第3章 地震防災緊急事業五箇年計画
東海地震、神奈川県西部の地震等による災害から県土並びに県民の生命、身体及び財産を保護するため、地震防災上緊急に整備すべき施設等について「地震防災対策特別措置法」に基づく地震防災緊急事業を実施する。事業の実施期間は平成8年度から平成12年度までの5年間である。
1 消防用施設の整備及び消火用水対策
(1) 事業の目的
地震の発生時に予想される火災から、人命、財産を守るため、消防用施設及び消火用水の確保に必要な施設の整備を図る。なお、市町村事業については整備の促進を図る。
(2) 整備の水準
「消防力の基準」及び「消防水利の基準」に基づき、耐震性貯水槽、小型動力ポンプ付積載車、可搬式小型動力ポンプ等を整備する。
地震発生時の消火活動に河川の流水を容易に活用できるようにするため、河川の護岸に階段等の施設を整備する。
地震発生時の消火活動に農業水利施設の貯水又は流水を容易に活用できるようにするため、調整池への配水施設の設置、用排水施設、ため池施設への防火水槽及び給水栓の設置並びに農業水利施設への進入路等を整備する。
(3) 事業総括表
事業名 | 事業主体 | 事業概要 | 概算事業費 |
消防防災施設等整備事業 | 市町村 | 耐震性貯水槽、小型動力ポンプ付積載車等 360施設 | 2,351百万円 |
河川事業 | 県 | 消防用階段護岸 53箇所 | 156 |
市 | 消防用階段護岸 23箇所 | 103 | |
小計 | 消防用階段護岸 76箇所 | 259 | |
山村振興等農林漁業特別対策事業 | 町 | かんがい排水施設1箇所(水門1基) | 11 |
畑地帯総合整備事業 | 県 | フォームポンド(農業用調整池) 64箇所 | 2,755 |
防災水利整備事業 | 県 | 防火水槽 5箇所、農業用ため池 1箇所 | 150 |
農村総合整備事業 | 市町 | 防火水槽 13箇所 | 101 |
中山間地域総合整備事業 | 町 | 防火水槽 3箇所 | 18 |
ため池等整備事業 | 町 | 農業用ため池(浚渫) 1箇所 | 150 |
計 | 5,795 |
2 通信施設及び情報伝達施設の整備
(1) 事業の目的
電話のふくそう、途絶が予想される地震災害時において、被害状況を迅速かつ的確に把握し、災害応急対策を円滑に実施するため、防災関係機関の情報収集、伝達に必要な無線通信施設の整備を図る。
また、地震災害時の交通の混乱を防止するため、的確な道路情報を走行車両等に提供する設備の整備を図る。なお、市町村事業については整備の促進を図る。
(2) 整備の水準
地震災害時における市町村及びその地域の防災関係機関、生活関連機関の情報連絡網を確保するため、市町村防災行政無線地域防災無線系を整備する。
一般車両に的確な道路情報を提供することにより緊急輸送道路の交通を確保するため、道路情報提供装置を整備する。
(3) 事業総括表
事業名 | 事業主体 | 事業概要 | 概算事業費 |
消防防災施設等整備事業 | 市町 | 地域防災無線12市町 | 1,526百万円 |
道路事業 | 県 | 道路情報提供装置24基 | 720 |
計 | 2,246 |
1 避難地の整備
(1) 事業の目的
地震災害時における近隣住民の円滑な避難及び救援・復旧活動の拠点を確保するため、避難地の整備を図る。なお、市町村事業については整備の促進を図る。
(2) 整備の水準
既成市街地の区域及びその周辺の地域において、一次避難地となる1ha以上の都市公園を整備する。
また、農村、山村、漁村において、避難地となる農村公園等を整備する。
(3) 事業総括表
事業名 | 事業主体 | 事業概要 | 概算事業費 |
都市公園事業 | 市 | 一次避難地7箇所234,000m2 | 6,534百万円 |
土地区画整理事業 | 組合 | 一次避難地2箇所25,000m2 | 440 |
