3. 津波の試算


 

3. 津波の試算

 
 津波の試算にあたっては、Ⅰで設定した断層パラメータ等に従い計算する以外に、断層変位が東海断層系の海底面まで達する場合、想定震源域の浅い側において、断層変位が駿河トラフの海底面まで達する場合等について試算する。
   
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津波の試算方法

(1)津波波源

  • 想定震源域に基づいて海底地殻変動を求める。
  • 海底地殻変動の計算は弾性体理論に基づいて行う。
  • 海面初期変位は全地点で時間差なしに与えられるとする。

(2) 津波伝播計算

  • 深い海域においては線形長波理論による。また、浅い海域においては海底での摩擦及び移流を考慮した非線形長波理論による。
  • 試算は差分法により数値的に行う。津波伝播の計算においては、差分法は計算精度の理論的研究が進んでおり広く用いられている方法である。
  • 試算には深海部の大きな(1,350m)メッシュ領域から、沿岸部に近づくにつれてより小さな(450m、150m)メッシュ領域を設定して計算を行う。
  • 今回の試算では、2時間分の伝播計算を行い、沿岸での津波の最大高さを求めた。
  • 試算結果と1854年安政東海地震の際の津波との比較を行うため、沿岸での津波の高さを算出する範囲は駿河湾周辺とした。
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津波の試算のケース分け
 想定震源域の断層運動による津波のケースを基本とし、これに加えて、想定震源域の途中から枝分かれ高角逆断層が派生するケース、破壊がトラフ軸まで及ぶケースについても試算をおこなった。各ケースの設定は以下の通り(資料2の図10参照)。

ケース1: 想定震源域による津波
 3次元的に複雑な曲面構造を持つ想定震源域を、強震動予測での手法と同様に0.05°間隔に配置した多数の小断層で近似して計算を行う(これを断層Tとする)。これらの小断層の断層パラメータの変位量は一様とし、走行、傾斜及びすべり角は強震動試算と同じとした。
ケース2: 想定震源域に加え、東海断層系が破壊した場合の津波
 想定震源域(断層T)の破壊の途中で、想定震源域内の東海断層系の高角逆断層が枝分かれ的に派生し、浅部まで破壊がおよぶ場合を試算する。高角逆断層を矩形断層Dで近似する。断層Dのすべり量はⅠ.1.で設定した平均変位量と同じとする。
ケース3: 想定震源に加え、トラフ軸まで破壊した場合の津波
 破壊が、想定震源域(断層T)のみでなく、トラフ軸まで破壊した場合の津波を試算する。想定震源域の外側(東〜南東〜南)で破壊するトラフ軸までの領域を、3枚の矩形断層A,B,Cで近似する。断層A,B,Cのすべり量はⅠ.1.で設定した平均変位量と同じとする。

 想定震源域を小断層の集合体で近似した場合の津波計算手法を評価するため、想定震源域を矩形断層で近似した次のケースの試算を行う。

ケース4: 想定震源域を1枚の矩形断層Eで近似する

 また、アスペリティを考慮し、震源域内の変位が一様でない場合として、次のケースについても試算を行った。

アスペリティケース1:
ケース1の断層Tの変位を強震動試算の場合と同じ変位とする。
アスペリティケース2:
ケース2の断層Tの変位を強震動試算の場合と同じ変位とする。
アスペリティケース3:
ケース3の断層Tの変位を強震動試算の場合と同じ変位とする。
 
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