2−1 地震に関する調査研究



2 震 災 対 策


2−1 地震に関する調査研究


(1) 首都圏広域地殻変動の観測

 総務省通信総合研究所においては,リアルタイムVLBI(超長基線電波干渉計)による定常観測及びSLR(衛星レーザ測距)の観測実験を行った。また,伊豆諸島で発生した大規模な地震・火山活動に伴う南房総の地殻変動につき関係機関への迅速なデータの提供を行った。(国費 152,055千円)

(2) 地震に関する調査研究の推進

 文部科学省においては,地震調査研究推進本部の方針の下,高感度地震観測施設,広帯域地震観測施設の整備等を推進した。また,地方公共団体が行う活断層調査等に対する地震関係基礎調査交付金の交付,地震調査観測施設の整備に対する財政的な支援を行った。(国費 5,701,129千円)

(3) 地震予知に関する基礎的研究

 文部科学省においては,関係国立大学における地震予知に関する基礎的研究を推進するため,観測研究体制の整備を図るとともに,地震発生に至る地殻活動解明のための観測研究等を実施した。(国費 1,670,889千円)

(4) 南海トラフにおける海溝型巨大地震災害軽減のための地震発生機構のモデル化・観測システムの高度化に関する総合研究

 文部科学省,防災科学技術研究所,海洋科学技術センター,経済産業省工業技術院地震調査所,海上保安庁,気象庁気象研究所,国土交通省国土地理院においては,科学技術振興調整費総合研究により,南海トラフにおける海溝型巨大地震発生の可能性を定量的に評価する技術開発を目標に,震源域近傍での観測・調査技術の研究開発,地震発生機構のモデル化に関する研究を行った。(国費 139,993千円)

(5) 陸域震源断層の深部すべり過程のモデル化に関する総合研究

 文部科学省,防災科学技術研究所,国土交通省国土地理院,建築研究所,経済産業省工業技術院地質調査所,気象庁気象研究所においては,科学技術振興調整費総合研究により,陸域震源断層に関する観測,物質科学的分析及び室内実験の組み合わせによる陸域の断層深部のすべり過程をモデル化するための研究を行った。
(国費 293,982千円)

(6) フィリピン海プレート周辺地域における地震断層に関する調査研究

 文部科学省,経済産業省工業技術院地質調査所,気象庁気象研究所,国土交通省国土地理院においては,科学技術振興調整費国際共同研究により,プレート衝突境界域の地震断層と震源モデルとの対応関係の解明を目標に,1999年に台湾中部で発生した地震を対象として,地震断層に伴う変位の分布パターンや不均質構造を明らかにし,地震断層の活動特性を把握するための調査研究を行った。(国費 52,437千円)

(7) 神津島東方海域の海底下構造等に関する緊急研究

 文部科学省,防災科学技術研究所,海洋科学技術センター,経済産業省工業技術院地質調査所,海上保安庁,国土交通省国土地理院,気象庁気象研究所においては,科学技術振興調整費緊急研究により,平成12年6月末から発生した新島・神津島付近から三宅島付近にかけての地震活動について,海底下構造調査,海底地質調査,地震観測及び地殻変動観測により,応力源の分布や力学的特性の解析を行い,実証的に地殻活動のメカニズムを解明するための研究を行った。(国費 121,193千円)

(8) 地震災害軽減のための強震動予測マスターモデルに関する総合研究

 文部科学省,防災科学技術研究所,国土交通省建築研究所,経済産業省工業技術院地質調査所においては,科学技術振興調整費総合研究により,地震災害軽減のため,構造物の被害に直結するやや短周期域(周期1秒前後)を含む広い周期帯域で強震動を高精度に予測することに関する研究を行った。(国費 215,384千円)

