第6章 災害の拡大防止活動
計画作成の主旨
災害の拡大を防止するため消防活動、水防活動、救出活動及び被災建築物等に対する安全対策について、県、市町村、自主防災組織並びに県民が実施すべき事項を示す。
計画の内容
56−1 消防活動
1 消防活動の基本方針
地震により発生する火災は、、各地に同時に多発する可能性が大きい。したがって次の基本方針により消防活動を行う。
(1) 県民、自主防災組織及び事業所等は、自らの生命及び財産を守るため、出火防止活動及び初期消火活動を実施する。
(2) 地域の住民は協力して可能な限り消火活動を行い、火災の拡大を防止する。特に危険物等を取り扱う事業所においては二次災害の防止に努める。
(3) 消防署及び消防団は、地震時の同時多発火災に対処するための市町村消防計画の定めるところにより多数の人命を守ることを最重点にした消防活動を行う。
2 消防署及び消防団の活動
(1) 火災発生状況等の把握
消防長は消防署及び消防団を指揮し、管内の消防活動に関する次の情報を収集し、市町村災害対策本部及び警察署と相互に連絡を行う。
ア 延焼火災の状況
イ 自主防災組織の活動状況
ウ 消防ポンプ自動車等の通行可能道路
エ 消防ポンプ自動車その他の車両、消防無線等通信連絡施設及び消防水利等の活用可能状況
(2) 消防活動の留意事項
消防長は地震により発生した火災の特殊性を考慮し、次の事項に留意し消防活動を指揮する。
ア 延焼火災件数の少ない地区は集中的な消火活動を実施し安全地区を確保する。
イ 多数の延焼火災が発生している地区は住民の避難誘導を直ちに開始し、必要に応じ避難路の確保等住民の安全確保を最優先とする活動を行う。
ウ 危険物の漏洩等により災害が拡大し又はそのおそれのある地区は、住民等の立入禁止、避難誘導等の安全措置をとる。
エ 救護活動の拠点となる病院、避難地、幹線避難路及び防災活動の拠点となる施設等の火災防御を優先して行う。
オ 自主防災組織が実施する消火活動との連携、指導に努める。
3 事業所(この章において、研究室、実験室を含む。)の活動
(1) 火災予防措置
火気の消火及びプロパンガス、都市ガス、高圧ガス、石油類等の供給の遮断の確認、ガス、石油類、毒物、劇物等の流出等異常発生の有無の点検を行い、必要な防災措置を講ずる。
(2) 火災が発生した場合の措置
ア 自主消防隊(班)等の防災組織による初期消火及び延焼防止活動を行う。
イ 必要に応じて従業員、顧客等の避難誘導を行う。
(3) 災害拡大防止措置
都市ガス、高圧ガス、火薬類、石油類、毒物、劇物等を取り扱う事業所において、異常が発生し災害が拡大するおそれがあるときは、次の措置を講ずる。
ア 周辺地域の居住者等に対し避難等の行動をとる上で必要な情報を伝達する。
イ 警察、最寄りの防災機関にかけつける等可能な手段により直ちに通報する。
ウ 立入禁止等の必要な防災措置を講ずる。
4 自主防災組織の活動
(1) 各家庭等におけるガス栓の閉止、プロパンガス容器のバルブの閉止等の相互呼びかけを実施するとともにその点検及び確認を行う。
(2) 火災が発生したときは消火器、可搬ポンプ等を活用して初期の消火活動に努める。
(3) 消防隊(消防署、消防団)が到達したときは消防隊の長の指揮に従う。
5 県民の活動
(1) 火気の遮断
使用中のガス、石油ストーブ、電気ヒーター等の火気を直ちに遮断するとともに都市ガスはメーターガス栓、プロパンガスはボンベのバルブ、石油類のタンクはタンクの元バルブをそれぞれ閉止及び電気ブレーカーの遮断をする。
(2) 初期消火活動
火災が発生した場合は消火器、くみおき水等で消火活動を行う。
56−2 水防活動
地震による津波及び洪水に対する水防活動の概要を示す。
なお、水防活動のための水防組織並びに水防活動の具体的内容については、県及び市町村の水防計画の定めるところによる。
1 水防管理及び水防管理団体の活動
(1) 地震による津波及び洪水の襲来が予想され、著しい危険が切迫していると認められるときは、知事、その命を受けた職員又は水防管理者は、必要とする区域の居住者に対し避難の呼びかけを行う。
なお、呼びかけを行った旨を当該地域を管轄する警察署長に通知する。
(2) 水防管理者、水防団長又は消防機関の長は、水防上危険な個所を発見したときは、直ちに関係機関及び当該施設の管理者に連絡し、必要な措置を要請し、緊急を要する場合は、必要な措置を行い、被害が拡大しないよう努める。
(3) 河川、ため池、水門、樋門等の管理者は被害状況を把握し、直ちに関係機関に通報するとともに必要な応急措置を講ずるものとする。
2 水防活動の応援要請
