5−1 近年の風水害の特徴



5 風水害対策


5−1 近年の風水害の特徴


(1) 豪雨,台風等の状況

 我が国では,毎年,6月下旬から7月中旬にかけての梅雨前線の活動や台風の接近・上陸等により,各地で豪雨が毎年発生している。
 平成13年は,6月から7月にかけて活発化した梅雨前線が日本に停滞し,九州地方を中心に各地で大雨を降らせ,大きな被害を出している。
 特に,平成13年6月18日からの豪雨は,和歌山北部,瀬戸内海西部,福岡県付近のかなりの観測所において24時間降水量の極値を更新し,被害もこれらの地域で発生している。
 昭和46年〜平成13年の31年間で我が国に影響のあった台風についてみると,年間平均26.7個の台風が発生し,うち2.6個が北海道・本州・四国・九州のいずれかに上陸している (図2−5−1)

(図2−5−1)台風の本土への接近数(上陸数を含む。)の推移

(図2−5−1)台風の本土への接近数(上陸数を含む。)の推移
 平成13年は,発生数26個で平年並み,また上陸数は2個であったものの,8月下旬から9月中旬にかけて台風第11号,第15号があいついで日本列島に上陸し,また台風第16号が沖縄周辺に長時間停滞するなどして各地に住家の全半壊や浸水など大きな被害をもたらした。
 平成13年の台風の特徴として,発生箇所が北緯20度近辺に北上しているものが多くなっており,北緯25度付近で発生しているものもあった。また,台風第16号のように,南方の海上で勢力を保ったまま長期間停滞し,大雨をもたらしたものもあった (図2−5−2)

(表2−5−1)1951(昭和26年)以降の台風に関する記録

(表2−5−1)1951(昭和26年)以降の台風に関する記録
(図2−5−2)平成13年の主な台風の発生箇所とコース

(図2−5−2)平成13年の主な台風の発生箇所とコース
(2) 水害の状況

 我が国においては治山・治水事業の推進等により,水害による浸水面積(水害面積)は,昭和56年〜60年の平均が106,908haであるのに対し,平成8年〜12年の平均は34,424haと大幅に減少している (図2−5−3) 。しかしながら,河川氾濫区域内への資産の集中・増大に伴い,近年,浸水面積当たりの一般資産被害額(水害密度)が急増している (図2−5−4) 。平成13年は,梅雨前線の影響や台風による豪雨で,九州,四国や西日本を中心に浸水などにより大きな被害が生じている。

(図2−5−3)水害面積の推移

(図2−5−3)水害面積の推移
 原因別に見ると,河川流域内の開発の進展による流域の保水・遊水機能の低下に伴い,洪水や土砂流出が増大するとともに,河川氾濫区域への都市化の進展により被害対象が増加している。一方,都市河川,中小河川や下水道(雨水対策施設)等の整備水準は未だ低いこともあり,全体の水害被害額(一般資産等被害額)に占める内水の割合が大きい。
 特に三大都市圏では,内水による被害が全体の50%を越える年が昭和55年〜平成11年の20年間で18年に及んでいる。
(図2−5−4)水害被害額及び水害密度の推移

(図2−5−4)水害被害額及び水害密度の推移
(3) 土砂災害の状況

 地すべり,土石流,がけ崩れといった土砂災害は,その原因となる土砂の移動が強大なエネルギーを持つとともに,突発的に発生することから,人的被害につながりやすく,また,家屋等にも壊滅的な被害を与える場合が多い。
 自然災害による犠牲者のうち,土砂災害による犠牲者の占める割合は,昭和59年に約80%に達したのをはじめとし,概ね50%前後の割合で推移しており,非常に大きな割合を占めている (図2−5−5) 。近年の状況は (表2−5−2) のとおりである。平成13年は,梅雨前線の影響による6月18日からの豪雨や台風第11号による豪雨等により各地で土砂崩れや地すべりが発生し,1名の死者が発生している。

(図2−5−5)自然災害による死者・行方不明者の原因別状況の割合

(図2−5−5)自然災害による死者・行方不明者の原因別状況の割合(昭和45年〜平成12年)
(表2−5−2)近年の主な土砂災害による死者・行方不明者の状況

(表2−5−2)近年の主な土砂災害による死者・行方不明者の状況
 一般に土砂災害は,土砂移動の発生形態により,大きく地すべり,土石流,がけ崩れに分類される。火砕流を除外すると昭和56年〜平成12年の20年間の平均で毎年約890件の土砂災害が発生している (図2−5−6)
 発生件数の内訳は,がけ崩れが全体の67%を占め,死者・行方不明者もがけ崩れによるものが最も多い。一方で地すべり・土石流は,がけ崩れに比べ発生件数は少ないが,阪神・淡路大震災に伴う西宮市での地すべり(34名),蒲原沢土石流災害(14名),出水市の土石流災害(21名)など1件の発生に対して多数の死者・行方不明者が発生する場合がある。

(図2−5−6)土砂災害の発生状況の推移(昭和56年〜平成12年)

(図2−5−6)土砂災害の発生状況の推移(昭和56年〜平成12年)
(4) 風害の状況

 風害は,飛来物による被害,建物・施設の損壊,高波,樹木の倒壊,フェーン現象による火災延焼などの形態がある。
 平成11年には,9月24日に愛知県の豊橋市,豊川市内を襲った竜巻により,負傷者365名が発生し,また,10月28日には青森県で,強風により入れ替え作業中の列車が横転するなどの被害も発生している。平成13年には台風第16号が10日あまり沖縄近辺に停滞したため,住家の破損や全半壊の被害が出ている。


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