南関東地域震災応急対策活動要領
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第1章 総 則
第1 政府の活動体制
1 基本方針
政府は、南関東地域における地震災害の重大性にかんがみ、同地域の住民の生命、身体及び財産を保護するとともに同地域の機能の速やかな回復を図るため、その組織及び能力のすべてをあげて、災害応急対策活動を推進する責務を有しており、被災都県及び被災市町村の活動の支援等を行うとともに、被災都県の区域を越える広域的な災害応急対策活動を実施する。
具体的な活動体制は、次のとおりである。
(1)
政府は、著しく異常かつ激甚な被害が発生していると認められたときは、直ちに内閣総理大臣を長とする緊急災害対策本部の設置を行う。また、国の経済及び公共の福祉に重大な影響を及ぼす異常かつ激甚な被害が発生していると認められたときは、直ちに災害緊急事態の布告を行う。
(2)
指定行政機関及び指定公共機関においても、発災後速やかにそれぞれ対策本部を設けるなど必要な体制をとるものとする。
(3)
緊急災害対策本部は、災害応急対策の総合調整等を行う。
(4)
指定行政機関は、関係法令、防災基本計画、防災業務計画、大都市震災対策推進要綱及びこの要領に従って、災害応急対策を推進する。
2 緊急災害対策本部の設置等
(1)
著しく異常かつ激甚な被害が発生していると認められたとき、政府は、別に定める申合せによる手続きに従って、直ちに災害対策基本法に基づき内閣総理大臣を長とする緊急災害対策本部を設置するとともに、国の経済及び公共の福祉に重大な影響を及ぼす異常かつ激甚な被害が発生していると認められたときは、直ちに災害緊急事態の布告を行う。
(2)
地震の発生に際し、関係省庁幹部は、緊急に内閣総理大臣官邸(以下「官邸」という。)内に参集して、内閣としての初動措置を始動するため、情報の集約を行う。
(3)
政府は、緊急災害対策本部が設置されるまでの間、必要に応じて災害対策関係省庁連絡会議を開催するなど、当面の災害応急対策の検討等を行うものとする。
(4)
政府は、地震発生直後の情報量が限られた状況下で、被害規模を把握するため被害等推計結果の活用を図る。
(5)
緊急災害対策本部の設置の場所は、官邸内とする。ただし、官邸が被災により使用不能である場合には、国土庁(災害対策本部長室)内、国土庁の存する中央合同庁舎第五号館が被災により使用不能である場合には防衛庁(中央指揮所)内、防衛庁(中央指揮所)が被災により使用不能である場合には立川広域防災基地(災害対策本部予備施設)内とする。
(6)
政府は、被災現地の状況を把握し、応急対策の迅速かつ的確な実施に資するため、必要に応じ、政府調査団を被災現地に派遣する等の措置を講ずるものとする。
(7)
政府は、指定地方行政機関、地方公共団体等の各機関が実施する災害応急対策の総合調整に関する事務のうち、現地において機動的かつ迅速に処理する必要がある場合には、緊急災害現地対策本部(以下、「現地対策本部」という。)の設置を行うものとする。なお、現地対策本部の設置については、別に定める申合せによるものとする。
3 緊急災害対策本部の活動体制
(1)
緊急災害対策本部は、災害対策基本法の規定及び申合せに従って組織し運営する。
(2)
自衛隊のヘリコプターによる緊急災害対策本部員等の参集、政府調査団の被災現地への派遣、現地対策本部員及び必要な資機材の緊急輸送については、別に定める申合せによるものとする。
(3)
緊急災害対策本部が行う総合調整等の具体的な内容は、おおむね以下のとおりである。
ア
災害応急対策に関する基本方針の決定
イ
地震による被害の状況、災害応急対策の実施状況その他当該震災に関する情報の収集、整理及び分析並びに関係機関への連絡
ウ
関係機関が行う災害応急対策の調整
エ
被災の状況、政府の施策等についての広報の基本方針の決定
オ
その他災害応急対策を推進するため特に必要な事項
(4)
この要領に従って緊急災害対策本部の業務を効率的に遂行するため、指定行政機関の職員で構成する事務局を置く。事務局の組織及び要員の数等については、別に定める申合せによるものとする。
(5)
緊急災害対策本部は、必要に応じて、指定行政機関に、事務局への職員の増派等所要の支援措置を依頼する。
4 指定行政機関の活動体制
(1)
指定行政機関は、発災後速やかに、防災業務計画等で定めるところに従い対策本部を設けるなど必要な体制をとるものとし、このため、あらかじめ、非常電源の整備、食糧、燃料等の備蓄その他対策本部の設置運営に必要な事項に配慮するものとする。
(2)
指定行政機関は、被災都県を管轄しない指定地方行政機関に対し、広域的な応急対策を支援するため必要な範囲において、適宜、関係職員の待機その他必要な措置をとるよう指示するものとする。
(3)
指定行政機関は、災害対策基本法をはじめとする関係法令、防災基本計画、防災業務計画、大都市震災対策推進要綱及びこの要領に従って災害応急対策活動を推進するものとする。
(4)
指定行政機関は、災害応急対策活動を実施するに当たり、相互の間において、及び被災地方公共団体との間において、それぞれ緊密な連携の確保に努めるものとする。
第2 広域派遣、応援活動
1 緊急災害対策本部の役割
大規模震災時における応急対策活動は、一義的には市町村及び都県が実施するものであり、緊急災害対策本部は、被災都県が単独で対応することが困難な応急対策で、所管が複数の指定行政機関にまたがるものについて、総合的な調整を行うものである。
この際、緊急災害対策本部は、応急活動を効果的に実施するため、関係省庁、関係地方公共団体と連携を図りながら、複数都県からの要請に対応し、応急活動の優先順位を判断するよう努めるとともに、地方公共団体の応急対策を支援するべく積極的かつ迅速に応急対策を講じていくものとする。
2 地方公共団体の相互応援
(1)
この活動要領は、地方公共団体が相互応援として行う応急対策を妨げるものではない。また、この活動要領に基づく応急対策と地方公共団体が相互応援として行う応急対策は、互いに密接に連携して行わなければならない。
(2)
緊急災害対策本部は、地方公共団体の相互応援が効果的に実施されるように、必要な支援及び調整を行う。ただし、他の法律に特別の定めがある場合を除く。
3 自衛隊の災害派遣
防衛庁は、あらかじめ定めた災害派遣計画に従って、緊急災害対策本部と密接な連絡調整を図りつつ、災害派遣を実施するものとする。なお、災害派遣時に実施する救援活動の内容は、災害の状況、他の救援機関等の活動状況、被災都県の要請の内容、部隊等の人員、装備等を考慮し、防衛庁が緊急災害対策本部と密接な連絡調整を図りつつ決定するが、おおむね次のとおりである。
被害状況の把握、避難の援助、遭難者の捜索救助、水防活動、消防活動、道路又は水路の啓開、応急医療、救護及び防疫、人員及び物資の緊急輸送、炊飯及び給水、救援物資の無償貸与又は贈与、危険物の保安及び除去等
第3 災害救助法の運用
厚生省は、災害救助法の適切な運用を行うものとする。
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1998.6.23 中央防災会議(事務局内担当:国土庁防災局震災対策課:E-mail:edcplan@nla.go.jp )