(9) 地震に関する調査研究

 文部科学省防災科学技術研究所においては,次の研究を行った。
a 首都圏南部における地震活動に関する研究
 東京及び周辺地域の直下型地震の調査研究に資するため,深層地殻活動観測施設(岩槻,下総,府中,江東の4箇所)及びケーブル式海底地震観測施設(相模湾)により,微小地震及び地殻傾斜の観測研究を実施した。(国費 149,822千円)
b 関東・東海地域における地殻活動に関する研究
 関東・東海地域の地殻活動を一体的に把握するため,ケーブル式海底地震計を含む約100か所の観測点からなる地殻活動観測網により,微小地震及び地殻傾斜の観測研究を行うとともに,「地殻活動解析システム」により,集中的な観測データの処理解析,情報流通を行った。また,GPSによる広域地殻変動の研究を行った。
(国費 633,593千円)
c 地震発生機構に関する研究
 種々の活断層を対象にボーリングを行い,内陸地震の発生機構に関する研究を進めるとともに,長野県西部の浅発地震発生域における地震活動等の観測を行った。
(国費 178,026千円)
d 地震素過程と地球内部構造の解明に関する総合的研究
 地震波形データの詳細な解析や広帯域地震計等の全国的な観測等により,震源過程の解明を行うとともに,観測データに基づき,周辺プレート構造及び地殻,上部マントル構造を解明するための研究を行った。(国費 99,310千円)
e 地震調査研究観測施設・設備の整備等
 地震調査研究に必要な観測設備等の整備を行った。(国費 73,408千円)
f 地震のデータ利用
 一般の利用に供するデータ流通サービスを推進するため,全国に整備される高感度地震観測施設等から得られるデータのつくばへの集中を行うとともに,波形データ等の保管機器類の整備・運用を実施した。(国費 1,376,630千円)
g 地震・火山噴火発生に伴う流動体の挙動に関する研究
 科学技術振興調整費重点基礎研究により,地震,火山噴火,大規模崩壊等災害につながる地殻内の急激な運動の存在を,ボアホール等を利用し実証的なデータに基づき示した。また,これら大きな災害をもたらす現象の短期予測の可能性が高いことを明らかにし,その監視手法確立に有効な知見を得た。(国費 5,089千円)

(10) 地震総合フロンティア研究の推進

a 理化学研究所,宇宙開発事業団,核燃料サイクル開発機構及び海洋科学技術センターにおいては,それぞれ「地震国際フロンティア研究」,「地震リモートセンシングフロンティア研究」,「陸域地下構造フロンティア研究」及び「海底下深部構造フロンティア研究」を実施した。(国費 1,011,990千円)
b 日本原子力研究所及び理化学研究所においては,流動的な研究システムを活用して,「耐震安全・防災フロンティア研究」及び「地震防災フロンティア研究」をそれぞれ推進した。(国費 531,917千円)

(11) 海底地震総合観測システムの開発・整備

 海洋科学技術センターにおいては,釧路・十勝沖に設置した海底地震総合観測システム(2号機)の運用を開始するとともに,高知県室戸岬沖に設置した海底地震総合観測システム(1号機)及び,相模湾初島沖に設置した初島沖システムによる観測研究を行った。(国費 348,932千円)

(12) 深海地球ドリリング計画の推進

 海洋科学技術センターにおいては,海底下地層から良質の試料を採取できる地球深部探査船の建造を進めるとともに,科学研究掘削のためのシステムとなる海底掘削システム試験機の製作等を実施した。また,国際陸上掘削計画に参画した。
(国費 18,513,466千円)

(13) 海洋底ダイナミクスの研究

 海洋科学技術センターにおいては,地殻変動現象メカニズムを解明するために,海洋性プレート沈み込み帯メカニズム,進化,生成域メカニズム等の調査研究を行った。
(国費 121,673千円)

(14) 活断層に関する調査研究

 経済産業省産業技術総合研究所地質調査所おいては,[1]主要活断層レンチ調査等による活断層調査及び液状化跡等の古地震調査及び花折断層ストリップマップの刊行,[2]北海道東部太平洋岸における津波堆積物調査及び米国北西部及び鳥取県西部における液状化に関する古地震調査,[3]日本海東縁海域における地殻歪み集中域の抽出及び北海道西方沖における地震活動履歴調査,[4]東海地域をはじめとする地下水等の観測の継続実施,[5]S波速度構造推定のための反射法実験及び基盤構造解明のための重力調査についての研究,[6]活断層近傍における人工地震によるトラップ波の解析の有効性及び鳥取県西部地震の観測による伏在断層の探査に係る研究,[7]広範囲の実験結果を説明できる新しい摩擦構成則の開発等の研究を行った。(国費 411,546千円)

(15) 港湾・海岸及び空港土木施設の地震災害防止に関する研究

 国土交通省港湾技術研究所においては,港湾地域及び空港における地盤震動特性に関する研究,港湾基礎地盤の地震時安定性に関する研究,港湾施設等の耐震性に関する研究,港湾地域の地震防災に関する研究等を行った。(国費 37,458千円)