山村振興等農林漁業特別対策事業 | 村 | 多目的広場1箇所6,600m2 | 61 |
ほ場整備事業 | 県 | 農村公園1箇所1,236m2 | 15 |
農村総合整備事業 | 市町 | 農村公園7箇所17,945m2 | 279 |
中山間地域総合整備事業 | 県 | 農村公園4箇所9,500m2 | 256 |
計 | 22箇所294,281m2 | 7,585 |
2 避難路の整備
(1) 事業の目的
幹線避難路等市町村長の指定する避難路について、避難所要時間の短縮、避難有効幅員の拡大、避難路の安全性の向上等避難の円滑化を図る。なお、市町村事業については、整備の促進を図る。
(2) 整備の水準
人口の集中した地域において、広域避難地へ至る幹線避難路について幅員15m以上に拡幅改良を行うとともに、老朽橋の架け替えを行う。また、農村、山村における避難路として、幅員3m以上の農道及び農村集落道を整備する。
(3) 事業総括表
事業名 | 事業主体 | 事業概要 | 概算事業費 |
土地区画整理事業 | 市 | 街路5箇所1,590m | 3,717百万円 |
畑地帯総合整備事業 | 県 | 農道2箇所3,000m | 665 |
農道整備事業 | 県 | 農道1箇所2,906m | 1,351 |
農林漁業用揮発油税財源身替農道整備事業 | 県 | 農道1箇所868m | 465 |
中山間地域総合整備事業 | 市 | 農道、集落道2箇所7,190m | 225 |
計 | 11箇所15,554m | 6,423 |
3 消防活動用道路の整備
(1) 事業の目的
人口密集地等で人家が連担し、それに比して道路が十分整備されていないため、十分な消防活動を行うことができないおそれがある区域においては、道路の拡幅、直線化等により消防活動の円滑化を図る。
(2) 整備の水準
消防活動の円滑化、延焼の防止を図るため、幅員6m以上の道路から消防ホースの届かない市街地において、幅員6m以上の道路の新設又は拡幅改良を行う。
山村の消防活動が困難な区域において、消防自動車が通行できるような集落道を整備する。
(3) 事業総括表
事業名 | 事業主体 | 事業概要 | 概算事業費 |
土地区画整理事業 | 組合 | 街路4箇所1,424m | 1,077百万円 |
市 | 街路1箇所200m | 1,000 | |
小計 | 街路5箇所1,624m | 2,077 | |
山村振興等農村漁業特別対策事業 | 市町 | 集落道2箇所392m | 120 |
計 | 7箇所2,016m | 2,197 |
4 電線共同溝の整備
(1) 事業の目的
地震発生時における電柱等の倒壊による交通の遮断を回避し、電気供給施設の耐震性を高めるため、電線類の地中化を図る。
(2) 整備の水準
避難路、緊急輸送道路等について、電線共同溝を整備する。
(3) 事業総括表
事業名 | 事業主体 | 事業概要 | 概算事業費 |
街路事業 | 県 | 電線共同溝1箇所380m | 276百万円 |
市 | 電線共同溝1箇所270m | 70 | |
小計 | 電線共同溝2箇所650m | 346 | |
土地区画整理事業 | 市 | 電線共同溝20箇所9,225m | 2,129 |
道路事業 | 県 | 電線共同溝20箇所11,022m | 4,699 |
計 | 電線共同溝42箇所20,897m | 7,174 |
5 老朽住宅密集市街地地震防災対策
(1) 事業の目的
地震発生時において、建築物の倒壊や延焼火災の危険性が高い老朽住宅密集市街地の解消のため、市街地の面的な整備、建築物の耐震・不燃化等により地震に強い都市構造の形成を図る。
(2) 整備の水準
土地区画整理事業により、老朽住宅密集市街地の老朽建築物を除去し、基盤施設の整備、安全な建築物の誘導等を行う。また、市街地再開発事業により、老朽住宅密集市街地の老朽建築物を除去し、建築敷地及び公共施設を一体的・総合的に整備する。
