第4章 緊急輸送活動
計画作成の主旨
災害応急対策要員、緊急物資及び応急復旧資機材の緊急輸送を円滑に行うため、必要な体制、車両、人員、資機材等の確保、緊急輸送の調整などについて定める。
計画の内容
54−1 県
1 緊急輸送対策の基本方針
(1) 交通関係諸施設などの被害状況及び復旧状況を把握し、復旧の各段階に応じた的確な対応をとるものとする。
(2) 緊急輸送は県民の生命の安全を確保するための輸送を最優先に行うことを原則とする。
(3) 県内で輸送手段等の調整ができないときは、国又は災害時における応援協定を締結している各都県に協力を要請する。
2 緊急輸送の対象等
(1) 緊急輸送の対象とする人員、物資等
ア 災害応急対策要員として配備される者、又は配置替えされる者
イ 医療、助産その他救護等のため輸送を必要とする者
ウ 飲料水、緊急物資等
エ り災者を収容するため必要な資機材
オ 公共施設、生活関連施設等の災害防止用及び応急復旧用資機材
カ その他知事が必要と認めるもの。
(2) 緊急輸送の経過の想定
ア 第一段階(被災直後)
自衛隊のヘリコプターによる輸送支援を中心に次の輸送を行う。
(ア) 災害応急対策要員及び災害応急対策に必要な医療従事者又は医療品等
(イ) 無線中継基地、無線局の点検・保守のために必要な人員及び資機材
(ウ) 災害の拡大を防止するための人員及び資機材
(エ) ヘリコプターの燃料
イ 第二段階(被災後1日〜6日程度の間)
ヘリコプター、航空機、船舶及び輸送可能な道路を利用して次の輸送を行う。
(ア) 第一段階の輸送の続行
(イ) 緊急処置を必要とする患者等
(ウ) 食料等生命の維持に必要な緊急物資
(エ) 輸送路確保のための必要な人員及び資機材
(オ) 旅行者等
ウ 第三段階(被災後7日間程度以降)
陸上及び海上の輸送を中心に次の輸送を実施する。なお陸上交通が不可能な地域に対しては空中輸送を継続する。
(ア) 災害復旧に必要な人員、資機材
(イ) 生活必需品
3 緊急輸送体制の確立
交通施設の被害状況を勘案し、状況に応じた緊急輸送計画を作成する。
なお、緊急輸送計画の作成に当っては乗員、機材、燃料の確保状況、輸送施設の被害状況、復旧状況、輸送必要物資の量を勘案する。
(1) 陸上輸送体制
ア 輸送路の確保
(ア) 道路管理者は警察、自衛隊等の協力を得て交通が可能な道路、道路施設の被害、復旧見込み等緊急輸送計画作成に必要な情報を把握する。
(イ) 災害対策本部は、交通可能道路等の情報に基づき緊急ルートを選定する。
(ウ) 道路管理者は、選定された緊急ルートの確保に努める。更にあらかじめ指定された1次、2次、3次の緊急輸送路の順に緊急輸送路の応急復旧を行い、輸送機能の充実を図る。
イ 輸送手段の確保
緊急輸送は知事の要請により、自衛隊、東海旅客鉄道株式会社、東日本旅客鉄道株式会社、日本貨物鉄道株式会社、日本通運株式会社等の協力を得て次の車両により行う。知事は県内において輸送手段の調達ができない場合、又は、県外から輸送を行う場合で必要があるときは、国又は災害時における応援協定を締結している各都県に協力を要請する。
(ア) 県有車両
(イ) 陸上自衛隊の車両
(ウ) 鉄道輸送会社等の車両
鉄道輸送会社等との連絡体制は一般対策編による。
(エ) 運送業者等の車両
ウ 集積所及び要員の確保
(ア) 物資集積所及び要員の確保は「静岡県緊急物資集積所設置運営要領」による。
(イ) 支部、市町村ごとの物資集積所は別に定める。
(2) 海上輸送体制
ア 輸送路の確保
(ア) 港湾及び漁港の管理者は、市町村、自衛隊、海上保安庁等の協力を得て交通の可能な航路、港湾等の施設の被害、復旧見込み等緊急輸送計画作成に必要な情報を把握する。
(イ) 災害対策本部は、港湾施設等の被害状況の情報に基づき海上輸送ルートを定める。
(ウ) 港湾及び漁港の管理者は、自衛隊、海上保安庁の協力を得て、港内の航行可能路を選定するとともに海上輸送ルートの確保に努める。
