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EPCF
※「国土庁防災局」は、2001年より、「内閣府(防災部門)」になりました。
津波に対抗する地域社会について
 

 上記の要望が、後に津波防災事業を立ち上げることになる省庁に提出され、それらがコミュニティから出てきた課題に立ち向かっていくこととなった。我々省庁は、これまで共同で色々なツールを作成してきたが、果 たして成果を得たと言えるのであろうか。この点に関して、コミュニティは、警報に関する手順は改良され、津波防災事業によって州や連邦の機関とも定期的にコンタクトが取れるようになって、かなりの満足感を得ている。彼らは、数多くのミーティングやワークショップを通 じて、ツールの使い方が学べ、また彼らのインプットが次のツールの開発に使われるようになったことを喜んでいる。2000年の今日、コミュニティには、向上した警報システムが備わり、その手順についての理解が深まり、津波の到達距離や浸水マップに基づき地元にどのようなリスクが及ぶのかよく認識され、そのマップや専門家との意見交換により現実的な避難計画が作成され、優先ニーズに従ってより優れたツールが考案され、洗練されたより大きく、より多彩 な、情報伝達ネットワークが構築され、次の津波に対する彼らの計画が制度化されるようになった。1994年の経験によって出てきたコミュニティのニーズが津波防災事業によって実際のところどれくらい満たされているのかは、1997年のある郡の危機管理担当者の言葉から分かる。彼女は、自分の郡の津波対策は "1994年の時点よりも数年分ほど進歩した" と言っている。今日、沿岸地域のコミュニティの津波対策がどれくらい向上したかを定量 的に評価するために、1994年の基本調査が再度行われている。

 

日米協力の可能性について
 今日、沿岸地域のコミュニティの津波抵抗性は 1994 年に比べて高くなっており、また我々はそのような成功を可能とするツールや手段を提示してきた。我々は教育、探求、情報交換を今のままにとどめるのではなく、さらに押し進めていかなければならないことを知っている。それらは、津波に抵抗するための強力な基盤として不可欠なものである。そのような基盤があることによって、コミュニティは津波を生き抜いて、素早く回復に向かうことができるのである。次に、我々は、復旧の必要性などなくなるように、もっと長期的な視点から津波対策を考えて行かなければならない。我々は、建設、被害低減、土地利用を指導するためのツールや手法を考え出すことによって、より強力なコミュニティ構造を作り上げることができる。これを達成する一つのロジカルな方法は、日米の省庁やコミュニティが協力し合って専門知識の輪を広めていくことである。

 米国津波予防プログラム(NTHMP)は、連邦と州が連携して、津波の危険を減らそうとする努力であり、州や地域のワーキンググループを通 じて、地元コミュニティと密接な協力を行っている。我々はそのようなパートナーシップを、日本を招くことによってより高度な国際的なレベルにまで高めて、互いに学び合い、対策ツールを共有し合うこととする。次に一部示す分野が、日米交流の分野になると思われる:

・我々は現在、津波対策計画を、"プロジェクト・インパクト"、"全米洪水保険事業のコミュニティ評価サービス"、米国海洋大気局(NOAA)の "津波対応コミュニティ計画"、"ハザーズ U.S.による危険被害推定" など他の危険対応計画とどのようにかみ合わせるべきか検討中である。日本では、津波対策計画は他の防災計画や事業とどのような兼ね合いとなっているのかを知りたい。
・我々は、日米双方にとってそれぞれ目新しいと思われる津波対策資料やツールについて翻訳の可能性を検討したい。
・米国の州と日本の県の間のパートナーシップや "津波姉妹都市"協定のようなものの締結を検討したい。
・インターネットによる交流フォーラムを通じて定期的に連絡を取り合っていきたい。
・日米が相互に学び合えるように、交流訪問を実現し、我々の小委員会の活動に関心を持つ人々を招きたい。
・我々は日本の津波危険性のある地域で使われている建設材料や建設方法、被害緩和方法や、植栽についての情報に関心を持っている。
・無線による連絡の出来ない米国の遠隔地は、日本の遠隔地の村がどのような警報システムを取っているのかに関心を持っている。
・米国の缶詰産業が、日本の缶詰産業と共有しあえる津波対策や関連材料はないかと関心を持っている。
・我々は、警報システム、津波注意標識、学校のカリキュラム、地元自治体の浸水マップの活用方法、調査の結果 どのような活動やツールが特別有用であったり、または役に立たないと分かったかなど、日本の経験に関心を持っている。

 我々は、米国において津波に強いコミュニティの建設を支援していくために、日本の経験から色々なことを学んでいきたいと考えている。

 

主要参考文献
Atwater, B. et al (1999), Surviving a Tsunami - Lessons from Chile, Hawaii, and Japan, U.S. Geological Survey Circular 1187.
Dengler, L. (1998), Strategic Implementation Plan for Tsunami Mitigation Projects, NOAA Technical Memorandum ERL PMEL - 113.
Jonientz-Trisler, C. (1994) "Cascadia Response to October 4, 1994 Kurile Islands Mw 8.3 Earthquake-Induced Tsunami Warning" (abstract, American Geophysical Union, Fall 1994 Meeting)
Jonientz-Trisler, C., Mullin, J. (1999) 1997-1999 Activities of the Tsunami Mitigation Subcommittee: A Report to the Steering Committee of the National Tsunami Hazard Mitigation Program, FEMA Region 10 Publication.
Manson, C., Walking, L. (Editors) TsuInfo Alert, Washington Department of Natural Resources, Geology Division.

 

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