地震発生時及び警戒宣言発令時に、的確な防災対策が講じられるようにするため、平常時に行う防災思想の普及、防災訓練、自主防災活動等について定める。
第1章 防災思想の普及
計画作成の主旨
地震による被害を最小限にとどめるため、県職員をはじめ、県民及び各組織等を対象に地震に関する知識と防災対応を啓発指導する。
計画の内容
21−1 県
災害応急対策及び地震防災応急対策の円滑な実施を確保するため、県職員に対する教育を行う。また、学校教育、社会教育等を通じて、県民が実施すべき対策について啓発活動を行う。
1 県職員に対する教育
県職員として、行政をすすめる中で、積極的に地震防災対策を推進し、同時に地域における防災活動を率先して実施するため、必要な知識や心構えなど、次の事項について研修会等を通じて教育を行う。
(1) 地震に関する基礎知識
(2) 東海地震等の発生に関する知識
(3) 東海地震等の危険度の試算の内容
(4) 「静岡県地震対策推進条例」に規定する対策
(5) 「静岡県地域防災計画地震対策編」の内容と県が実施している地震対策
(6) 地震が発生した場合及び予知された場合に、具体的にとるべき行動に関する知識
(7) 職員等が果たすべき役割(職員の動員体制と任務分担)
(8) 東海地域の地震・地殻活動に関する情報及び判定会招集連絡報が伝達された場合に、具体的にとるべき対応
(9) 警戒宣言の性格とこれに基づきとられる措置及び情報伝達
(10) 家庭の地震対策と自主防災組織の育成強化対策
(11) 地震対策の課題その他必要な事項
上記のうち、(6)及び(8)については、年度当初に各課・事務所等において、所属職員に対し、十分に周知するものとする。また、各部局等は、所管事項に関する地震防災対策について、それぞれが定めるところにより所属職員に対する教育を行うものとする。
なお、上記のほか、県警察本部は「静岡県警察大震災警備基本計画」及びこれに基づく警備計画と活動要領により、県教育委員会は「学校の地震防災対策マニュアル(県教育委員会編)」及び「学校の地震対策マニュアル(ダイジェスト版)」によって、それぞれ職員に対して教育を行うものとする。
2 児童生徒に対する教育
県教育委員会は、児童生徒に対する地震防災教育の指針を示し、その実施を指導する。また、県は、私立学校に対し、これに準じた教育を行うよう指導するものとする。
(1) 児童生徒に対する指導
ア 教科、学級活動、ホームルーム活動、学校行事等、教育活動全体を通じて、地震の基礎的な知識、地震発生時及び警戒宣言発令時の対策等の指導を行う。
イ 防災カードを作成、配布し、防災活動の徹底を図る。
ウ ボランティア学習の充実を図り、発災後において地域のボランティア活動に主体的に参加できるようにする。
(2) 防災モデル校を設置し、県立高校の防災対策の充実を図る。
(3) 高等学校の生徒を対象に応急看護の実践的技能の修得の徹底を図る。
3 県民に対する防災思想の普及
県は、地震発生時及び警戒宣言発令時に県民が的確な判断に基づき行動できるよう、地震についての正しい知識、防災対応等について啓発する。
特に、7月1日から10日までの10日間を「津波対策推進旬間」、11月を「地震防災強化月間」と定め、それぞれ、津波避難対策、突然地震が発生した場合の対応及び家庭内対策を中心に啓発活動を重点的に実施する。
なお、この場合、自主防災組織及び専門的知識を持つ人材を有する防災士会等の積極的な活用を図る。
(1) 一般的な啓発
ア 啓発内容
(ア) 東海地震等の基礎的な知識
(イ) 東海地震等の危険度の試算の内容
(ウ) 「静岡県地震対策推進条例」に規定する対策
(エ) 突然地震が発生した場合の行動指針等の応急対策
(オ) 東海地域の地震・地殻活動に関する情報及び判定会招集連絡報の性格とこれらの情報発生時の行動指針等の基礎的知識
(カ) 警戒宣言及び地震予知情報の性格、警戒宣言発令時の住民の行動指針等の基礎的知識
(キ) 地域及び事業所等における自主防災活動及びそれらの連携の重要性
(ク) 防災関係機関等が講ずる災害応急対策及び地震防災応急対策
(ケ) 津波危険予想地域、山・崖崩れ危険予想地域等に関する知識