(16) 地震予知研究の推進

 地震予知連絡会(事務局:国土交通省国土地理院)においては,観測強化地域である東海・南関東地域及び8箇所の特定観測地域を含む全国の地震予知観測研究に関する情報交換と学術的見地での検討を行い,報告された観測データ等を地震予知連絡会会報として編集した。(国費 37,448千円)

(17) 測地的方法による地殻変動調査

 国土交通省国土地理院においては,全国を対象とした高精度三次元測量,高度基準点測量等を定期的に実施したほか,全国に展開する電子基準点(GPS連続観測施設)で連続観測を行った。また,地殻変動の監視を実施し,御前崎地方において高精度三次元連続観測(GPS高精度比高観測)を行った。
 また,観測強化地域及び特定観測地域における高精度で短周期の地殻変動観測,機動的な地殻変動連続観測及び重要活断層の地形学的調査等を実施した。
 その他,定常観測として地磁気観測,地殻変動連続観測,潮位の連続観測及びGPS衛星の精密軌道決定を行った。(国費 2,897,069千円)

(18) 活構造調査

 国土交通省国土地理院においては,活断層の詳細な位置,地盤条件等を明らかにするため,現地調査,空中写真判読,資料分析等により,変動地形の解析,活断層等の活構造調査を実施し,2万5千分の1都市圏活断層図を作成した。(国費 1,771千円)

(19) 地殻変動データベース整備

 国土交通省国土地理院においては,測量・調査結果等をデータベース化し,関係機関,研究者等への地震調査関連情報の提供・流通を促進した。(国費 9,364千円)

(20) 地殻活動総合解析

 国土交通省国土地理院においては,GPS等の地殻変動観測データ等各種データを総合解析して,地殻活動の予測分析を行い,地震調査委員会に報告した。
(国費 90,193千円)

(21) スローアースクエイクの検出に関する研究

 国土交通省国土地理院においては,GPS連続観測データ等の地殻変動連続観測データを用いて,スローアースクエイク(ぬるぬる地震)の検出に関する研究を行った。
(国費 2,035千円)

(22) 合成開口レーダの解析モデルに関する研究

 国土交通省国土地理院においては,合成開口レーダによる地殻変動の検出について,高速解析処理技術の開発及び高精度化に関する研究を行った。(国費 2,434千円)

(23) 地殻活動観測データの総合解析技術の開発

 国土交通省国土地理院及び建築研究所においては,GPS等地殻活動観測データを用いて地殻の変形のモデル化及びシミュレーション技術の開発を推進するための研究を行った。また,モデルの解析によりデータ取得条件及び観測点配置の最適化を行い,効率的な観測手法を開発するための研究を行った。(国費 111,621千円)

(24) プレート運動モデルの高精度化に関する研究

 国土交通省国土地理院においては,全国のGPS連続観測データ等の地殻変動連続観測データを用いて,地震・火山噴火現象の原動力であるプレート運動を詳しく解明する研究を行った。(国費 1,423千円)

(25) 地震に関する調査研究

 気象庁においては,気象研究所を中心に地震に関する研究を推進し,特に,東海地域に想定される地震の予知の確度を向上させるため,地震発生過程の詳細なモデリングによる東海地震発生の推定精度向上に関する研究及び内陸部の地震空白域における地震・地殻変動に関する研究を行った。(国費 48,958千円)

(26) 地震観測施設の整備等

 気象庁においては,全国における地震観測,地殻岩石歪観測,地磁気観測,沿岸における検潮観測を行った。また,関係機関の地震に関するデータに加え,地震に関する基盤的調査観測網のデータを収集し,その成果を防災情報等に活用するとともに,地震調査研究推進本部地震調査委員会に提供した。さらに,ナウキャスト地震情報(地震発生直後の即時的情報)提供の実用化調査を実施した。(国費 2,211,034千円)*
(注) *は 4章2−2 (25)に係る予算を含む。

(27) 海底地殻変動観測等

 海上保安庁では,プレート境界域等において,海底基準局を用いた海底地殻変動観測及び活断層・地形調査等を実施した。また,秋田本荘沖等の沿岸海域海底活断層調査,GPS及び験潮所による地殻変動観測,レーザー測距観測によるプレート運動の把握,海底地殻活動の長期観測技術に関する研究等を実施した。(国費 321,398千円)

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