東海地震対策

第4編 地震防災応急対策

 警戒宣言が発せられてから東海地震が発生するまでの間、または警戒解除宣言が出されるまでの応急対策について定める。
 なお、警戒宣言が発せられる時期や地震予知情報の内容に応じて対策のすすめ方が異なる場合があるので、これらの事情を考慮して対策を定める。

第1章 防災関係機関の活動

計画作成の主旨

 警戒宣言発令時の県、市町村及び防災関係機関の防災活動組織、要員の確保及び防災活動の概要について定める。

計画の内容

41−1 県

1 県地震災害警戒本部
(1) 設置
 知事は、警戒宣言が発せられたときは、静岡県地震災害警戒本部(以下「警戒本部」という。)を設置する。
(2) 組織及び所掌事務
 組織及び所掌事務は、「静岡県地震災害警戒本部条例(昭和54年条例第30号)」及び「静岡県地震災害警戒本部運営要領(昭和54年11月14日施行)」の定めるところによるが、その概要は次のとおりである。
ア 組織
 警戒本部に、本部長、副本部長、本部員及び本部職員を置く。また県行政センターごとに支部(以下この編において「支部」という。)を置く。
(ア) 本部長
・本部長は知事が当たる。
・本部長は、警戒本部の事務を総括し、職員を指揮監督する。
(イ) 副本部長
・副本部長は、副知事、出納長及び県警察本部長が当たる。
・副本部長は、本部長を補佐し、本部長に事故があるときはその代理をする。
(ウ) 総合司令室
・総合司令室は、本部長、副本部長、総務部長、防災局長、防災総室長、企画部長、健康福祉部長、土木部長及び自衛隊幹部をもって構成する。
・総合司令室は、本部長が主掌し、重要な地震防災応急対策について協議する。
・総合司令室に、総括班、対策班、広報班、支援班、動員班及び管財班を置き、本部長並びに総合司令室の事務を処理し、各部の対策の連絡調整を行う。
(エ) 本部員会議等
・本部員会議は、本部長、副本部長及び本部員をもって構成する。
・本部員会議は、地震防災応急対策について協議する。
・本部長は、県の地震防災応急対策について協議するため、部長会議を招集する。
(オ) 支部への職員の派遣
・本部長は必要と認めたときは、地震防災応急対策の支援業務に従事する職員を指揮監督し、支部に派遣することができる。
(カ) 支部
・支部に、支部長、副支部長、その他の職員を置く。
・支部長は、県行政センター所長をもって充てる。
・支部長は、支部の事務を総括し、支部職員を指揮監督する。
(キ) 支部の総括班
・支部に総括班を置き、支部長の事務を処理し、各班の対策の連絡調整を行う。
(ク) 支部会議
・支部長は、支部の地震防災応急対策について協議するため、必要に応じて支部会議を招集する。
(ケ) 市町村への職員の派遣
・支部長は、必要があると認められるときは、職員を市町村へ派遣することができる。
イ 所掌事務
 警戒本部が所掌する事務の主なものは、次のとおりである。
 なお、支部管内の範囲で対策実施または調整できる事務は、支部において対処する。
(ア) 警戒宣言、地震予知情報その他地震防災上必要な情報の収集及び伝達
(イ) 地震防災応急対策上必要な広報
(ウ) 緊急輸送の実施又は調整
(エ) 災害発生に備えた食料、医薬品等の確保準備
(オ) 社会秩序を維持する活動
(カ) 市町村及び防災関係機関が実施する地震防災応急対策の連絡調整
2 職員動員(配備)
(1) 総合司令室の構成員は、判定会招集時には、直ちに総合司令室において防災業務につく。
(2) 警戒本部の各部(局、所)長、各支部長、各班長は判定会招集時等には直ちに所定の場所において防災業務につく。
(3) 総合司令室付職員及び支部総括班員並びに各部各班及び支部各班の職員のうち地震防災応急対策に従事する班及び分掌事務があらかじめ定められた職員(以下「第1次地震防災応急対策要員」という。)は、判定会招集時には、直ちに所定の場所において防災業務につく。ただし、出張中等にあって、上記によることが困難な場合には、所属長に連絡し、指示を受ける。
(4) 第1次地震防災応急対策要員以外の各部各班及び支部各班の職員(以下「第2次地震防災応急対策要員」という。)は、別に定める地震災害警戒本部運営要領に基づき、判定会招集時においてあらかじめ定められた事務所等に登庁し、登庁した事務所等を管轄する支部長の指揮の下に地震防災応急対策に当たる。ただし、出張中等にあって、上記によることが困難な場合には、所属長に連絡し、指示を受ける。
3 警戒本部開設の準備
 警戒本部の開設を円滑にするため、知事が別に定める職員は、指示があったときには、直ちにあらかじめ定められた場所に参集する。
4 警戒本部解説の準備
 災害が発生し、他都道府県からの緊急消防援助隊を受け入れることとなった場合に備え、消防庁及び代表消防機関と連携体制を確保し、受け入れ体制を確保するように努めるものとする。

