東海地震対策

第7章 避難活動計画作成の主旨

 市町村長その他避難の実施及び安全等の措置を講ずる者(以下「避難実施等措置者」という。)は、それぞれ警戒宣言が発せられたときは、地域住民、施設の利用者等が迅速かつ安全に避難し、生命及び身体の安全が確保できるよう、避難の計画を定める。この避難計画を定めるに当たっての基本とすべき事項を示す。

計画の内容

47−1 避難対策

1 避難対策の基本方針
(1) 市町村が、市町村地域防災計画において明らかにした津波の浸水及び山・崖崩れの発生の危険が予想されるため、避難の勧告・指示の対象となる地域(以下「避難対象地区」という。)の住民等は、警戒宣言が発せられた時は、速やかに危険地域以外のあらかじめ定めた避難地へ避難する。
(2) 「避難対象地区」の住民等が避難地まで避難するための方法については、徒歩によるものとする。
 ただし、山間地で避難地までの距離が遠く、徒歩による避難が著しく困難な「避難対象地区」の住民等については、地域ごとの実情に応じて車両の活用の適否を検討するなど、避難行動の実効性を確保するように努めるものとする。
(3) 避難地では、自主防災組織の単位で行動するものとする。
(4) 避難誘導や避難地での生活に当たっては、災害弱者等に配慮するものとする。
(5) その他の地域の住民等は、居住する建物の耐震性・地盤等の状況に応じて、必要がある場合、自主防災組織が定める付近の安全な空地等へ避難する。
 避難のための勧告及び指示
(1) 勧告・指示の基準
 市町村長は、原則として「避難の勧告」を行うものとし、急を要する時は、「避難の指示」を行うものとする。
(2) 勧告・指示の伝達方法
 市町村長は、警戒宣言発令後速やかに避難対象地区の住民等に対し、同時通報用無線、有線放送、広報車等により避難の勧告・指示を行うものとする。また、警察官、海上保安官に対し、避難の勧告・指示の伝達について協力を要請するものとする。
 なお、市町村は、必要に応じ避難の勧告・指示に関する放送を県に依頼する。
(3) 避難に関しての周知事項
 市町村(消防機関及び水防団を含む。)及び警察署は、常日頃から避難対象地区住民に対し、避難に関する次の事項について周知を図るとともに、警戒宣言が発せられた時は、警戒宣言が出されたこと、避難すべき地区名、避難する時期等の伝達に努める。
ア 避難対象地区の地区名
イ 出火防止措置、消火器の点検、貯水、家具の転倒防止措置等の地震防災応急対策の実施
ウ 避難経路及び避難先
エ 避難する時期
オ 避難行動における注意事項(携帯品、服装等)
 警戒区域の設定
(1) 警戒区域設定対象地域
 市町村は、避難対象地区のうち、「大規模地震対策特別措置法」(以下この編で「法」という。)第26条において準用する「災害対策基本法」第63条の規定に基づく警戒区域として設定すべき地域をあらかじめ選定し、2の(3)に準じて周知を図る。
(2) 規制の内容及び実施方法
 市町村長は、警戒宣言が発せられた時は速やかに警戒区域の設定を行い、退去又は立入り禁止の措置をとる。市町村長は、警察官、海上保安官の協力を得て、住民等の退去の確認を行うとともに、可能な限り、防犯・防火のためのパトロールを実施するように努める。
 避難計画の作成
 避難実施等措置者は、それぞれ避難地、避難路、避難方法、避難誘導責任者及び避難開始時期等を内容とする避難計画を、別に定める指針により作成し、地域住民、施設の利用者等に周知徹底し、避難の円滑化を図るものとする。
 避難計画の策定に当たっては、災害弱者の避難誘導、避難地での生活等に配慮するものとする。
 避難状況の報告
(1) 市町村は、自主防災組織及び施設等の管理者から直接に、又は所轄警察署を通じて次に掲げる避難状況の報告を求める。
 ただし、避難対象地区以外の地域にあっては、原則として、次のイに関する報告を求めないものとする。
ア 避難の経過に関する報告——危険な事態その他異常な事態が発生した場合、直ちに行う。
(ア) 避難に伴い発生した危険な事態、その他異常な事態の状況(場所、人員を含む。)
(イ) 上記事態に対し、応急的にとられた措置
(ウ) 市町村等に対する要請事項
イ 避難の完了に関する報告——避難完了後、速やかに行う。
(ア) 避難地名
(イ) 避難者数
(ウ) 必要な救助・保護の内容
(エ) 市町村等に対する要請事項
(2) 市町村は、避難状況について県へ報告する。

47−2 避難地の設置及び避難生活

1 基本方針
 市町村は、避難を必要とする者のために避難地を設置するとともに、「避難生活計画書」に沿って円滑な避難生活が行われるように、自主防災組織及び避難地の学校等施設の管理者の協力を得て必要最低限の避難生活を確保するために必要な措置を講ずる。
2 避難地の設置及び避難生活
(1) 避難生活者
 避難地で避難生活をする者は、津波や山・崖崩れ危険予想地域に住む者、帰宅できない旅行者等で居住する場所を確保できない者とする。
(2) 設置場所
ア 津波や山・崖崩れの危険のない地域に設置する。
イ 原則として公園、学校グラウンド等の野外に設置する。ただし、災害弱者等の措置を講じてある建物内にも設置することができる 。
(3) 設置期間
 警戒宣言が発せられてから警戒宣言が解除されるまで又は地震が発生し避難所が設置されるまでの期間とする。
(4) 避難地の運営
ア 市町村は、自主防災組織及び避難地の学校等施設の管理者の協力を得て避難地を運営する。
イ 避難地には避難地の運営等を行うために必要な市町村職員を配置する。また、避難地の安全の確保と秩序のため、必要により警察官の配置を要請する。
ウ 避難地の運営に当たっては、災害弱者に配慮するものとする。
エ 自主防災組織は、避難地の運営に関して市町村に協力するとともに、役割分担を確立し、相互扶助の精神により自主的に秩序ある避難生活を送るように努める。

 

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