第10章 地域への救援活動
計画作成の主旨
日常生活に支障をきたした、り災者等に対して行う食料その他の生活必需品、飲料水及び燃料の供給、医療救護活動、保健、衛生等の確保活動、死体捜索、応急住宅の確保並びにボランティア活動への支援について県、市町村、自主防災組織、県民等が実施する対策を示す。
計画の内容
510−1 食料及び日用品の確保
1 緊急物資の確保計画量
県及び市町村は、別に定める各品目ごとの推定必要量を確保するよう努めるものとする。
2 県
(1) 知事は、市町村から緊急物資の調達又はあっせんの要請があったときは、調達又はあっせんに努める。
(2) 緊急物資の調達先は、原則として、あらかじめ供給協定を締結した緊急物資保有者とする。これによっても不足するときは、県内の他の緊急物資保有者又は県外の緊急物資保有者から調達する。
(3) 緊急物資の輸送は事情の許す限り当該物資調達先に依頼する。当該物資調達先に依頼できないときは、輸送計画の定めるところにより輸送する。
(4) 災害応急対策が完了するまでの間、必要に応じて協定した緊急物資保有者の緊急物資の在庫量の把握を行う。
(5) 知事は、調達が困難な緊急物資について、国に対し調達又はあっせんを要請する。
(6) 必要に応じ保管命令、収容等物資の供給を確保する措置を講ずる。
(7) 知事は、他の都道府県知事とあらかじめ締結した災害時の応援に関する協定に基づき、緊急物資等の提供及びあっせんを要請する。
(8) 「災害救助法」に基づく県の実施事項は一般対策編による。3 市町村
(1) 非常持出しができない被災住民や旅行者等に対して緊急物資を配分する。
(2) 緊急物資の調達先は、原則としてあらかじめ供給協定を締結した緊急物資保有者とする。これによって調達できないときは、他の緊急物資保有者から調達する。市町村長は、必要に応じ次の事項を示して県に調達、又はあっせんを要請する。
ア 調達又はあっせんを必要とする理由
イ 必要な緊急物資の品目及び数量
ウ 引き渡しを受ける場所及び引受責任者
エ 連絡課及び連絡責任者
オ 荷役作業員の派遣の必要の有無
カ 経費負担区分
キ その他参考となる事項
(3) 緊急物資の配分に当たっては、事前に地域住民に対し広報を行うとともに、自主防災組織の協力を求め公平の維持につとめる。
(4) 避難所、その他の要所に自主防災組織の協力を得て、炊き出しの施設をもうけ、又は食品提供事業者の協力を求めて食事の提供を行う。
4 県民及び自主防災組織
(1) 緊急物資は家庭及び自主防災組織の備蓄並びに県民相互の助け合いによって可能な限りまかなうものとし、これによってまかなえない場合は市町村に供給を要請する。
(2) 自主防災組織は市町村が行う緊急物資の配分に協力する。
(3) 自主防災組織は必要により炊き出しを行う。
5 日本赤十字社静岡県支部
日本赤十字社静岡県支部が備蓄している非常災害用救援物資をあらかじめ定められた配分基準により、速やかに市町村を通じ被災者に配分する。
6 農林水産省、通商産業省
県から緊急物資の調達について協力要請があった時は、緊急物資をあっせんし又は調達する。
510−2 給水活動
1 県
(1) 知事は、市町村から飲料水の調達について、あっせんの要請があったときは、あらかじめ協定を締結した他の都道府県知事に対し、飲料水の提供及びあっせんを要請するとともに、隣接市町村、自衛隊又は国に対し協力を要請する。
(2) 知事は、市町村から応急給水を実施するため必要な資機材等の調達について要請があったときは、市町村間の調整を行い、必要なときは国に対し調整の要請を行う。
(3) 知事は、災害の程度及び給水活動の実施状況の把握に努めるとともに、その適切な実施を図るための指示、指導を行う。
2 市町村
(1) 飲料水の確保が困難な地域に対し給水拠点を定め、給水車等により応急給水を行う。
