南関東地域震災応急対策活動要領
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第5章 食料、飲料水及び生活必需品等の調達、供給及び物価安定に関する活動
第1 食料、飲料水及び生活必需品等の調達、供給及び物価安定に関する活動の基本方針
大地震時における食料、飲料水及び生活必需品等(以下この章において「物資」という。)の調達、供給及び物価安定に関する活動は、被災者の生活を維持するために必要不可欠な活動である。
国は、次の基本方針に基づいて効果的な物資の調達、供給及び物価安定に関する活動を行うものとする。
(1) 調達体制の整備
広域的な物資の調達活動を迅速かつ円滑に実施するため、主要な物資を中心とした調達体制を整備する。
(2) 緊急度、重要度に応じた調達活動
物資の中でも特に生命の維持に不可欠なものから優先的な調達、供給を行うことに努める。
(3) 物資等の安定供給及び物価の安定
被災地における物資等の安定的な供給及び物価の安定を図るため、必要な措置を講じる。
第2 物資の調達、供給活動の基本的な役割分担
被災者の生活の確保に必要不可欠な物資の調達、供給が円滑に行われるようにするため、国の各機関、地方公共団体を通じての役割分担はおおむね次のとおりとする。
(1) 国の役割
被災都県の区域を管轄する指定地方行政機関が都道府県地域防災計画等に基づき行う活動及び自衛隊が実施する災害派遣を除き、国は被災都県の域外にある物資の調達に限り支援することを原則とする。
ア 緊急災害対策本部
厚生省、農林水産省及び通商産業省(以下「物資関係省庁」という。)に対する物資調達、供給活動の実施の依頼
イ 厚生省
関係事業者等に対する応急給水の要請
ウ 農林水産省
(ア)
米穀、乾パン等自ら保有する食料の供給
(イ)
関係業界団体等を通じての食料の出荷要請
(ウ)
米穀及び乾パンの備蓄
エ 通商産業省
関係業界団体等を通じての生活必需品の調達
オ 郵政省
関係団体等を通じての通信機器の調達
カ 防衛庁
被災者に対する炊飯及び給水の実施
(2) 被災地方公共団体の役割
ア
主として当該地方公共団体の区域内にある物資の調達
イ
備蓄物資、自ら調達した物資及び国、他の地方公共団体等によって調達され引渡された物資の被災者に対する供給
第3 物資の調達体制等
(1) 被災都県等からの要請
被災都県及び各省庁は、被災者、応急対策活動従事者等に対して供給すべき物資が不足し、調達の必要がある場合には、調達を必要とする理由、必要な品目及び数量その他の必要な事項を示し、物資関係省庁に対して調達を要請することができる。
ただし、被災都県及び各省庁は特別の必要があると認める場合には、緊急災害対策本部を通じて物資関係省庁に対して上記の要請をすることができる。
(2) 物資関係省庁に対する依頼
緊急災害対策本部は、上記(1)のただし書の要請があった場合には、物資関係省庁に対して調達活動等を行うよう依頼する。
(3) とるべき措置の通報等
物資関係省庁は、(2)の依頼に対してとるべき措置を緊急災害対策本部に対して通報し、それを受けた緊急災害対策本部は、要請元である各省庁に対して又は指定行政機関を通じて被災都県に対して当該とるべき措置を連絡する。また、輸送手段がない場合には、第3章の定めるところによるものとする。
(4) 給水の要請
厚生省は、緊急災害対策本部からの依頼に基づき関係事業者等に対する給水の要請等を行い、迅速、確実な供給を確保する。
(5) 食料の調達等
農林水産省は、緊急災害対策本部からの依頼に基づき、おおむね次のような措置を講じる。
ア
米穀については、卸売業者に対し速やかに手持精米を売却するよう指示するほか、必要に応じ政府保有米穀を供給する。
イ
乾パンについては、あらかじめ備蓄してある災害対策用乾パンを供給する。
なお、災害発生時において備蓄数量が需要に満たない場合には、防衛庁から管理換を受けるものとする。
ウ
関係業界団体等を通じ、食品メーカー等に対して缶詰等の出荷要請を行う。
