東海地震対策

第9章 交通の確保対策

計画作成の主旨

 災害応急対策及び災害応急復旧対策を円滑に行うため、陸上及び海上交通機能の早期回復、混乱の防止等交通確保対策の概要を示す。(東海地震以外の地震の場合は、状況に応じ対応するものとする。)

計画の内容

59−1 陸上交通の確保

1 地震が発生したときの自動車運転者のとるべき措置
(1) 走行中の自動車運転者は、次の要領により行動すること。
ア できる限り安全な方法により車両を道路の左側に停止させること。
イ 停車後は、カーラジオ等により災害情報及び交通情報を聴取し、その情報及び周囲の状況に応じて行動すること。
ウ 車両を置いて避難するときは、できるだけ道路外の場所に移動しておくこと。やむを得ず道路上に置いて避難するときは、できる限り道路の左側に寄せて駐車し、エンジンを切り、エンジンキーは付けたままとし、窓を閉め、ドアロックはしないこと。駐車するときは、避難する人の通行や災害応急対策の実施の妨げとなるような場所には駐車しないこと。
(2) 避難のために車両を使用しないこと。
(3) 災害対策基本法に基づく交通規制が行われたときには、通行禁止区域等(交通規制が行われている区域は道路の区間をいう。以下同じ。)における一般車両の通行は禁止又は制限されることから、同区域内に在る運転者は次の措置をとること。
ア 速やかに、車両を次の場所に移動させること。
(ア) 道路の区間を指定して交通の規制が行われたときは、規制が行われている道路の区間以外の場所
(イ) 区域の指定をして交通の規制が行われたときは、道路外の場所
イ 速やかな移動が困難なときは、車両をできる限り道路の左側に沿って駐車するなど、緊急通行車両の通行の妨害とならない方法により駐車すること。
ウ 通行禁止区域内において、警察官の指示を受けたときは、その指示に従って車両を移動又は駐車すること。その際、警察官の指示に従わなかったり、運転者が現場にいないために措置をとることができないときは、警察官が自らその措置をとることがあり、この場合、やむを得ない限度において、車両等を破損することがあること。
2 情報の収集
 県は、建設省、日本道路公団、市町村、自衛隊、鉄道事業者等の協力を求め主要道路及び鉄道の被害状況について情報の収集を行う。
3 陸上交通確保の基本方針
(1) 県公安委員会は、緊急輸送路について優先的にその機能を確保するため原則として一般車両の通行を禁止又は制限する。
(2) 県公安委員会は、区域又は道路の区間を指定し、被災地域での一般車両の走行及び被災地への流入を原則として禁止する。
(3) 道路管理者は、道路の破損、決壊、その他の事由により交通が危険であると認められる場合は区域を定めて道路の通行を禁止又は制限する。
 この場合、通行の禁止又は制限の対象区間、期間及び理由を明瞭に記載した道路標識を設ける。
(4) 県公安委員会及び道路関係者は、相互に連絡を保ち交通規制の適切な運用を図る。
(5) 道路関係者は、緊急輸送路に選定された道路、その他の道路の利用が早急かつ円滑にできるよう必要な措置を行う。
4 交通規制の実施
(1) 初動の措置
ア 警察官は、大震災が発生し又はまさに発生しようとしている場合、緊急に避難路、救出・救助用道路等を確保するため交通規制を行う。
イ 県公安委員会は、緊急交通路を確保するため災対法の規定による交通規制を実施し、緊急交通路の各流入部において、緊急通行車両以外の車両の通行を禁止する。
(2) 緊急輸送路等の確保
 知事は、道路被害状況の調査結果に基づいて、第1次、第2次、第3次緊急輸送路を中心に県警察及び道路管理者と協議し緊急輸送に当てる道路を選定する。この場合県警察は県下主要交差点等を中心とする交通要所に警察官等を配置し、交通整理、指導及び広報を行う。
(3) 交通規制実施後の広報
 県公安委員会は、交通規制を実施した場合、警察庁、管区警察局、日本道路交通情報センター、交通管制センター、報道機関等を通じ交通規制の内容等を広く周知徹底させ秩序ある交通を確保する。
5 道路交通確保の措置
(1) 道路交通確保の実施体制
 道路管理者、県公安委員会は他の防災関係機関及び地域住民等の協力を得て道路交通の確保を行う。
(2) 道路施設の復旧
 道路管理者、建設業協会等の協力を求め道路施設の被害状況に応じた効果的な復旧を行う。
(3) 交通安全施設の復旧
 県公安委員会は緊急輸送路の信号機等、輸送に必要な施設を最優先して交通安全施設の応急復旧を行う。
(4) 警察官の措置命令
ア 警察官は、通行禁止区域等において、車両その他の物件が緊急通行車両の通行の妨害となることにより災害応急対策の実施に著しい支障が生じるおそれがあると認めるときは、当該車両その他の物件の占有者、所有者又は管理者に対し、当該車両その他の物件の移動等の措置をとることを命じることができる。
イ アによる措置をとることを命ぜられた者が当該措置をとらないとき又はその命令の相手方が現場にいないために当該措置をとることを命ずることができないときは、警察官は、自ら当該措置をとることができる。また、この場合において、警察官は、当該措置をとるためやむを得ない限度において、車両その他の物件を破損することができる。
ウ ア及びイを警察官がその場にいない場合に限り、自衛隊法第83条第2項の規定により派遣を命ぜられた当該自衛官は、自衛隊用緊急通行車両の円滑な通行を確保するため必要な措置をとることを命じ、又は自ら当該措置をとることができる。
エ ア及びイを、警察官がその場にいない場合に限り、消防吏員は、消防用緊急通行車両の円滑な通行を確保するため必要な措置をとることを命じ、又は自ら当該措置をとることができる。
(5) 除去障害物の処分
 除去した障害物は、あらかじめ処分地として定めた空地、民間の土地所有者に対する協力依頼等によって確保した空地、及び駐車場等に処分する。また適当な処分場所がない場合は避難路及び緊急輸送路以外の道路の路端等に処分する。
(6) 由比地区における緊急輸送路の確保
 由比地区における緊急輸送を確保するため、東名高速道路と国道1号の相互利用を必要とし、それが可能な場合は同所に設けた開口部を利用する。
6 緊急通行車両の確認等
(1) 緊急通行車両の確認は、「災害対策基本法」第50条第1項に掲げる災害応急対策に従事する車両について行う。
(2) 緊急通行車両の確認事務手続き
ア 確認事務処理、受付、手続等は別に定める
イ 確認の手続きの効率化・簡略化を図り、かつ、緊急輸送の需要をあらかじめ把握するため、緊急通行車両については、事前に必要事項の届出をすることができる。事前届出及び確認の手続については、別に定める。
ウ 警戒宣言発令時に交付した標章及び緊急輸送車両確認証明書は、地震発生後においては、「災害対策基本法」施行令第33条第2項の規定による標章及び緊急通行車両確認証明書とみなす。
エ 鉄道確保の措置
 崩土、線路の流失陥没、路盤の破壊等、応急復旧を要する被害が発生した場合は、防災関係機関等の協力を得て、輸送の緊急度に応じ崩土除去、路盤の復旧並びに仮線路、仮橋の仮設等応急工事を行う。