(2) 市町村長は、管内で飲料水の供給を実施することができないときは、次の事項を示して県に調達のあっせんを要請する。
ア 給水を必要とする人員
イ 給水を必要とする期間及び給水量
ウ 給水する場所
エ 必要な給水器具、薬品、水道用資材等の品目別数量
オ 給水車両のみ借上げの場合はその必要台数
(3) 自己努力によって飲料水を確保する住民に対し衛生上の注意を広報する。
(4) 地震発生後約8日を目途に仮設共用栓等を設置し最低の生活に必要な水を供給するよう努める。その場合の供給水量は1人1日20リットルを目標とし、飲料水の供給期間については上水道施設の応急復旧ができるまでの期間とする。
(5) 「災害救助法」に基づく飲料水の供給に係る応急救助の実施の程度等は、一般対策編による。
3 県民及び自主防災組織
(1) 地震発生後3日間は貯えた水等をもって、それぞれ飲料水を確保する。
(2) 地震発生後4日目から7日目位までは、自主防災組織による給水及び市町村の応急給水により飲料水を確保する。
(3) 地域内の井戸、湧水等を活用し、飲料水の確保に努める。この場合は特に衛生上の注意を払う。
(4) 市町村の実施する応急給水に協力し、飲料水の運搬配分を行う。
510−3 燃料の確保
1 県
知事は、市町村から炊き出しに必要なプロパンガス及び燃料器具の調達について、あっせんの要請があったときは、(社)静岡県プロパンガス協会に対し、その調達につき協力を要請する。.
2 市町村
(1) 市町村は炊き出しに必要なプロパンガス及び器具等の支給又はあっせんを行う。
(2) 市町村長は、炊き出しに必要とするプロパンガス及び器具等の調達ができないときは、次の事項を示して県に調達のあっせんを要請する。
ア 必要なプロパンガスの量
イ 必要な器具の種類及び個数
3 県民及び自主防災組織
地域内のプロパンガス販売業者等の協力を得て、使用可能なプロパンガス、及び器具等を確保するものとする。
510−4 医療救護活動
1 医療救護活動の基本方針
(1) 市町村は、市町村域内の医療救護を行うため、救護所を設置し、またあらかじめ指定した救護病院に中等傷患者及び重傷患者の処置及び収容を行う。なお救護病院を確保できない場合及び管内に救護病院がない場合には仮設救護病院を設置する。
(2) 県は、救護病院の中から、市町村等と協議してあらかじめ指定した広域救護病院を用い、市町村の医療救護活動について必要な調整を行う。
(3) 県及び市町村は、東海地震の危険度の試算を勘案して、あらかじめ定める医療救護計画に基づき円滑な医療救護活動を行う。
(4) 医療救護活動の実施に当たっては、必要に応じてトリアージタックを活用し、効率的な活動に努めるものとする。
2 救護所及び救護病院の活動等
(1) 救護所
ア 設置
市町村は地震による災害が発生したとき、あらかじめ定めた避難所等に救護所を設置する。
イ 活動
救護所は次の活動を行う。
(ア) 重傷患者、中等傷患者の振り分け
(イ) 貢傷患者の応急処置及び中等傷患者の処置
(ウ) 必要に応じて救護病院(救護病院のない市町村においては仮設救護病院)への収容指示
(エ) 死体の検案
(オ) 医療救護活動の記録及び市町村災害対策本部への措置状況等の報告
(カ) その他必要な事項
(2) 救護病院及び仮設救護病院
ア 設置
市町村は、地震による災害が発生したときは、あらかじめ市町村長が指定した救護病院で医療救護活動を行う。なお、救護病院の機能が失なわれたとき、又は救護病院のない市町村は仮設救護病院を設ける。
イ 活動
救護病院及び仮設救護病院は、次の活動を行う。
(ア) 重傷患者の収容と処置及び中等傷患者の処置
(イ) 広域救護病院への患者移送手配
(ウ) 死体の検案
(エ) 医療救護活動の記録及び市町村災害対策本部への収容状況等の報告
(オ) その他必要な事項
