東海地震対策

第二節 大規模地震対策特別措置法等
○大規模地震対策特別措置法(昭和五十三年六月十五日法律第七十三号)
大規模地震対策特別措置法をここに公布する。

大規模地震対策特別措置法

(目的)

第一条  この法律は、大規模な地震による災害から国民の生命、身体及び財産を保護するため、地震防災対策強化地域の指定、地震観測体制の整備その他地震防災体制の整備に関する事項及び地震防災応急対策その他地震防災に関する事項について特別の措置を定めることにより、地震防災対策の強化を図り、もつて社会の秩序の維持と公共の福祉の確保に資することを目的とする。

(定義)

第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 地震災害 地震動により直接に生ずる被害及びこれに伴い発生する津波、火事、爆発その他の異常な現象により生ずる被害をいう。
二 地震防災 地震災害の発生の防止又は地震災害が発生した場合における被害の軽減をあらかじめ図ることをいう。
三 地震予知情報 気象業務法(昭和二十七年法律第百六十五号)第十一条の二第一項に規定する地震に関する情報及び同条第二項に規定する新たな事情に関する情報をいう。
四 地震防災対策強化地域 次条第一項の規定により指定された地域をいう。
五 指定行政機関 災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第二条第三号に規定する指定行政機関をいう。
六 指定地方行政機関 災害対策基本法第二条第四号に規定する指定地方行政機関をいう。
七 指定公共機関 災害対策基本法第二条第五号に規定する指定公共機関をいう。
八 指定地方公共機関 災害対策基本法第二条第六号に規定する指定地方公共機関をいう。
九 地震防災計画、地震防災基本計画、地震防災強化計画及び地震防災応急計画をいう。
十 地震防災基本計画 中央防災会議が地震防災対策強化地域について地震防災に関し作成する基本的な計画をいう。
十一 地震防災強化計画 災害対策基本法第二条第九号に規定する防災業務計画、同条第十号に規定する地域防災計画又は石油コンビナート等災害防止法(昭和五十年法律第八十四号)第三十一条第一項に規定する石油コンビナート等防災計画のうち、第六条第一項各号に掲げる事項について定めた部分をいう。
十二 地震防災応急計画 第七条第一項又は第二項に規定する者が地震防災応急対策に関し作成する計画をいう。
十三 警戒宣言 第九条第一項の規定により内閣総理大臣が発する地震災害に関する警戒宣言をいう。
十四 地震防災応急対策 警戒宣言が発せられた時から当該警戒宣言に係る大規模な地震が発生するまで又は発生するおそれがなくなるまでの間において当該大規模な地震に関し地震防災上実施すべき応急の対策をいう。

(地震防災対策強化地域の指定等)

第三条  内閣総理大臣は、大規模な地震が発生するおそれが特に大きいと認められる地殻内において大規模な地震が発生した場合に著しい地震災害が生ずるおそれがあるため、地震防災に関する対策を強化する必要がある地域を地震防災対策強化地域(以下「強化地域」という。)として指定するものとする。
 内閣総理大臣は、前項の規定による強化地域の指定をしようとするときは、あらかじめ中央防災会議に諮問しなければならない。
 内閣総理大臣は、第一項の規定による強化地域の指定をしようとするときは、あらかじめ関係都道府県知事の意見を聴かなければならない。この場合において、関係都道府県知事が意見を述べようとするときは、あらかじめ関係市町村長の意見を聴かなければならない。
 内閣総理大臣は、第一項の規定による強化地域の指定をしたときは、その旨を公示しなければならない。
 前三項の規定は、 内閣総理大臣が第一項の規定による強化地域の指定の解除をする場合に準用する。

(強化地域に係る地震に関する観測及び測量の実施の強化)

第四条  国は、強化地域に係る大規模な地震の発生を予知し、もつて地震災害の発生を防止し、又は軽減するため、計画的に、地象、水象等の常時観測を実施し、地震に関する土地及び水域の測量(以下この条及び第三十三条において「測量」という。)の密度を高める等観測及び測量の実施の強化を図らなければならない。

(地震防災基本計画)

第五条  中央防災会議は、第三条第一項の規定による強化地域の指定があつたときは、当該強化地域に係る地震防災基本計画を作成し、及びその実施を推進しなければならない。
 地震防災基本計画は、警戒宣言が発せられた場合における国の地震防災に関する基本的方針、地震防災強化計画及び地震防災応急計画の基本となるべき事項その他政令で定める事項について定めるものとする。
 災害対策基本法第三十四条第二項の規定は、第一項の地震防災基本計画を作成し、又は修正した場合に準用する。

(地震防災強化計画)

