自然災害が世界各地で発生し,多くの人命と財産が失われている。特に開発途上地域では,都市化が進む一方で,遅れた基盤整備が災害への脆弱性を高めている。
1−2 長期的な自然災害の状況
ベルギーのルーバン・カトリック大学疫学研究所(CRED)(http://www.cred.be/emdat/intro.htm)の自然災害に関する統計では,全世界で毎年約2億人が被災し,約6万人の生命が奪われ,約370億ドルの被害額が発生している(1978年〜2002年の年平均値)。
近年では,1998年の中国の洪水,1999年のトルコの地震,フランスの風害,2002年のヨーロッパの洪水等で多くの被害額が発生している。
アジア地域では,各国政府の災害予防及び軽減のための多大な努力にもかかわらず,毎年,数か国で死者・行方不明者が数千人を超える被害が発生している。
この5年間の世界全体に占めるアジア地域の災害の発生状況をみると,災害発生件数で世界の約4割弱,被災者数で約9割,死者数,被害額で約5割と,大きな割合を占めている。
ヨーロッパ地域では,死者数,被災者数が少ないにもかかわらず,被害額が大きい。