第5章 広域応援活動
計画作成の主旨
広域激甚な災害に対応する県、警察、市町村、自衛隊等の応援活動の概要を示す。
計画の内容
1 県
(1) 指定行政機関等に対する災害応急対策の実施の要請
知事は、県内における災害応急対策が的確かつ円滑に行われるようにするため、必要があると認めるときは、「災害対策基本法」第29条の規定に基づき、次の事項を明らかにして、指定行政機関の長もしくは指定地方行政機関の長に対し応急措置の実施を要請する。
ア 援助を必要とする理由
イ 援助を必要とする人員、航空機、装備、資機材等
ウ 援助を必要とする場所
エ 県内経路
オ 期間、その他必要事項
また、「災害対策基本法」第30条の規定に基づき、内閣総理大臣に対し、次の事項を明らかにした上で職員の派遣についてあっせんを求める。
ア 派遣のあっせんを求める理由
イ 派遣のあっせんを求める職員の職種別人員数
ウ 派遣を必要とする期間
エ 派遣される職員の給与その他の勤務条件
オ その他職員の派遣あっせんについて必要な事項
(2) 他の都道府県に対する応援要請
知事は、他の都道府県知事とあらかじめ災害時の応援に関する協定を締結し、災害応急対策を実施するため必要があると認めたときは、この協定に基づき応援を要請する(資料編P498、508)
なお協定に基づく応援で不足する場合には、協定外の県に対して応援を要請する(資料編P494)
(3) 市町村に対する応援
ア 知事は、市町村から災害応急対策を実施するために応援を求められた場合は、県の災害応急対策の実施との調整を図りながら、必要と認められる事項について最大限の協力をする。
イ 知事は、市町村の行う災害応急対策の的確かつ円滑な実施を確保するため、特に必要があると認めるときは、市町村長に対し次の事項を示して当該市町村の災害応急対策の実施状況を勘案しながら、市町村相互間の応援について必要な指示又は調整を行う。
(ア) 応援を必要とする理由
(イ) 応援を必要とする人員、装備、資機材等
(ウ) 応援を必要とする場所
(エ) 応援を必要とする期間
(オ) その他応援に関し必要な事項
(4) 民間団体等に対する応援協力の要請
ア 応援協力要請の対象となる民間団体等
(ア) 青年団体、婦人団体、商工団体、農林水産団体、日本赤十字社奉仕団
(イ) 大学、高校、各種講習所、養成所等の学生・生徒
(ウ) その他、奉仕活動を申し入れたボランティア団体等
イ 応援協力要請の時期及び要請事項
知事は、市町村から要請があったとき、又は知事が必要と認めたときは、次の事項を示して応援協力を要請する。
(ア) 応援協力を要請する人員
(イ) 作業内容
(ウ) 作業場所
(エ) 集合場所
(オ) その他応援協力要請に関し必要な事項
ウ 応援協力要請の実施方法
応援協力要請の具体的実施方法は一般対策編による。
2 県警察
(1) 他の都道府県警察に対する援助要請
県公安委員会は、県内警備力を持って災害に対処することができない場合、次の事項を明らかにして警察庁又は他の都道府県警察に対し「警察法(昭和22年法律第162号)」第60条に基づく援助要請を行う。
ただし、機動通信隊については管区警察局に要請する。
ア 援助を必要とする理由
イ 援助を必要とする人員、航空機、装備、資機材、服装、携行品等及び期間
ウ 援助を必要とする場所
エ 県内経路(特に道路の破損がある場合)
オ その他必要事項
3 消防
知事は、災害の状況により消防の広域応援の必要があると認めるときは、「消防組織法(昭和22年法律第226号)」第24条の3に基づき、次の事項を明らかにして、消防庁長官に対し応援出動等の措置を要請する。
ア 応援を必要とする理由
イ 応援を必要とする人員、航空機、装備、資機材等
ウ 応援を必要とする場所
エ 県内経路
オ その他必要事項
4 市町村
