4−6 地震防災情報システムの整備



4−6 地震防災情報システムの整備


(1) システムの概要

 阪神・淡路大震災に際しては,発災時における応急対策活動を円滑に行うための課題として,特に被災地の状況を迅速に把握するとともに,事前対策,応急対策及び復旧・復興対策の各段階における情報を統合化し,総合的な意思決定を行うことの重要性が改めて指摘された。
 内閣府ではこうした経験にかんがみ,地形,地盤状況,人口,建築物,防災施設などの情報をコンピュータ上の数値地図と関連づけて管理する,地理情報システム(GIS)を活用した「地震防災情報システム(DIS:Disaster Information Systems)」の整備を進めている (図2−4−17)

(図2−4−17)地震防災情報システム(DIS)の概要

(図2−4−17)地震防災情報システム(DIS)の概要
 DISは,地盤・地形,道路,行政機関,防災施設などに関する情報を必要に応じあらかじめデータベースとして登録し,この防災情報データベースを基礎として,災害対策に求められる各種の分析や発災後の被害情報の管理を行うものである。DISにあらかじめ登録する防災情報の例としては,次に掲げるようなものがある。
 ・基本地図 1/25,000地形図,1/2,500詳細地図
 ・自然条件 地質,活断層
 ・社会条件 人口・世帯数,高層建築物,地下街
 ・公共土木施設 道路,鉄道・駅,港湾,空港,ヘリポート
 ・防災施設 行政機関,病院,避難施設,備蓄施設
 また,防災情報データベースをもとに,GISの機能を活用することにより,事前対策,応急対策,復旧・復興対策の各段階に応じて,[1]地震発生時の被害の想定の実施や被害想定に基づいた地震に強いまちづくり計画の作成等の支援,[2]地震発生後に送られてくる震度情報に基づく被害推計による被害規模のおおまかな把握や被災地の被害情報に基づいた緊急輸送,救助・医療,避難,ライフライン,ボランティアなどの各種応急対策計画の策定の支援,[3]公共施設や輸送機関などの復旧・復興に有用な情報の提供や復旧・復興計画の進捗状況の適切な管理等が可能となり,情報の統合的な活用による各種震災対策の充実が可能となる。

(2) 地震被害早期評価システム

a システムの概要
 DISを構成するシステムのうち,地震発生直後に被害のおおまかな規模を把握する「地震被害早期評価システム(EES:Early Estimation System)」については,平成8年4月から稼動している (図2−4−18)
 このシステムは,地震災害の規模が大きいほど緊急の対応が必要となるにもかかわらず,地震発生直後にはその判断に必要な情報が極めて限られたものとなることに対応して,地震による被害規模の概要を地震発生から概ね30分以内に推計し,防災関係機関の迅速かつ的確な初動対応のための判断に活用するものである。
 具体的には,地震発生直後に気象庁から送られてくる震度情報と,あらかじめ全国の各市区町村ごとに整備された地盤,建築物(築年・構造別),人口(時間帯別)等のデータベースに基づいて,震度4以上の地震が発生した直後に建築物倒壊棟数と建築物の倒壊に伴う人的被害の状況の概要を推計するものである。
 また,平成11年度から気象庁が津波の高さを数値化した新しい津波予報を発表したことに対応して,個々の海岸における津波浸水域を予測するシステムを整備し,運用している。
b 被害推計の精度向上
 阪神・淡路大震災後初めて震度6強を観測した平成12(2000)年鳥取県西部地震においては,EESの被害推計の建物倒壊約8,000戸,死者約200人という結果に対し,実際の被害は全壊戸数約400戸,死者0人と大きな誤差が生じた。被害が小さいことは幸いであったが,これらの情報が,政府の初動対応等の防災行政上の判断等に活用されていることを踏まえ,地震挙動と被害との関係について再度検証し,必要な見直し等を行うため,学識経験者や防災行政関係者で構成される地震被害に関する検討委員会において検討が行われ,当面の改善方針について,以下のとおりとりまとめられた。
 [1]地震の揺れの大きさ(観測震度)と実際の建物の被害の関係について,阪神・淡路大震災,鳥取県西部地震等における現在までの詳細な検証結果を反映する。
 [2]地盤は,地域によってその性質に相違があり,同規模の地震でも被害は大きく異なる場合が想定されることを踏まえ,震度計の設置場所と被害の関係について,再吟味する。
 [3]発災時に倒壊した建物内の人の有無によって人的被害に大きな違いが生じることから,過去の地震の実態を踏まえ,推計結果に幅を持たせるなど,発表手法を検討する。
 [4]建物被害の推計について,地方公共団体による公表値との整合性を図るため,必ずしも建物が崩壊していなくても建物の改築を要する場合を「全壊」として推計するほか,参考値として,実際に建物が崩壊して人的被害に結びつくような被害についても新たに推計する。
 現在,以上の方針に従い具体的な検討を行っており,速やかにEESに反映することとしている。

(図2−4−18)地震被害早期評価システム(EES)

(図2−4−18)地震被害早期評価システム(EES)
(3) 応急対策支援システム

 DISを構成するシステムとして,EESのほかGISを活用して各種応急対策活動を支援する「応急対策支援システム(EMS:Emergency Measures Support System)」の整備を行っている。このシステムは,あらかじめ整備しておく防災関連施設等のデータベースと,実際の被害情報や応急対策の状況等について関係省庁から提供される情報を集約・整理し,関係省庁間で共有することにより,各種応急対策活動を支援するものである。このうち,広域医療搬送活動については,「南関東地域の大規模震災時における広域医療搬送活動アクションプラン」に対応した機能の整備を行い,平成11年度から稼動している。
 また,人工衛星及び航空機等を活用した被害把握システムを構築して実被害の早期把握を可能にし,防災関係機関の応急対策の迅速・的確化を図るための検討を行っている。

(4) 地図・防災情報データベースの整備

 平成7年度からこれまで,DISの基礎となる数値地図や防災情報のデータベースとして,1/25,000の数値地図を全国的に整備するとともに,各種都市機能が集中し,かつ,直下の地震の発生がある程度の切迫性を有していると指摘されている南関東地域については,1/2,500の数値地図を整備しており,引き続き全国にわたる詳細な防災情報の整備を進めている。

(5) ネットワーク化の推進

 防災情報の共有化等を図るため,関係機関とのネットワーク化を推進しており,総理官邸をはじめとする関係省庁にDISの端末を設置しているほか,被害状況を迅速かつ正確に把握・共有できるようにするため,ライフライン企業など防災関係機関とのオンライン化を進めている。


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