第7章 避難活動
計画作成の主旨
地震災害が発生したときの避難対策及び避難生活の基本となる事項を示す。
計画の内容
57−1 避難対策
1 避難対策の基本方針
(1) 地震災害発生時においては、津波、山・崖崩れ及び延焼火災の危険予想地域のみならず、その他の地域においても、建物倒壊その他の要因により、避難が必要となる場合がある。このため県及び市町村は、迅速、的確な避難活動を行う必要があるため、可能な限りの措置をとることにより住民等の生命、身体の安全確保に努める。
(2) 避難誘導や避難生活の運営に当たっては、災害弱者に配慮するものとする。
(3) 避難対策の周知に当たっては、住民においては、避難の際は、自らの身の安全を確保しつつ、可能な限り出火防止措置を施すとともに、地域の防災活動に参加することを啓発するものとする。
2 避難のための勧告及び指示
(1) 勧告・指示の基準
ア 市町村長は、災害が発生するおそれがあり、住民等の生命及び身体を保護するため必要があるときは、必要と認める地域の住民等に対し避難の勧告をする。また危険の切迫度及び避難の状況等により急を要するときは避難の指示をする。
イ 警察官又は海上保安官は、市町村長が避難の指示をする事ができないと認めるとき又は市町村長から要請のあったときは、住民等に対して避難の指示をする。この場合、警察官又は海上保安官は直ちに避難の指示をした旨を市町村長に通知する。
ウ 知事は、災害の発生により市町村長がその事務の全部又は大部分の事務を行うことができなくなったときは、市町村長に代わって避難の勧告又は指示をする。この場合、知事はその旨を公示する。
エ 災害派遣を命じられた部隊等の自衛官は、災害の状況により特に急を要する場合で、警察官又は海上保安官がその場にいない場合に限り、危険が切迫している住民等に対して、避難の措置を講ずる。
(2) 勧告・指示の内容
避難の勧告・指示を行う際は、次に掲げる事項を伝達し、避難行動の迅速化と安全を図る。
ア 避難の勧告・指示が出された地域名
イ 避難経路及び避難先
ウ 避難時の服装、携行品
エ 避難行動における注意事項
(3) 勧告・指示の伝達方法
市町村長又は知事は、避難の勧告又は指示をしたときは、直ちに勧告又は指示が出された地域の住民に対して、同時通報用無線等により放送するほか、警察官、海上保安官、自主防災組織等の協力を得て伝達し、その旨の周知徹底を図る。
3 警戒区域の設定
(1) 設定の基準
ア 市町村長は、災害が発生し又はまさに発生しようとしている場合において、住民等の生命、身体に対する危険を防止するため特に必要があると認めるときは、警戒区域を設定する。
イ 警察官又は海上保安官は市町村長(権限の委託を受けた市町村の職員を含む。)が現場にいないとき、又は市町村長から要請があったときは警戒区域を設定する。この場合、警察官又は海上保安官は直ちにその旨を市町村長に通知する。
ウ 知事は、災害の発生により市町村長が警戒区域を設定することができなくなったときは、市町村長に代わって警戒区域を設定する。この場合、知事はその旨を公示する。
エ 災害派遣を命じられた部隊等の自衛官は、市町村長(権限の委託を受けた市町村の職員を含む)警察官又は海上保安官がその場にいない場合に限り、警戒区域を設定する。この場合、自衛官は直ちにその旨を市町村長に通知する。
(2) 規制の内容及び実施方法
ア 市町村長、警察官、海上保安官、知事又は自衛官は警戒区域を設定したときは、退去又は立入禁止の措置を講ずる。
イ 市町村長、警察官及び海上保安官は協力し住民等の退去の確認を行うとともに、可能な限り防犯・防火のためのパトロールを実施する。
4 避難地への市町村職員等の配置
市町村が設定した避難地(一次避難地及び広域避難地)には、避難誘導、情報伝達、応急救護のため市町村職員(消防職員、団員を含む。)を配置する。また、必要により警察官の配置を要請する。
5 避難の方法
災害の状況により異なるが原則として次により避難する。
(1) 要避難地区で避難を要する場合
ア 火災が発生し、広範囲に延焼するおそれがある地域
(ア) 火災が延焼拡大し近隣住民等による消火が不可能になった場合、住民等は協力してあらかじめ定めた集合場所へ集合する。