(1) 知事等に対する応援要請等
市町村長は、当該市町村の災害応急対策を実施するため必要があると認めるときは県に対し次の事項を示して応援を求め、又は災害応急対策の実施を要請する。
ア 応援を必要とする理由
イ 応援を必要とする人員、資機材等
ウ 応援を必要とする場所
エ 応援を必要とする期間
オ その他応援に関し必要な事項
(2) 他の市町村長に対する応援要請
市町村長は、当該市町村の地域に係る災害応急対策を実施するため、必要があると認めるときは、あらかじめ災害時の広域応援に関する協定を締結した他の市町村長に対し応援を求めるものとする。
また、「消防組織法」第21条に基づき締結された「静岡県消防相互応援協定」に基づき、協定している他の市町村長に対し応援を求めるものとする。この場合応援を求められた市町村長は、県が行う市町村間の調整に留意するとともに必要な応援をするものとする。
5 応援要員の受入れ体制
防災関係機関が災害応急対策を実施するに際して、各機関が県外から必要な応援要員を導入した場合、知事及び派遣先の市町村長はこれらの要員のための宿泊施設等について、各機関の要請に応じて、可能な限り準備する。
1 自衛隊の災害派遣の要請
知事は、自衛隊の災害派遣を必要とするときは、支援を要請する事項等を明らかにして派遣を要請するものとする。また、事態の推移に応じ、要請しないと決定した場合は、直ちにその旨を連絡するものとする。
(1) 派遣要請事項
ア 車両、航空機等状況に適した手段による被害状況の把握
イ 避難者の誘導、輸送等避難のための必要があるときの援助
ウ 行方不明者、負傷者等が発生した場合の捜索援助
エ 堤防、護岸等の決壊に対する水防活動
オ 火災に対し、消防機関に協力しての消火活動
カ 道路又は水路の確保の措置
キ 被災者に対する応急医療、救護及び防疫
ク 救急患者、医師その他救助活動に必要な人員及び救援物資の緊急輸送
ケ 被災者に対する炊飯及び給水支援
コ 防災要員等の輸送
サ 連絡幹部の派遣
シ その他知事が必要と認める事項
(2) 派遣要請手続
知事は、次の事項を明らかにした文書をもって、東海地震の場合には、陸上自衛隊第34普通科連隊を通じて陸上自衛隊東部方面総監(大規模震災災害派遣実施部隊の長)あて、その他の地震災害の場合は、陸上自衛隊第34普通科連隊長、海上自衛隊横須賀地方総監又は航空自衛隊浜松基地航空教育集団司令官あて要請する。
ただし、緊急を要するときは、県防災行政無線等又は口頭をもって行い、事後速やかに文書をもって措置する。
ア 災害の状況及び派遣を要請する理由
イ 派遣を希望する期間
ウ 派遣を希望する区域及び活動内容
エ その他参考となるべき事項
(3) 市町村長等の災害派遣要請の要求の依頼手続
市町村長は、災害応急対策を円滑に実施するため、必要があるときは知事に対し自衛隊の派遣要請について(2)のア〜エの事項を明示した文書をもって、必要な措置を講ずるよう要求する。
ただし、緊急の場合は、防災行政無線等又は口頭をもって行い、事後速かに文書をもって措置する。また、知事への要求ができない場合は、その旨及び当該地域に関わる災害の情況を陸上自衛隊第34普通科連隊長又は、最寄りの部隊に通知し、知事に対してその旨を速やかに通知する。
2 自衛隊との連絡
(1) 情報交換
知事は、災害応急対策に関する各種の情報を迅速的確に把握し災害応急対策を効果的に実施するため、陸上自衛隊にあっては第34普通科連隊を通じて東部方面総監部、海上自衛隊にあっては横須賀地方総監部と、航空自衛隊にあっては浜松基地航空教育集団指令部と密接な情報交換を行う。
(2) 連絡班の派遣等
ア 東海地震の場合には、陸上自衛隊第34普通科連隊を通じて陸上自衛隊東部方面総監部を窓口として、陸、海、空部隊に対し、連絡班の派遣を要請する。
