第2章 自主防災活動
計画作成の主旨
地震の災害から県民の生命、身体及び財産を保護するためには、国、県、市町村をはじめ防災関係機関が総力をあげて対策を講ずることが必要である。しかし、同時に住民一人ひとりが地震についての十分な防災意識をもち、訓練を積み重ねることにより防災対策を体で覚え、これを家庭、地域、職域当で実践しなければならない。
さらに、こうした防災対策は、地域住民が相互に協力し、消防団をはじめ、青年団体、婦人団体等と有機的連携を保ち、自発的に防災組織をつくることによって効果的なものになる。
このため、県及び市町村は、的確な自主防災活動ができるようその基準等を示すものである。
計画の内容
22−1 県民の果たすべき役割
地震の防災に関し、県民が果たすべき役割は極めて大きい。県民は、自分達の安全は、自らの手で守る意欲をもち、平常時から地震発生後にいたるまでの次の事項を想定し、可能な防災対策を着実に実施する必要がある。
1 平常時から実施する事項
(1) 地震防災に関する知識の吸収
(2) 地域の危険度の理解
(3) 家庭における防災の話し合い
(4) 警戒宣言発令時及び災害時の避難地、避難路及び最寄りの医療救護施設の確認
(5) 石油ストーブ、ガス器具等について対震自動消火等など火災予防措置の実施
(6) 家屋の補強等
(7) 家具その他落下倒壊危険物の対策
(8) 飲料水、食料、日用品、医薬品等生活必需品の備蓄(食料については最低7日分、うち3日分は非常持出し。)
2 警戒宣言発令時に実施が必要となる事項
平常時の準備を生かし自主防災活動を中心として概ね次の事項が実施できるようにする。
(1) 正確な情報の把握
(2) 火災予防措置
(3) 非常持出品の準備
(4) 適切な避難及び避難生活
(5) 自動車の運転の自粛
3 地震災害発生時に実施が必要となる事項
(1) 出火防止及び初期消火
(2) 地域における相互扶助による被災者の救出活動
(3) 負傷者の応急手当及び軽傷者の救護
(4) 自力による生活手段の確保
22−2 地域における自主防災組織の果たすべき役割
地域における防災対策は、自主防災組織により共同して実施することが効果的である。自主防災組織は、県や市町村と協力し、地域の防災は自らの手で担う意欲をもって次の活動をするものとする。
1 平常時の活動
(1) 防災知識の学習
正しい防災知識を一人一人が持つよう映画会、講演会、研究会、訓練その他あらゆる機会を活用し、啓発を行う。
主な啓発事項は、東海地震等の知識、地震予知情報・警戒宣言・地震情報の性格や内容、平常時における防災対策、警戒宣言時の対応、災害時の心得、自主防災組織が活動すべき内容、自主防災組織の構成員の役割等である。
(2) 「防災委員」の自主防災組織内での活動
防災委員は住民の防災対策の啓発活動を行うほか、自主防災組織内においても、役員として、又は、組織の長の相談役、補佐役として(3)以下の諸活動の企画、実施に参画するものとする。
(3) 「自主防災地図」の作成
自主防災組織は、地域に内在する危険や、災害時に必要となる施設等を表わす地図を作成して掲示し、あるいは各戸に配布することにより的確な防災計画書の作成を容易にするとともに、一人ひとりの防災対応行動の敏活、的確化を図る。
(4) 「自主防災組織の防災計画書」の作成
地域を守るために必要な対策及び自主防災組織構成員ごとの役割をあらかじめ防災計画書などに定めておく。
(5) 「自主防災組織の台帳の作成」
自主防災組織が的確な防災活動を行うのに必要な自主防災組織の人員構成、活動状況、資機材等設備の現況及び警戒宣言時の避難行動を明らかにしておくため、自主防災組織ごとに次に揚げる台帳を作成しておく。
ア 世帯台帳(基礎となる個票)
イ 要介護者台帳
ウ 人材台帳
エ 自主防災組織台帳
(6) 「防災点検の日」の設置
家庭と地域の対策を結びつける効果的な防災活動を行い、また、防災活動用の資機材の整備及び点検を定期的に行うため「防災点検の日」を設ける。
(7) 「避難生活計画書」の作成