(1) 水防管理団体は、相互に協力するとともに、必要に応じ応援を要請する。
ア 水防管理者は、水防上必要があるときは、あらかじめ相互に協定した隣接水防管理者に対し応援を要請する。
イ 水防管理者は、必要があれば市町村長に対し応援を求める。
ウ 水防区長は、管理区域の相互応援についての調整を行うとともに必要に応じ自衛隊及び警察官の出動を水防本部に要請する。
(2) 市町村長は、必要があるときは、次の事項を示し、自衛隊の派遣、又は警察官の出動を県に要請する。
ア 応援を必要とする理由
イ 応援を必要とする人員、資機材等
ウ 応援を必要とする場所
エ 期間その他応援に必要な事項
56−3 人命の救出活動
1 人命救出活動の基本方針
(1) 救出を必要とする負傷者等(以下「負傷者等」という。)に対する救出活動は、市町村長が行うことを原則とする。
(2) 県、県警察及び自衛隊は、市町村長が行う救出活動に協力する。
(3) 県は救出活動に関する応援について市町村間の総合調整を行う。
(4) 市町村は、当該市町村の区域内における関係機関による救出活動について総合調整を行う。
(5) 自主防災組織、事業所等及び県民は、地域における相互扶助による救出活動を行う。
(6) 自衛隊の救出活動は「第5章 広域応援活動」の定めるところにより行う。
2 県
(1) 知事は、市町村から負傷者等の救出活動について応援を求められ、特に必要があると認めたときは、その状況に応じ次の措置を講ずる。
ア 県職員を派遣し救出活動を支援する。
イ 他の市町村長に対し応援を指示する。
ウ 自衛隊に対し支援を要請する。
エ 救出活動の総合調整を行う。
(2) 災害救助法に基づく県の実施事項については、一般対策編による。ただし実施期間については、状況に応じ国と協議して延長する。
3 県警察
被害状況に応じて可能な限り警察官を派遣し、負傷者等の救出にあたる。
4 市町村
(1) 職員を動員し負傷者等を救出する。
(2) 市町村長は、自ら負傷者等の救出活動を実施することが困難な場合、次の事項を示して知事に対し救出活動の実施を要請する。また必要に応じ民間団体の協力を求める。
ア 応援を必要とする理由
イ 応援を必要とする人員、資機材等
ウ 応援を必要とする場所
エ 応援を必要とする期間
オ その他周囲の状況等応援に関する必要事項
5 自主防災組織、事業所等
自主防災組織及び事業所の防災組織は、次により自主的に救出活動を行うものとする。
(1) 組織内の被害状況を調査し、負傷者等の早期発見に努める。
(2) 救出活動用資機材を活用し組織的救助活動に努める。
(3) 自主防災組織と事業所等の防災組織は、相互に連携をとって地域における救出活動を行う。
(4) 自主救出活動が困難な場合は、消防機関、警察又は海上保安部等に連絡し早期救出を図る。
(5) 救出活動を行うときは、可能な限り市町村、消防機関、警察、海上保安部と連絡をとりその指導を受けるものとする。
6 自衛隊
県の要請に基づき救出活動を実施する。
56−4 学校における災害応急対策
学校における災害応急対策は、発災時が児童生徒の在校時とそれ以外の時間とで大きく異なること、また、多くの学校が避難地、避難所となることを考慮し、「学校の地震防災対策マニュアル(県教育委員会編)」及び「学校の地震防災対策マニュアル(ダイジェスト版)」に基づき、次の項目について計画し、対策を行う。
(1) 学校の防災組織と教職員の任務
(2) 教職員動員計画
(3) 情報連絡活動
(4) 避難誘導
(5) 実験・実習中の対策
(6) 校外活動中の対策
(7) 火元の遮断と初期消火活動
(8) 救護活動
(9) 児童生徒の帰宅方法及び保護者への引き渡し方法
(10) 登下校対策
(11) 発災後の施設点検と二次災害の防止
(12) 応援活動
以上の項目の他、特殊教育諸学校については、その特殊性に配慮する。
56−5 被災建築物等に対する安全対策
被災建築物等に対する安全対策の基本方針
地震により建築物等が被害を受けたときは、その後の余震等による人的被害の発生を防止するため、次の安全対策を実施する。
(1) 県及び市町村は、(社)静岡県建築士会等建築関係団体の協力を得て、地震被災建築物応急危険度判定士等により、被災建築物等の危険度の把握を行うとともに、必要な措置を講ずる。
(2) 県及び市町村は、被災宅地危険度判定士等により被災宅地等の危険度の把握を行うとともに、必要な措置を講ずる。
(3) 県民は、自らの生命及び財産を守るため、被災建築物等の安全性を確認するとともに、必要な措置を講ずる。
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