その他の地震災害の場合は、陸上自衛隊第34普通科連隊長、海上自衛隊横須賀地方総監又は航空自衛隊浜松基地航空教育集団司令官に連絡班の派遣を要請する。
イ 自衛隊派遣業務の円滑化を図るため災害対策本部及び支部に自衛隊連絡室を設置し連絡調整を行う。
(3) 自衛隊支援活動の総合調整
知事は、派遣部隊の長と協議し対策の緊急性、重要性を判断し支援活動の優先順位を定め、自衛隊の実施する活動が円滑かつ効果的に実施されるよう調整を行う。
3 災害派遣部隊の受入れ体制
(1) 県及び市町村は、自衛隊の活動が他の機関の活動と競合重複しないよう効率的な作業分担を定める。
(2) 市町村長は、自衛隊の作業の円滑な促進を図るため、可能な限り総合的な調整のとれた作業計画を作成し、資機材の準備及び関係者の協力を求め支援活動に支障のないよう措置を講ずる。
(3) 市町村長は、派遣された自衛隊の宿泊施設等必要な設備を可能な限り準備する。
4 災害派遣部隊の撤収
知事は、当該市町村長等及び派遣部隊の長並びに自衛隊連絡班と協議し、派遣の必要がなくなったと認めた場合は、東海地震の場合には、陸上自衛隊東部方面総監(大規模震災災害派遣実施部隊の長)に、その他の地震災害の場合は、陸上自衛隊第34普通科連隊長、海上自衛隊横須賀地方総監又は航空自衛隊浜松基地航空教育集団司令官に対し派遣部隊の撤収を要請する。
5 経費の負担区分
自衛隊が災害応急対策又は、災害復旧作業を実施するため必要な資機材、宿泊施設等の借上料及び光熱水費、通信運搬費、消耗品等は県及び当該市町村が負担するものとする。
1 海上保安庁の支援の要請
知事は、海上保安庁の支援を必要とするときは、支援を要請する事項等を明らかにして支援を要請するものとする。
(1) 支援要請事項
ア 傷病者、医師、避難者等又は救援物資等の緊急輸送
イ 巡視船を活用した医療活動場所及び災害応急対策従事者への宿泊場所の提供
ウ その他、県及び市町村が行う災害応急対策の支援
(2) 支援要請手続
知事は、次の事項を明らかにした文章をもって、清水海上保安部又は下田海上保安部を窓口として海上保安庁第三管区海上保安本部長に要請する。
ただし、緊急を要するときは、県防災行政無線等又は口頭をもって行い、事後速やかに文書をもって措置する。また、清水海上保安部又は下田海上保安部との連絡が困難である場合には、第三管区海上保安部もしくは他の海上保安庁の事務所又は沖合に配備された海上保安庁の巡視船艇もしくは航空機を通じて要請するものとする(海上保安庁の巡視船艇・航空機は、防災相互通信波の受信機を搭載)。
ア 災害の概要及び支援活動を要請する理由
イ 支援活動を必要とする期間
ウ 支援活動を必要とする区域及び活動内容
エ その他参考となる事項
(3) 市町村長の支援要請の依頼手続き
市町村長は、災害応急対策を円滑に実施するため、必要があるときは知事に対し海上保安庁の支援について(2)のア〜エの事項を明示した文書をもって、必要な措置を講ずるよう依頼する。
ただし、緊急を要するときは、県防災行政無線等又は口頭をもって行い、事後速やかに文書をもって措置する。
また、事態が急迫し、知事に要請を依頼するいとまがない場合、又は知事を通じて要請することが困難な場合には、直接、最寄りの海上保安庁の事務所又は沖合に配備された海上保安庁の巡視船艇もしくは航空機を通じて要請するものとし、知事に対してもその旨を速やかに連絡する。
2 海上保安庁との連絡
(1) 情報交換
知事は、災害応急対策に関する各種の情報を迅速的確に把握し災害応急対策を実施するため、第三管区海上保安本部と密接な情報交換を行う。
(2) 連絡員の派遣
地震が発生したときは、清水海上保安部又は下田海上保安部に対し連絡員の派遣を要請する。
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