警戒宣言発令時の避難対象地区住民等の避難生活及び発災時の被災住民等の避難所生活が円滑に行われるように、「避難生活計画書作成要領」に基づき、各避難地及び各避難所ごとに「避難生活計画書」を作成する。
(8) 防災訓練の実施
総合防災訓練、地域防災訓練、その他の訓練において、次に揚げる警戒宣言発令時及び災害発生時の対応に関する事項を主な内容とする防災訓練を実施する。この場合、他の地域の自主防災組織、職域の防災組織、市町村等と有機的な連携をとるものとする。
ア 情報の収集及び伝達の訓練
イ 出火防止及び初期消火の訓練
ウ 避難訓練
エ 救出及び救護の訓練
オ 炊き出し訓練
(9) 地域内の他組織との連携
地域内事業所の防災訓練や地域におけるコミュニティ組織と連携を密にし、総合的な自主防災活動の推進に努めるものとする。
22−3 事業所等の果たすべき役割
事業所及び施設を管理し、又は運営する者(以下「事業所等」という。)は、従業員、利用者等の安全を守るとともに、地域に災害を拡大することのないよう的確な防災活動を行うと共に、被災住民の救出など地域の一員としての防災活動に参加するよう努めるものとする。このため自主的な防災組織をつくり、関係地域の自主防災組織と連携をとり、事業所及び関係地域の安全の確保に積極的に努めるものとする。事業所等における自主防災活動は、概ね次のものについて、それぞれの実情に応じて行う。
(1) 防災訓練
(2) 従業員等の防災教育
(3) 情報の収集、伝達体制の確立
(4) 火災その他災害予防対策
(5) 避難対策の確立
(6) 救出及び応急救護等
(7) 飲料水、食料、生活必需品等、災害時及び警戒宣言時に必要な物資の確保
(8) 施設及び設備の耐震性の確保
22−4 県、市町村の指導及び助成
1 自主防災組織づくりの推進
市町村は、自主防災組織づくりを推進する。県は、県行政センターを中心として市町村に積極的に協力する。
2 自主防災に関する意識の高揚
県及び市町村は、自主防災に関する認識を深め、自主防災組織を充実するために、定期的に研修会を開催する。
研修名 | 実施機関 | 対象者 | 目的 |
自主防災組織中核的リーダー研修 | 市町村・県 | 市町村長の推薦による自主防災組織の中心的リーダー(会長・副会長・班長等) | 防災上の知識・技能の向上を図ることにより単位自主防災組織の活性化に資するとともに、自主防災活動の情報交換を行い、広域的な視野を持つ地域リーダーとしての活動者を育成する。 |
防災委員研修 | 市町村 | 防災委員 | 防災上の知識・技能を修得し、自主防災組織及び地域住民への防災意識・対策について啓発・強化に資する。 |
3 防災委員制度
市町村は、自主防災組織及び住民の防災対策の啓発活動を強化するため防災委員を委嘱する。防災委員の任期は3年とする。
4 組織活動の促進
市町村は、消防団等と有機的な連携を図りながら職員の地区担当制等による適切な指導を行い、自主防災組織が行う訓練、その他の活動の充実化を促進する。
5 コミュニティ防災センターの活用
市町村はコミュニティ防災センターを設置し、自主防災活動の拠点として次の事項等について活用する。
(1) 平常時は自主防災活動の中心として、防災訓練及び防災知識の普及の場とする。
(2) 警戒宣言発令時は、自主防災組織の地震防災応急対策の活動拠点とするとともに、避難を必要とする者を収容する施設とする。
(3) 地震発生後は、緊急に避難するための施設として活用するほか、自主防災活動等の拠点とする。
6 自主防災組織活動推進委員会
県は、自主防災組織会長等を委員に選任し、自主防災組織活動推進委員会を設ける。推進委員会は、自主防災組織への助言・指導、「自主防災」新聞よる情報提供及び提言等により、自主防災組織活性化のための業務を行う。
7 自主防災組織への助成
自主防災組織の活動に必要な防災用資機材及び倉庫の整備を促進するため、県及び市町村は必要な助成を行う。
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