41−2 市町村

1 市町村警戒本部の設置
 市町村は、警戒宣言が発されたときは、市町村地震災害警戒本部(以下「市町村警戒本部」という。)を設置する。
 所掌事務
(1) 市町村警戒本部は、概ね次の事項を実施する。
ア 警戒宣言、地震予知情報の住民等への伝達並びに地震防災上必要な情報の収集及び伝達
イ 県への報告、要請等県との地震防災活動の連携
(ア) 警戒本部に対し、地震防災応急対策の実施に関し、職員の派遣等必要な事項を要請する。
(イ) 必要に応じ交通規制その他社会秩序の維持を県公安委員会に、また、地震防災応急対策を実施すべき者に対する指示等を県・県警察本部等にそれぞれ要請する。
(ウ) 住民等の避難の状況及び地震防災対策の実施状況を県へ報告する。
ウ 避難の勧告・指示又は警戒区域の設定
エ 消防職員、団員及び水防団の配備等、災害が発生した場合の応急措置の準備
オ 消防、水防等の応急措置
カ 避難者等の救護
キ 緊急輸送の実施
ク 災害発生に備えた食料、医薬品、救助用資機材等の確保準備
ケ 自主防災組織活動の指導、連携
コ その他地震防災上の措置
(2) 消防、水防機関は、特に次の事項を実施する。
ア 消防本部(消防本部を設置していない場合の消防団本部を含む。)は、市町村警戒本部、防災関係機関と緊密な連携をとり次の措置を講ずる。
(ア) 情報の収集と伝達
(イ) 消火活動、救助活動の出動体制の確立
(ウ) 地域住民への避難の勧告又は指示の伝達
(エ) 出火防止のための広報
イ 消防団、水防団
(ア) 情報の収集と伝達
(イ) 消火活動、水防活動、救助活動の出動体制の確立
(ウ) 火気使用の自粛を住民へ伝達するためのパトロールの実施
(エ) 水利の確保(流水の堰止め等を含む。)
(オ) 住民の避難誘導
(カ) 水防資機材の点検、配備及び確保準備
(キ) 警戒区域からの避難確保のパトロール
(ク) 救助用資機材の確保準備
(ケ) その他状況に応じた防災、水防活動