59−2 海上交通の確保

1 情報の収集
 県は、運輸局、海上保安庁、自衛隊、市町村、漁業協同組合等の協力を求め、海岸施設、港湾施設の被害状況、水路、航路標識の異常の有無、石油コンビナートの被害状況、港内の状況等について情報の収集を行う。
2 海上交通の規制
(1) 海上保安庁は、海難船舶、危険物の流出域、損壊した係留施設・海上構築物及び流出した船舶、木材、筏等が船舶交通に支障がある場合は、その範囲・日時を定めて船舶の交通を制限し又は禁止する。
(2) 海上保安庁は、海難船舶、漂流物または沈没した物件等が船舶交通に障害となる場合には、これらの所有者に除去を命じ又は勧告を行う。
(3) 海上保安庁は、船舶交通の安全を図るため、必要に応じ船舶交通の整理・指導を行う。
3 海上交通確保の措置
(1) 海上交通の調整
 県は、海上保安庁等、防災関係機関と相互に連絡し、県内の海上交通確保について必要な輸送路の選定等の調整を行う。
(2) 港湾施設等の応急措置
 港湾及び漁港の管理者は、管理する港湾、漁港について障害物の除去、応急修理等輸送確保のための応急措置を講ずる。
(3) 海上自衛隊及び海上保安庁に対する支援要請
 知事は、市町村又は港湾及び漁港の管理者から、油の流出による火災の鎮圧、水路、航路の確保のための措置の実施等、海上交通の確保のため必要な措置の実施について、応援要請があったときは、自衛隊、海上保安庁等に対し応援を要請する。
(4) 海上保安庁等は、水路の水深に異常が生じた時は、必要に応じ検測を行い、標識等の設置により航路の安全を確保する。
(5) 海上保安庁等は、航路標識が損壊又は流出した時は、速やかに復旧に努めるほか、必要な応急措置を講ずる。
(6) 海上保安庁は、警報の伝達、排出油の防除、危険物の保安、海難救助等の適切な措置を講ずる。

 

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