3.対象とする地震2


3.対象とする地震
(2) 内陸部の地震
  内陸部の地震としては、活断層による地震、断層が地表に現れていない所謂潜在的な断層による地震、および沈み込んだプレート内の地震が考えられるが、これらは約100〜150年の間隔で繰り返し発生している海溝型の大きな地震とは異なり、現在の知見では、その発生場所や規模を特定することは困難である。また、ある地震について特定できたとしても、それ以外の場所で地震が発生しないことを明言することは極めて困難である。
このようなことから、内陸部の地震についての予防的な地震対策と緊急的な応急対策は次のように考えることとしたい。
   
1) 予防的な地震対策を検討する場合
 

予防的な地震対策の検討にあたっては、将来発生の恐れがある地震とその被害を網羅的に考慮する必要がある。内陸部においては、潜在的な断層による地震を含めると、どこででも地震が発生する可能性があると考え、地震動の最大の強さに対して予防的な地震対策を検討するのが適切と考える。
地震動の最大の強さとしては、過去の事例から見て、M7〜8クラスの最大の地震でも、断層が直接地表に現れる場合を除き、地震断層の直上およびその周辺において震度6弱から6強程度となるが、震度7となるのは軟弱地盤等の地震動が増幅されやすい地盤で発生している。このことから、予防的な地震対策としては、地盤の条件に応じて震度6弱、震度6強または震度7を想定する。
なお、過去の事例等から地震の発生確率を求め、地震動の強いゆれとなる場所を確率的に求める手法もあるが、発生間隔が長く且つその事例が少ない活断層の地震や、潜在的な断層の地震の発生率を適切に評価することは困難な面が多く、確率により防災対策の内容を区分することには信頼性が上がった場合においても、明らかに当面その発生が無いと考えられる地震を除き、地震の発生した場合の被害の甚大さを考慮すると、確率から防災対策の内容を区別することは難しい。これらのことから、地震の発生確率を用いた震度等の推定は行わないこととする。

   
2) 緊急的な応急対策を検討する場合
  地震による被害は、地震の発生した場所等の条件により、それぞれの地震ごとに特徴的なものとなる可能性がある。地震発生時の緊急的な応急対策の検討にあたっては、対応もそれぞれの地震に応じたものとしておく必要がある。このため、対象地域に甚大な被害を与えることが懸念されるいくつかの地震を対象として、個別に評価し、時間経過を含めた地震被害発生をシナリオ及びこれに対する防災対策シナリオを作成する等して対策を検討する。
検討対象とする地震としては、対象地域内で当面発生の恐れがほとんどないものを除き、地震の規模、その発生場所から大きな被害を及ぼすおそれがあるいくつかの主要活断層の地震及び、被害の甚大さ等の面から防災対策上の検討をしておくべき地震を想定する。
なお、地震の発生場所については、さまざまな形態の防災対策の検討に資するよう考慮する。(例えば、近畿圏では、上町断層、花折断層、山崎断層。中部圏では、養老-桑名断層、伊勢湾断層等)
   
   
   
   
   
   
   

 
 
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