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EPCF
※「国土庁防災局」は、2001年より、「内閣府(防災部門)」になりました。
地震被害想定 − 国内の見通し
 
スチュアート・ニシェンコ(Stuart Nishenko)
連邦緊急事態管理庁(FEMA)
被害軽減局(Mitigation Directorate)
 

序論
 
過去の「地震問題」の大半は、地震災害そのもの(断層の位置・種類、地質、空間・時間的な強地震動の分布)の解明に焦点が置かれ、地震の危険度(災害、被災地人口、建築物の危険度、及び各々の脆弱性との関連性から引き出されるもの)にはあまり触れられていなかった。しかし政策、土地利用及び開発の決定などはいずれも被害危険度を伴うもので、それらの決定には被害想定及び決定実行性の評価を含む、適正なデータ入力を必要としている。

 カリフォルニアのノースリッジ地震及び日本の神戸地震の発生により、都市中心部に中規模の地震が起こった場合、その潜在的被害は甚大となるという意識が啓発され、中規模地震発生地域は被害危険度が高いことが示唆された。米国側からは、地震問題に関する多くの質問が寄せられた — 「危険度の高い、または災害の多発地域では、地震政策で被害想定が優先的に取扱われているかどうか?」

 連邦緊急事態管理庁(FEMA)は国立建築学研究所(NIBS)とともに、国家被害軽減戦略の一環として、地震被害想定標準手法HAZUS(Hazards United States)を共同開発したHAZUSは国内の主な災害、危険性、及び財産目録データベースを駆使して、地震被害の想定を行うものである。HAZUS手法により、国家・各州レベルの危機管理者へ、地震による危険度の回避並びに地震発生後の応急措置・復旧の向上に必要なツールが提供される。また同手法の活用により、応急措置のための地震後の被害想定を迅速に行う能力が養われ、国内の主な危険性と財産目録データベースの活用により、米国全土の複数地域における地震危険度を比較検討することが可能となる。

 本紙では、実際に行われているHAZUS被害想定手法の適用例を2件取り上げることとする — 国家地震危険度評価(National Earthquake Risk Assessment)及びワシントン州シアトル市でFEMAのプロジェクト影響主導の一環として行われたコミュニティ・プロフィール(Community Profile)である。また、HAZUSの風害・洪水被害モジュールの開発計画と国際協力に関しても述べている。

 
 

HAZUS
 HAZUSは、各地域の特性や地震被害の推計を迅速に算出する統合地理情報システム(GIS)に基づき構築された。HAZUSは現在、MapInfo及びArcView版で利用可能である。同手法の開発には、過去の地震の検討、専門家の判断により試作が行なわれ、目的意図に充分な成果が出せると判断された。さらにオレゴン州ポートランド市、マサチューセッツ州ボストン市において、一連の試験調査が行なわれた。HAZUS手法の詳細な記述は、HAZUSユーザーマニュアル及び技術マニュアル(1997a,b NIBS)にある。被害想定に関するEarthquake Spectra誌特別号上のJamieson及びMilheizler(1997年)及び他の一連の記事にも情報が記載されている(1997年 Brookshire他、1997a,b Kircher他、1997年Whitman他)。

 

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