(コ) 避難地、避難路、その他避難対策に関する知識
(サ) 住宅の耐震診断と補強及び耐震改修、ブロック塀の倒壊防止、家具の固定、ガラスの飛散防止、火災予防、非常持出品の準備等の平常時の準備
(シ) 消火、救出・救助、応急手当等に関する知識
(ス) 避難生活に関する知識
イ 手段、方法
パンフレット、リーフレット、ポスター、映画フィルム、ビデオテープ及び報道機関等の媒体や、防災士会等の専門的知識を有する人材を活用し、地域の実情に合わせたより具体的な手法により、市町村と協力して普及を図る。特に突然発生した地震に対する住民の行動指針について周知徹底を図る。
(2) 社会教育を通じての啓発
県教育委員会は、婦人団体、PTA、青少年団体等を対象とした各種研修会、集会等を通じて地震防災に関する知識の普及、啓発を図り、県民がそれぞれの立場から社会の一員としての自覚をもち、地域の地震防災に寄与する意識を高める。
また、文化財を地震災害から守り、後世に継承するため、文化財愛護団体の諸活動を通じ、防災指導、文化財に対する防災知識の普及を図る。
ア 啓発内容
県民に対する一般的な啓発に準ずる。その他、各団体の性格等を考慮し、それぞれに合致したものとする。
イ 手段、方法
各種講座・学級、集会、大会、学習会、研修会等において実施する。
(3) 各種団体を通じての啓発
県は、各種団体に対し、研修会、講演会、資料の提供、映画フィルム等の貸出し等を通じて、地震防災思想の普及に努める。これによって、それぞれの団体の構成員である民間事務所等の組織内部における防災知識の普及を促進させるものとする。
(4) 自動車運転者に対する啓発
県公安委員会は、運転免許更新時の講習及び自動車教習所における教習等の機会を通じ、警戒宣言発令時及び地震発生時において、自動車運転者が措置すべき事項について徹底を図る。
また、県は警戒宣言時における自動車の運転の自粛について啓発に努める。
(5) 防災上重要な施設管理者に対する教育
危険物を取り扱う施設や百貨店、劇場など不特定多数の者が出入りする施設の管理者等に対し、地震防災応急計画の作成・提出の指導を通じ、警戒宣言発令時及び地震発生時における施設管理者のとるべき措置についての知識の普及に努める。
(6) 相談窓口等
県はそれぞれの機関において、所管する事項について、県民の地震対策の相談に積極的に応ずるものとする。
なお、総括的な事項及び建築に関する事項の相談窓口は次のとおりである。
総括的な事項・・・・・・・・・・・・・・・防災局、各県行政センター
建物等に関する事項・・・・・・建築安全推進室、各土木事務所建築住宅課
4 ボランティア団体等の組織化の推進及び啓発
県は、地域のボランティア団体等の組織化を推進し、その連絡会等を通じて地震防災に関する知識の普及、啓発を図り、災害支援への意識を高める。
21−2 (財)静岡総合研究機構防災情報研究所
県は、(財)静岡総合研究機構防災情報研究所を設立し、地震防災等に関する調査・研究、情報の収集・提供等を行うことにより、防災対策の促進を図る。
また、静岡県地震防災センターの管理運営を行い、地震防災に関する資料を展示し、啓発用資機材を貸出しすることにより、県民の防災意識の高揚を図る。
21−3 市町村
市町村長は、職員が地区担当職員として地域における防災活動に率先して参加するとともに、当該活動を指導するための教育を行う。また、市町村は、住民自らが生命、身体及び財産を守り、あわせて地域の地震災害を予防し、あるいは軽減することに資するため、必要な教育及び広報を行う。この場合、地域の特性等による地震災害の態様等を十分に考慮して実情にあったものとする。
また、啓発内容については、概ね県の例による。
21−4 防災関係機関
東海旅客鉄道株式会社、東日本旅客鉄道株式会社、日本貨物鉄道株式会社、西日本電信電話株式会社、東日本電信電話株式会社、日本道路公団、電力会社、ガス会社等の防災関係機関は、それぞれ所掌する事務又は業務に関する地震防災応急対策、災害応急対策、利用者等の実施すべき事項等について広報を行う。
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