イ 輸送手段の確保
緊急輸送は、海上自衛隊、海上保安庁、中部運輸局及び防災関係機関等の協力を得て次の船舶により行う。なお、知事は必要に応じ国及び他の都道府県に対し協力を要請する。
(ア) 防災船及びその他の県有船舶
(イ) 海上自衛対の艦艇
(ウ) 海上保安庁の舟艇
(エ) 民間船舶及び漁船
ウ 集積場所及び要員の確保
(ア) 港湾及び漁港の管理者は、港湾・漁港施設、公共用地等を利用して物資の集積場所を確保する。
(イ) 物資の集積配分業務を円滑に行うため、物資の集積場所には必要に応じ県職員を派遣する。
(3) 航空輸送体制
ア 輸送施設の確保
(ア) 災害対策本部は、航空緊急輸送計画を作成するため、自衛隊に要請し浜松基地、静浜基地、板妻駐屯地の利用可能状況を把握する。
(イ) ヘリコプターの離着陸は、あらかじめ定めたヘリポートで行うことを原則とする。
(ウ) 支部は、管内市町村を通じあらかじめ定めたヘリポートの使用可能状況を把握し、災害対策本部に報告する。
(エ) 必要に応じ清水市又は日本赤十字社静岡県支部に要請し三保飛行場の利用可能状況を把握する。
(オ) 一時に多量の緊急物資の輸送が必要になった場合は、自衛隊に空中投下による輸送を依頼する。
なお、投下場所の選定、安全の確保についてはその都度定める。
イ 輸送の手段
緊急輸送は、自衛隊、日本赤十字社静岡県支部等の協力を得て次の航空機により行う。
(ア) 自衛隊の航空機
(イ) 県及び県警察のヘリコプター
(ウ) 日本赤十字社静岡県支部及び民間の航空機
ウ 集積場所及び要員の確保
自衛隊との事前の協議に基づき、浜松基地、静浜基地、板妻駐屯地内に集積場所を設けるとともに必要に応じ連絡調整に当るため、県職員を派遣する。
(4) 燃料確保対策
ア 自動車、船舶の燃料
(ア) 県有車両、県有船舶の燃料、その他県の災害応急対策を実施するため必要な燃料については、あらかじめ業者等と締結した協定に基づき確保に努める。
(イ) 必要に応じ燃料の緊急輸送を行う。
イ 航空機の燃料
県の所有する防災ヘリコプター及び他県からの応援ヘリコプターの災害応急対策活動等のため必要な燃料については、あらかじめ業者等と締結した協定に基づき確保に努める。
(5) 輸送の調整等
ア 市町村及び防災関係機関の緊急輸送の円滑な実施を確保するため、必要があるときは災害対策本部において調整を行う。
この場合、次により調整することを原則とする。
第1順位 県民の生命の安全を確保するため必要な輸送
第2順位 災害の拡大防止のために必要な輸送
第3順位 災害応急対策のために必要な輸送
イ 災害救助法に基づく実施事項
「災害救助法」適用に基づく県の実施事項については一般対策編による。
54−2 市町村及び防災関係機関の緊急輸送
1 市町村
(1) 市町村の災害応急対策を実施するため必要な緊急輸送は市町村が行うことを原則とする。
(2) 市町村長は、緊急輸送の応援が特に必要であるときは、県に対し必要な措置を要請する。
(3) 緊急輸送の方針、輸送する人員、物資及び輸送体制については県に準ずる。
(4) 市町村は、管内のヘリポートの緊急点検及び保守管理を行い、使用可能状況を県に報告する。
2 防災関係機関
防災関係機関が災害応急対策を実施するために必要な緊急輸送は、防災関係機関がそれぞれ行うものとするが、特に必要な場合は災害対策本部に必要な措置を要請する。
3 中部運輸局の緊急輸送
中部運輸局(陸上輸送に関すること。)は、緊急輸送の要請を受けた場合には、静岡陸運支局を通じて関係協会及び当陸運支局の管轄地域事業者と迅速な連絡をとり、緊急輸送に使用しうる自動車の出動可能台数等の確認を行う。次いで速やかに関係自動車運送事業者に出動できるよう体制を整えさせることとする。
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