(4)消防庁における対応
消防庁においては,8月16日11時46分,災害対策本部を設置し,関係地方公共団体から情報収集を行うとともに,同日13時00分,消防庁職員1人を関係省庁合同情報先遣チームとして現地へ派遣した。
緊急消防援助隊(航空部隊)に岩手県,宮城県,福島県への出動を要請し,同隊はヘリコプター3機により情報収集活動等を実施した。
(5)財務省における対応
財務省においては,次のとおり税務行政上の措置を講じた。
国税の軽減免除等
災害により,住宅,家財,事業用資産等に損害を受けた納税者について,その申請等に基づき,国税の軽減免除等を行った。
(6)文部科学省における対応
文部科学省においては,災害情報連絡室を設置し,教育委員会等の関係機関から被害情報を収集するとともに,児童生徒の安全確保・二次災害の防止等適切な対応をとるよう指示した。同日,文教施設における被害状況を調査するため,関係職員及び建築構造の専門家を現地に派遣した。また,地震調査研究推進本部の地震調査委員会が臨時会を開催し,地震について分析と評価を実施した。さらに,宮城県沖の地震に関する調査研究に対して,科学研究費補助金を交付した。
(7)国土交通省における対応
国土交通省においては,非常体制をとり,被害状況の把握に努めるとともに,建築・下水道に関する専門家を現地へ派遣した。また,災害対策用ヘリコプター「あおぞら号」「みちのく号」による上空からの被害状況調査を実施した。
国土地理院においては,災害対策本部を設置し,被害情報を収集するとともに,関係機関に災害対策用地形図を提供した。また,機動観測を実施するとともに,電子基準点観測データの緊急解析を実施し,その結果を基に地震断層モデルを推定し公表した。
(8)気象庁における対応
気象庁本庁および各気象台においては,津波予報及び地震情報を迅速に発表・伝達し,災害応急活動を支援するとともに,ただちに現地調査のための職員を派遣した。また,仙台管区気象台,盛岡・福島地方気象台においては,地震による地盤の緩みにより,通常より少ない雨量でも土砂災害発生の可能性があることから,地震後3ヶ月間,大雨注意報・警報の基準を引き下げて注意報・警報を発表し,土砂災害への警戒をよびかけた。
(9)海上保安庁における対応
海上保安庁においては,本庁及び第二管区海上保安本部に災害対策本部を設置し,巡視船艇・航空機等により,青森県から茨城県に至る沿岸部,主要港湾及び重要施設等の被害状況調査,関係機関へ調査状況の映像配信を行うとともに,日本航行警報及びNAVTEX航行警報等により付近航行船舶への注意喚起を行った。