(3) 事業総括表
事業名 | 事業主体 | 事業概要 | 概算事業費 |
土地区画整理事業 | 市町 | 7地区462,000m2 | 57,929百万円 |
市街地再開発事業 | 市 | 4地区22,800m2 | 9,288 |
計 | 11地区484,800m2 | 67,217 |
1 道路の整備
(1) 事業の目的
知事の指定する1次、2次、3次緊急輸送道路について、地震災害時に人員・物資の輸送に支障のないように整備を図る。また、知事の指定する緊急輸送道路を補完するため、市町村長が独自に緊急輸送道路として指定済、又は指定を前提にしている農道の整備を図る。
(2) 整備の水準
知事の指定する1次、2次、3次緊急輸送道路について、道路の拡幅改良及び橋梁等の整備を行う。また、市町村長が緊急輸送道路として指定済、又は指定を前提にしている農道の新設又は拡幅改良等の整備を行う。
(3) 事業総括表
事業名 | 事業主体 | 事業概要 | 概算事業費 |
道路事業 | 県 | 道路改築8箇所4,942m | 5,051百万円 |
街路事業 | 県 | 街路5箇所1,843m | 7,712 |
土地区画整理事業 | 組合 | 街路1箇所556m | 300 |
市 | 街路4箇所1,080m | 8,219 | |
小計 | 街路5箇所1,636m | 8,519 | |
農林漁業用揮発油税財源身替農道整備事業 | 県 | 農道5箇所2,400m | 1,611 |
計 | 23箇所10,821m | 22,893 |
2 港湾施設の整備
(1) 事業の目的
阪神・淡路大震災の被害の甚大さにかんがみ、災害に強い港湾システムの構築が求められており、国レベルの緊急輸送路確保の一環として、コンテナターミナル及び内貿ターミナルの耐震強化岸壁等を整備する。
(2) 整備の水準
防災拠点港湾の清水港及び御前崎港について、耐震強化岸壁、防波堤等を整備する。
(3) 事業総括表
事業名 | 事業主体 | 事業概要 | 概算事業費 |
港湾整備事業 | 国 | 2港(耐震強化岸壁2箇所、防波堤1箇所) | 13,400百万円 |
3 漁港施設の整備
(1) 事業の目的
陸路の寸断、交通支障が予想される地震災害時において、海路からの救援活動を行うため、人員・緊急物資・復旧用資機材等の輸送機能の確保に必要となる耐震岸壁等の整備を図る。なお、市町村事業については整備の促進を図る。
(2) 整備の水準
防災港湾(防災拠点港湾)について、耐震岸壁、物揚場、漁港内道路及び岸壁背後の野積場を整備する。
(3) 事業総括表
事業名 | 事業主体 | 事業概要 | 概算事業費 |
漁港施設整備事業 | 県 | 6港(耐震岸壁3箇所、物揚場、道路) | 2,080百万円 |
市 | 1港(耐震岸壁1箇所) | 50 | |
小計 | 7港(耐震岸壁4箇所、物揚場、道路) | 2,130 | |
農林漁業用揮発油税財源身替農道整備事業 | 県 | 1港(道路) | 188 |
計 | 8港 | 2,318 |
4 交通管制施設の整備
(1) 事業の目的
地震災害時の交通の混乱を防止し、円滑な緊急輸送を実施するために、交通情報の収集又は提供に係る交通管制施設を整備する。
(2) 整備の水準
地震発生時において、緊急交通路を確保するとともに、県下の主要都市の交通混乱を抑止するため、緊急輸送道路1次ルートを重点に交通情報収集・提供装置の整備を図る。
(3) 事業総括表
事業名 | 事業主体 | 事業概要 | 概算事業費 |
交通安全施設等整備事業 | 県警察 | 監視テレビ14基情報板8基 | 274百万円 |
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