(6) 生活必需品の調達
通商産業省は、緊急災害対策本部からの依頼に基づき、関係業界団体等を通じ、生活必需品メーカー、卸売問屋等から生活必需品の迅速、確実な調達を行う。
(7) 通信機器の調達
郵政省は、緊急災害対策本部からの依頼に基づき、関係業界団体等を通じ、通信機器等の迅速、確実な調達を行う。
(8) 物資の引渡し方法等
緊急災害対策本部からの依頼に基づき調達される物資の引渡し方法等の細目については、別に定める。
(9) 保管命令及び収用
物資関係省庁が行う関係業界団体を通じての調達は、関係者の協力を得て行うことを原則とするが、特に必要があると認めるときは、災害救助法に定めるところにより保管命令又は収用を行うものとする。
(10) 物資の調達費用の支払等
緊急災害対策本部からの依頼に基づく調達に要する費用については、原則として次による。
ア 費用を支弁する者
物資の代金については、調達要請を行った被災都県又は各省庁が、引取り後支払う。
なお、被災都県が支弁する費用については、災害救助法に基づき国庫も所要の負担をする。
イ 調達価格等
(ア) 調達価格
発災直前の価格を基準として、調達の都度決定することを原則とする。
(イ) 損失補償
災害救助法に基づく収容による損失補償については、同法の定めるところによる。
(11) 想定される広域調達物資
次に掲げる品目については、被災都県の区域を越えた広域的な調達が必要になると想定される。
したがって、これらの物資については、調達体制の整備について特段の配慮をすることとし、その調達可能量については、農林水産省及び通商産業省が毎年度調査する。
食料
精米、即席めん、おにぎり、弁当、パン、缶詰、育児用調製粉乳
生活必需品
下着、毛布、作業着、タオル、エンジン発電機、卓上コンロ、ボンベ
第4 被災地における物資等の安定供給及び物価の安定のための方策
国は、生活関連の物資・サービスの需給、価格動向等について情報提供するとともに、関係事業者団体等の協力を得て、物資等の安定供給や物価の安定のために必要な措置をとる。
(1)
緊急災害対策本部は、物資等の安定供給及び物価の安定に関して必要な措置を行う。
(2)
経済企画庁は、物資等の需給・価格動向等に関する情報の収集・提供を行うとともに、相談窓口を充実・強化する。
(3)
農林水産省は、食料等の円滑な供給の確保及び価格の安定を図るため、関係業界団体等に対する安定出荷等の協力要請、輸送手段の確保、小売店に対する巡回点検、消費者相談窓口の設置等の所要の措置を講じる。
(4)
通商産業省は、被災地で不足している物資の生産者及び流通業者に対して、物資を適正な価格で被災地に供給するよう、関係事業者団体等を通じて指導する。この際、必要に応じて、当該物資の輸送手段の確保について必要な措置を講じる。
(5)
運輸省は、被災地において適切かつ公正な運輸サービスが提供されるよう、必要な措置をとる。
(6)
建設省は、必要に応じ、関係業界団体に対し、建設機械の調達、労働力の確保、資材調達について要請等を行う。また、不動産業界団体等を通じて、家賃の便乗値上げ防止を要請する。
第5 義援物資等の受入れ
南関東地域で大規模地震が発生した場合、その被害の甚大性から、義援物資の申し入れが多数寄せられることが予想される。
(1)
緊急災害対策本部は、被災地方公共団体等と連携し、被災地方公共団体が受入れを希望する物資等について把握し国民に広報する。
(2)
運輸省は、義援物資等の被災地への輸送、被災地内での輸送に関して所要の支援措置を講じる。
(3)
郵政省は、地方公共団体等と協議の上、同団体等にあてた救助用郵便物の料金免除を行う。
(4)
厚生省は、義援金の募集及び分配について助言する。
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1998.6.23 中央防災会議(事務局内担当:国土庁防災局震災対策課:E-mail:edcplan@nla.go.jp )