(3) 広域救護病院
ア 設置
知事は、救護病院の中からあらかじめ指定し、東・中・西部毎に広域救護病院を設置する。
イ 活動
救護病院と同じ機能をはたすほか、救護病院の確保が困難又は救護病院のない市町村の重傷患者等の処置及び収容を行う。
3 県
あらかじめ定める県医療救護計画に基づき次の措置を講ずる。
(1) 知事は、市町村から医師及び医療従事者(以下「医師等」という。)の派遣の要請があったときは医師等に対する協力要請派遣のため必要な措置を講ずる。この場合原則として県内の医師等をあてるものとする。また、知事は、必要に応じて日本赤十字社静岡県支部、他の都道府県又は国に対して派遣を要請する。
(2) 知事は、市町村から医薬品等の調達について要請があったときは医薬品備蓄センター及び静岡県医薬品卸商協同組合等から調達・あっせんを図る。
(3) 知事は、市町村から輸血用血液の調達・あっせんについて要請があったときは、県内血液センターへ供給を指示する。
(4) 知事は、市町村から医師等の派遣や緊急患者及び医薬品等の輸送について要請があり、必要と認めるときは緊急輸送計画の定めるところにより緊急輸送を行う。
(5) 知事は、市町村から薬剤師等の派遣要請があったときは、(社)静岡県薬剤師会に対して、その確保及び派遣を要請する。
(6) 被害の状況の推移に応じて、救護病院で医療救護ができないときは、市町村間の医療救護活動について必要な調整を行い、又は広域救護病院への収容のため必要な措置を講ずる。
(7) 広域救護病院の収容状況等の把握のため職員を配置する。
(8) 災害救助法に基づく医療及び助産に関する県の実施事項は一般対策編による。
4 市町村
あらかじめ定める医療救護計画に基づき次の措置を講ずる。
(1) 救護所開設予定施設及び救護病院の被災状況を調査し、医療救護体制を定める。
(2) 傷病者を必要に応じて、あらかじめ指定した最寄りの医療救護施設に搬送する。
(3) 傷病者の収容にあたっては医療救護施設が効果的に機能するよう収容状況の把握につとめ、必要な調整を行う。
(4) 救護所、救護病院の収容状況等の把握のため職員を配置する。
(5) 医療救護施設から、輸血用血液の調達・あっせんの要請を受けたときは、ただちに県災害対策支部に調達・あっせんを要請する。
(6) 輸血用血液の確保について必要があるときは、献血予約登録者等に協力を呼び掛ける。
(7) 市町村長は、救護病院において医療救護活動に従事する医師等が不足したときは、次の事項を示して県に派遣を要請する。
ア 派遣を必要とする人員(内科、外科、助産等別人員)
イ 必要な救護班数
ウ 医療救護活動を必要とする期間
工 救護班の派遣場所
オ その他必要事項
5 県民及び自主防災組織
(1) 軽傷を負った者については家庭又は自主防災組織であらかじめ準備した医療救護資機材を用い処置する。
(2) 負傷者で介護を要する者を最寄りの救護所又は救護病院に搬送する。
6 日本赤十字社静岡県支部の活動
(1) 医療救護班の派遣
ア 医療救護班の派遣
(ア) 日本赤十字社静岡県支部長は、県から医療救護班の派遣要請があったときは、ただちに出動させる。
(イ) 医療救護班は医療救護を行う地域の市町村と連携を保ち、医療救護、助産及び死体の処理等の応援を行う。
イ 広域応援
(ア) 日本赤十字社静岡県支部長は、災害の状況に応じ日本赤十字社に対し、医療救護班の派遣を要請する。
(イ) 日本赤十字社静岡県支部長は、日本赤十字社に対し、必要に応じ輸血用血液の確保及び緊急輸送について援助を要請する。
(ウ) 医療救護班及び輸血用血液の輸送のためのヘリポート、輸送車両の確保について必要があるときは県に必要な措置を要請する。
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