(イ) 自主防災組織及び事業所等の防災組織(以下「自主防災組織等」という。)は、集合所を中心に組織をあげて消火・救出・救護・情報活動を行う。
(ウ) 住民等は、集合所の周辺地区の災害が拡大し危険が予想されるときは、自主防災組織等の単位ごとに可能な限り集団避難方法により一次避難地又は広域避難地へ避難する。
(エ) 一次避難地へ避難した住民等は、当該一次避難地に危険が迫ったときは、自主防災組織等の単位ごとに市町村職員、警察官、海上保安官又は自衛官の誘導のもとに、幹線避難路を経て広域避難地へ避難する。
イ 津波危険予想地域及び山・崖崩れ危険予想地域の住民は、出火防止措置を講じた後、直ちに自主的に安全な場所へ避難する。
(2) 任意避難地区で避難を要する場合
住民等は、災害が拡大し危険が予想されるときは、出火防止措置をとった後、自宅周辺の安全な場所等へ自主的に避難する。
6 幹線避難路の確保
市町村は、職員の派遣及び警察官・自主防災組織等の協力により幹線避難路上にある障害物の排除に努め、避難の円滑化を図るものとする。
7 避難地における救護等
(1) 避難地に配置された市町村職員又は警察官は自主防災組織等の協力を得て次の事項を実施する。
ア 津波・火災等の危険の状況の確認及び避難した者への情報伝達
イ 避難した者の掌握
ウ 必要な応急の救護
エ 状況に応じ、避難した者への帰宅の指示、保護者への引き渡し又は避難所への収容
(2) 市町村が設定した避難地を所有し又は管理する者は、避難地の開設及び避難した者に対する応急の救護に協力するものとする。
8 避難状況の報告
「47−1 避難対策」の項の「5 避難状況の報告」に準ずる。
57−2 避難所の設置及び避難生活
1 基本方針
市町村は収容を必要とする被災者の救助のために避難所を設置するとともに、「避難生活計画書」に沿って円滑な避難生活が行われるように、自主防災組織及び避難所の学校等施設の管理者の協力を得て必要最低限の避難生活を確保するために必要な措置を講ずる。
避難生活の運営に当たっては、災害弱者に配慮するものとする。
2 避難所の設置及び避難生活
(1) 避難生活者
避難所で避難生活をする者は、災害によって現に被害を受け、又は受けるおそれのある者で居住する場所を確保できない者とする。
(2) 設置場所
ア 津波や山・崖崩れの危険のない地域に設置する。
イ 避難所の設置にあたっては、避難所の被害状況及び安全性を確認のうえ、避難生活者の人数に応じて次の順位により設置する。
(ア) 学校、体育館、公民館等の公共建築物
(イ) あらかじめ協定した民間の建築物
(ウ) 広域避難地、一次避難地等に設置する小屋又はテント等(自主防災組織等が設置するものを含む。)
ウ 障害者、高齢者、乳幼児等については、その状況に応じて収容するための社会福祉施設等を確保する。
エ 状況に応じ、公的宿泊施設、民間宿泊施設、ゴルフ場施設等を確保する。
オ 状況に応じ、船舶を宿泊施設として活用する。その場合は、県を経由して中部運輸局清水海運支局又は下田海運支局に船舶のあっせんを要請する。
(3) 設置期間
市町村長は、地震情報、降雨等による災害発生の危険、住宅の応急修理の状況及び応急仮設住宅の建築状況等を勘案し、県と協議して設置期間を決める。
(4) 避難所の運営
ア 市町村は、自主防災組織及び避難所の学校等施設の管理者の協力を得て避難所を運営する。
イ 避難所には避難所等の運営を行うために必要な市町村職員を配置する。また避難所の安全の確保と秩序の維持のため、必要により警察官の配置を要請する。
ウ 避難生活の運営に当たっては、災害弱者に配慮するものとする。
エ 自主防災組織は、避難所の運営に関して市町村に協力するとともに、役割分担を確立し、相互扶助の精神により自主的に秩序ある避難生活を送るように努める。
オ 市町村は、要援護者の保健福祉に対する要望を把握し、保健福祉サービスの提供に努めるとともに、避難生活が困難な要援護者の社会福祉施設等への移送に努める。
(5) その他
ア 災害救助法に基づく県の実施事項は一般対策編による。ただし、実施期間については必要に応じ延長する。
イ 県管理施設の避難所としての利用については、一般対策編による。
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