9−1 雲仙普賢岳噴火災害の復興対策



9 三宅島噴火と有珠山噴火,阪神・淡路大震災等近年に発生した主な災害復興対策


9−1 雲仙普賢岳噴火災害の復興対策


 政府は,平成3年6月3日に大火砕流が発生し多数の死傷者が生じたことから,同月4日に国土庁長官を本部長とする「平成3年(1991年)雲仙岳噴火非常災害対策本部」を設置し,10回に及ぶ対策本部会議等における決定事項に基づき21分野100項目に及ぶ被災者等救済対策を実施してきている。
 その後,雲仙岳の噴火活動が停止状態にあり,平穏な状態が続いていること等から,平成8年6月3日に長崎県及び関係5市町村の災害対策本部,同月4日に政府の非常災害対策本部は廃止された。しかし,引き続いて実施中の復興事業があること,また土石流の二次的災害が今後も発生する可能性があること等を踏まえ,関係省庁は,同日に雲仙岳災害復興関係省庁連絡会を設置し,密接な連携の下に地域の安全を確保しつつ復興対策を推進している。
 また,平成13年6月3日には,多数の犠牲者を出した平成3年の大火砕流発生から丸10年を迎えるに当たり,「雲仙・普賢岳噴火災害十周年犠牲者追悼式典」が執り行われた。
 なお,現在も引き続き行われている主な復興事業等については以下のとおりである。

(1) 砂防・治山対策

 河川流域ごとにまとめた砂防計画基本構想及び治山計画基本構想に基づき,国及び長崎県は,地域の防災,振興,活性化に不可欠な砂防・治山ダム等の整備事業を実施してきている。平成13年度においては,水無川流域における赤松谷1号,水無川3号砂防えん堤等の砂防設備の整備を行うとともに,無人化施行による赤松谷地区治山ダム4基等治山施設の整備を推進している。
 また,中尾川流域においては,平成13年度に北千本木1号,南千本木1号,南千本木2号砂防えん提等の上流砂防えん堤群の建設を,湯江川流域においては,平成13年度に湯江川砂防えん堤の建設を進めている。

(2) 災害対策基金による支援

 長崎県は,平成3年9月26日に,住民等の自立復興支援,農林水産業の災害対策,商工業の振興及び観光の復興等各般の事業を行う事を目的に,「財団法人雲仙岳災害対策基金」を県の出捐及び貸付により設立した。その後,基金は県からの貸付金の増額や貸付期間の延長(平成13年度末まで5年間延長)により,県の出捐金30億円,貸付金1,000億円,義援金60億円(それぞれ最大時)の規模となった。平成14年3月末には未償還分の260億円についても償還し,貸付金の償還を終えた。
 なお,資金のうち県の貸付分については,地方財政措置が講じられている。

(3) 新たな復興計画の策定及びその推進

 長崎県の島原地域再生行動計画策定委員会は,噴火活動の沈静化と雲仙岳災害対策基金の増額,延長が実現したことを機に,平成8年5月より,官民一体となって島原半島全体を視野に入れた地域の再生対策について検討を行い,平成9年3月31日に島原地域再生行動計画(計画期間:平成9年度から13年度の5か年間,愛称:がまだす計画)を策定した。同計画は,国,県,市・町,民間が連携して取り組んでいく総合的な行動計画で,雲仙岳災害記念館(平成14年7月1日開館予定)の建設等,27の重点プロジェクトを柱とした336(策定時335事業,平成10年度1事業追加)の事業を選定しており,平成13年度は,県立島原病院が完成するなど,事業は着実に成果を上げており,平成14年3月末には計画が終了し,その後は,長崎県が21世紀に向けての羅針盤として策定した「長崎県長期総合計画」に引き継がれている。


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