南関東地域震災応急対策活動要領

南関東地域震災応急対策活動要領


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前文

第1 策定の背景等

本活動要領は、我が国の政治、経済の中心であり人口・諸機能の集積が著しい南関東地域に大規模な地震が発生した場合に、関係機関が効果的な連携をとった総合的な応急対策活動を実施し、激甚かつ広域的な被害に対処するための基本的な役割分担を定めるものであり、昭和63年に中央防災会議で決定されたものである。
平成7年1月17日に発生した阪神・淡路大震災は、戦後の我が国の大都市地域を襲った初めての大震災であり、その教訓等を踏まえ、防災上必要な諸施策の基本について国、地方公共団体、公共機関等の役割等を定める防災基本計画が改訂された。また、関連法令、計画等の改訂や、新たな諸施策の実施等が進められ、平成10年1月には、これらの進捗状況等を踏まえ、中央防災会議に大都市震災対策専門委員会が設置され、関係機関が的確な連携を図りながら、大都市地域における震災対策をより効果的なものとするための検討が行なわれた。
同専門委員会の提言や、南関東地域の社会情勢の変化、本要領に基づき各般の施策を進める中で得られた知見等を踏まえ、この度、平成10年6月の中央防災会議において本要領を修正した。修正に当たっては、緊急災害対策本部を中心に関係機関が連携して実施する応急対策について新たな内容を追加するとともに、同時に改訂された「南関東地域直下の地震対策に関する大綱」において、応急対策について平常時に実践的な備えをしておくことの重要性が示されたこと等から、要領においてもこれまで果たしてきた役割に加えて、平常時の備えの視点を充実したところである。

第2 目的及び性格

(1)

この活動要領は、南関東地域(埼玉県、千葉県、東京都及び神奈川県の区域をいう。以下同じ。)に広域的かつ激甚な被害をもたらす地震が発生した場合に、緊急災害対策本部をはじめとする関係機関が、相互に密接な連携をとりつつ、その機能を有効に発揮して災害応急対策を実施することにより、国民の生命、身体及び財産を災害から守ることを目的とする。

(2)

この活動要領は、災害対策基本法に基づく防災基本計画、大都市震災対策推進要綱及び南関東地域直下の地震対策に関する大綱を前提としつつ、広域的な災害に対処するために緊急災害対策本部が設置される場合を想定して、緊急災害対策本部が行う活動、緊急災害対策本部を中心とする関係機関が行う活動等に関する要領を示したものであり、防災業務計画及び地域防災計画と整合性を保ちつつ一体となって、災害応急対策の円滑な実施を図ろうとするものである。

(3)

さらに、この活動要領においては、南関東地域の大規模地震のための実践的な備えとして、中央防災会議等の場で検討し申し合わせておく個別の課題を明らかにしている。

第3 活動要領の適用

この活動要領は、南関東地域に広域的かつ激甚な被害をもたらす地震が発生し、その災害に対処するために緊急災害対策本部が設置される場合に適用するものとする。また、対象とする期間は発災後災害応急対策を終えるまでとし、緊急災害対策本部が応急対策の推進状況を勘案し、決定する。
なお、南関東地域におけるこれに準ずる震災に対処して非常災害対策本部が設置される場合においても、同本部が決定するところに従い一部又は全部を準用することを妨げない。

第4 地方公共団体との連携

(1)

本要領は、緊急災害対策本部を中心とする国の関係機関の連携に関する要領であるが、応急対策活動を効果的に展開するためには、南関東地域の地方公共団体との連携が極めて重要である。

(2)

特に、本要領に基づく実践的な備えを推進するに当たっては、関東地方知事会、七都県市首脳会議など地方公共団体の連携の場や、各地方公共団体の防災会議での取組みとの整合性を図り、また、国として必要な支援を行うため、密接な連携を図っていくものとする。

第5 本要領を補完する実践的な申合せの作成

(1)

大都市地域に大規模地震が発生した場合の応急対策活動については、限られた時間と情報の中で、的確に実施していく必要がある。このため、特定の課題について、可能な限りの事前の準備を、関係者の連携の下、実践的に行っておく必要がある。

(2)

これまでも、本要領に基づくマニュアルづくりなどが、関係機関の連携により進められてきたが、阪神・淡路大震災の経験等も踏まえ、本要領を補完する意味で応急対策についての実践的な対応パターンを構築し、要請手続き等の明確化、情報の共有、応急対策に活用する施設の指定等について検討しておく必要がある。

(3)

検討の結果については、中央防災会議等で申し合わせ、共有するものとする。本要領別表1において、今後検討していく課題を掲げているが、人命に直接的に関係する活動、関係機関が多岐にわたる活動から、順次検討していくものとする。
検討の進め方については、本要領改定後速やかに、中央防災会議主事会議において具体的な進め方等基本的な方針を定めるものとする。この際、関係地方公共団体の意向に十分に配慮するものとし、個別課題の検討に当たっても関係地方公共団体と協議しながら進めるものとする。
また、地震発生時には、応急対策に関する多様なニーズが発生することを踏まえ、災害発生時に応急対策全体における個々の活動の優先順位を適正に判断しながら応急対策を実施できるよう十分配慮しながら進めていく必要がある。また、地震発生直後に応急対策を迅速かつ効果的に実施するためには、現地での関係機関の密接な連携が重要であり、検討に当たって十分に配慮するものとする。

第6 活動要領の前提となる大規模地震についての認識

この活動要領の作成に当たっては、対策の万全を期するという観点から、過去において南関東地域に最大の被害をもたらした関東大地震級の地震を想定して行ったが、同地域において切迫性が指摘されている直下の地震に対し、必要に応じて一部又は全部を準用するものとする。南関東地域については、東海地震と異なり、直前予知なく発災する大規模な地震を想定して対策を講ずる必要があり、この活動要領の作成はこのような点を踏まえて行ったものである。

第7 活動要領の修正

この活動要領は、課題についての検討成果や施策の進捗状況等を踏まえ、毎年検討を加え、必要に応じて修正を加えていくものとする。


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1998.6.23
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