41−3 防災関係機関

 防災関係機関は、地震防災応急対策として、概ね次の措置を講ずるものとする。
1 指定地方行政機関
(1) 関東管区警察局
 管区内各県警察の実施する警備活動の連絡調整
(2) 東海財務局
 金融業務の円滑な遂行の確保を図るための準備
(3) 東海北陸地方医務局
 国立病院、国立療養所の救護班の編成及び出動の準備
(4) 関東農政局
ア 生鮮食料品及び加工食料品等の供給に関する準備(関係団体への要請を含む)
イ 農林漁業関係金融機関に対する指導
ウ 農地、農業用施設(ダム、堤防、ため池、農道等)の管理、指導
(5) 静岡食糧事務所
ア 政府所有食料の倉庫別在庫数量の把握
イ 応急食糧の緊急引渡準備及び業者指導
ウ 災害対策用乾パンの調達準備
(6) 関東森林管理局東京分局
 災害復旧用材(国有林材)の供給等に関する準備
(7) 関東通商産業局
ア 防災関係物資の適正な価格による円滑な供給の確保
イ 商工鉱業事業者の業務の正常な運営の確保
ウ 危険物等の保安の確保
(8) 中部運輸局
(陸上運送に関すること)
ア 陸運関係事業者に対する迅速・正確な情報伝達の指導
イ 緊急輸送に必要な貨物自動車の配置の準備
(海上輸送に関すること)
海上保安部と協力して海運事業者の応急措置の実施指導
(9) 東京航空局東京空港事務所
ア 航空機の安全確保のための航空情報の発出
イ 必要に応じ一般航空機の運行規制の措置
(10) 第三管区海上保安本部
ア 港内在泊船舶に対する地震予知情報の伝達
イ 管内各港における船舶の入港制限
ウ 海水浴客等に対する情報伝達
エ 海上における治安の維持、海上交通の安全確保
オ 中部運輸局と協力して海運事業者の応急措置の実施指導
(11) 東京管区気象台(静岡地方気象台)
ア 県知事に対する判定会招集連絡の連絡及び大規模地震関連情報等の通報
イ 大規模地震関連情報等の照会に対する応答と解説
ウ 異常現象に関する情報が発見者又は行政機関から通報された場合、すみやかに気象庁に報告し、適切な措置を講じること。
(12) 東海郵政局
ア 利用者に対する警戒宣言の伝達及び避難誘導
イ 郵便業務の取り扱いを一時停止する旨の広報
ウ 為替貯金業務の取り扱いの一部を一時停止する旨の広報
エ 簡易保険業務の取り扱いを一時停止する旨の広報
オ 郵便物等の被災防止
(13) 東海電気通信監理局
 災害時に備えての電気通信施設(有線電気通信施設及び無線通信施設)の整備のための調整及び電波の統制監理
(14) 関東地方建設局、中部地方建設局
ア 施設対策等
(ア) 河川管理施設等の対策等
(イ) 道路施設対策等
(ウ) 営繕施設対策等
(エ) 電気通信施設等対策等
イ 災害対策用建設機械等の出動及び管理
ウ 他機関との協力
エ 広報
2 指定公共機関
(1) 東海旅客鉄道株式会社、東日本旅客鉄道株式会社、日本貨物鉄道株式会社
ア 列車の運行状況、旅客の避難実施状況等の広報
イ 列車の運転規制
ウ 旅客の避難、救護
エ 発災後に備えた資機材、人員等の配備手配
(2) 西日本電信電話株式会社、東日本電信電話株式会社、株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ東海
ア 通信の異常ふくそうが起きないよう広報の実施
イ 防災関係機関の非常、緊急通信の優先接続
ウ 地震発生後に備えた資機材、人員の確保及び配置
(3) 日本銀行
ア 金融機関の手許現金保有状況の把握
イ 金融機関相互間における現金融通のあっせんないしは、予め寄託した銀行券の活用
ウ 金融機関窓口業務等の運営についての要請
(4) 日本赤十字社静岡県支部
ア 医療救護班の派遣準備
イ 血液製剤の確保及び供給の準備
ウ 救援物資の配布準備
エ 赤十字飛行隊の派遣準備
(5) 日本放送協会
ア 地震に関する情報の迅速な伝達
イ 県及び防災関係機関の依頼によるテレビ、ラジオによる防災放送
(6) 日本道路公団
ア 警戒宣言等の伝達
イ 地震発生後に備えた資機材、人員等の配備手配
ウ 交通対策
エ 緊急点検
(7) 水資源開発公団
ア 佐久間ダムから取水している時は、水源管理所操作室から直ちに遠隔操作により取水の全面停止及び現地佐久間操作室での全閉の確認
イ 関係機関への連絡及び情報収集
(8) 電源開発株式会社
必要に応じて発電所、変電所の施設の特別巡視、点検、機器の調整等の実施
(9) 日本通運株式会社
防災関係機関の要請に基づく緊急輸送の確保
(10) 東京電力株式会社、中部電力株式会社
ア 支店及び発電所等に地震災害警戒本部の設置
イ 動員体制を確立するとともに、状況に応じ他支店並びに協力会社等に対し動員準備を要請
ウ 地震防災応急措置の実施状況を支店で掌握し対策を促進すること。
エ 電気による災害の予防広報の実施
オ 電力施設について、必要に応じ特別巡視、点検、応急安全措置等の実施
カ 工具、車両、発電機車、変圧器車並びに食料等を整備確認して応急出勤に備えるとともに、手持資機材の数量の確認及び緊急確保
3 指定地方公共機関
(1) 静岡県医師会
医療救護活動のための救護班の派遣又は派遣準備
(2) 都市ガス会社
ア 需要家に対する都市ガスによる災害予防広報
イ 施設の点検等災害予防措置
(3) 静岡県プロパンガス協会
ア 需要家に対するプロパンガスによる災害の予防の広報
イ 協会加盟事業所による施設及び設備の点検等災害予防措置
(4) 静岡県道路公社
ア 料金徴収所等における広報板による情報伝達
イ 交通規制の実施
ウ 災害発生後にそなえた応急復旧体制の確立
(5) 静岡鉄道株式会社、伊豆箱根鉄道株式会社、伊豆急行株式会社、岳南鉄道株式会社、大井川鉄道株式会社、遠州鉄道株式会社、天竜浜名湖鉄道株式会社
ア 地震予知情報、警戒宣言の伝達
イ 列車の運転規制
ウ 列車の運行状況、乗客の避難状況等の広報
(6) 静岡放送株式会社、株式会社テレビ静岡、株式会社静岡朝日テレビ、株式会社静岡第一テレビ、静岡エフエム放送株式会社
ア 報道特別番組の編成
イ 地震予知情報、国、県、市町村、防災関係機関等の地震防災応急対策実施状況の放送
ウ 知事の呼びかけ、県内各地の状況、防災措置の状況等の放送
(7) 社団法人静岡県トラック協会
 防災関係機関の要請に基づく、協会加盟事業所からの緊急輸送車両の確保
(8) 土地改良区
ア 地震発生時に備えた資機材、人員等の配置の手配
イ 緊急点検

 

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