第六条  第三条第一項の規定による強化地域の指定があつたときは、指定行政機関の長(指定行政機関が国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項の委員会である場合にあつては第十一条第六項及び第十三条第一項を除き当該指定行政機関をいい、指定行政機関の長から委任があつた場合にあつては当該事務については当該委任を受けた指定地方行政機関の長をいう。以下同じ。)及び指定公共機関(指定公共機関から委任された業務については、当該委任を受けた指定地方公共機関。以下同じ。)は災害対策基本法第二条第九号に規定する防災業務計画において、同法第二十一条に規定する地方防災会議等(市町村防災会議を設置しない市町村にあつては、当該市町村の市町村長。以下同じ。)は同法第二条第十号に規定する地域防災計画において、石油コンビナート等災害防止法第二十七条第一項に規定する石油コンビナート等防災本部(第二十八条第二項において「石油コンビナート等防災本部」という。)及び同法第三十条第一項に規定する防災本部の協議会は同法第三十一条第一項に規定する石油コンビナート等防災計画において、次の事項を定めなければならない。
一 地震防災応急対策に係る措置に関する事項
二 避難地、避難路、消防用施設その他当該大規模な地震に関し地震防災上緊急に整備すべき施設等で政令で定めるものの整備に関する事項
三 当該大規模な地震に係る防災訓練に関する事項その他当該大規模な地震に係る地震防災上重要な対策に関する事項で政令で定めるもの
 地震防止強化計画は、地震防災基本計画を基本とするものとする。(平七法一三二・一部改正)

(地震防災応急計画)

第七条  強化地域内において次に掲げる施設又は事業で政令で定めるものを管理し、又は運営することとなる者(前条第一項に規定する者を除く。)は、あらかじめ、当該施設又は事業ごとに、地震防災応急計画を作成しなければならない。
一 病院、劇場、百貨店、旅館その他不特定かつ多数の者が出入する施設
二 石油類、火薬類、高圧ガスその他政令で定めるものの製造、貯蔵、処理又は取扱いを行う施設
三 鉄道事業その他一般旅客運送に関する事業
四 前三号に掲げるもののほか、地震防災上の措置を講ずる必要があると認められる重要な施設又は事業
 第三条第一項の規定による強化地域の指定の際、当該強化地域内において前項の政令で定める施設又は事業を現に管理し、又は運営している者(前条第一項に規定する者を除く。)は、当該指定があつた日から六月以内に、地震防災応急計画を作成しなければならない。
 地震防災応急計画を作成した者は、当該施設の拡大、当該事業の内容の変更等により、地震防災応急計画を変更する必要が生じたときは、遅滞なく当該計画を変更しなければならない。
 地震防災応急計画は、当該施設又は事業についての地震防災応急対策に係る措置に関する事項その他政令で定める事項について定めるものとする。
 地震防災応急計画は、地震防災強化計画と矛盾し、又は抵触するものであつてはならない。
 第一項又は第二項に規定する者は、地震防災応急計画を作成したときは、政令で定めるところにより、遅滞なく当該地震防災応急計画を都道府県知事に届け出るとともに、その写しを市町村長に送付しなければならない。これを変更したときも、同様とする。
 第一項又は第二項に規定する者が前項の届出をしない場合には、都道府県知事は、その者に対し、相当の期間を定めて届出をすべきことを勧告することができる。
 都道府県知事は、前項の勧告を受けた者が同項の期間内に届出をしないときは、その旨を公表することができる。(昭六一法九三・一部改正)

(地震防災応急計画の特例)

第八条  前条第一項又は第二項に規定する者が、次に掲げる計画又は規程において、法令の規定に基づき、同条第一項の政令で定める施設又は事業に関し同条第四項に規定する事項について定めたときは、当該事項について定めた部分(次項において「地震防災規程」という。)は、当該施設又は事業に係る地震防災応急計画とみなしてこの法律を適用する。
一 消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)第八条第一項若しくは第八条の二第一項に規程する消防計画又は同法第十四条の二第一項に規定する予防規程
二 火薬類取締法(昭和二十五年法律第百四十九号)第二十八条第一項に規定する危害予防規程
三 高圧ガス取締法(昭和二十六年法律第二百四号)第二十六条第一項に規定する危害予防規程
*平成八年法律第十四号で平成九年四月一日から高圧ガス取締法の部分は「高圧ガス保安法」に改まる。
四 ガス事業法(昭和二十九年法律第五十一号)第三十条第一項(同法第三十七条の七第三項又は第三十七条の十で準用する場合を含む。)に規定する保安規程
五 電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第四十二条第一項に規定する 保安規程
六 石油パイプライン事業法(昭和四十七年法律第百五号)第二十七条第一項に規定する保安規程
七 石油コンビナート等災害防止法第十八条第一項に規定する防災規程
八 前各号に掲げる計画又は規程に準ずるものとして総理府令で定めるもの
 地震防災規程を作成した者は、前条第六項の規定にかかわらず、政令で定めるところにより、その地震防災規程の写しを市町村長に送付しなければならない。地震防災規程を変更したときも、同様とする。(平六法四二・平七法七五・一部改正)

(警戒宣言等)

第九条  内閣総理大臣は、気象庁長官から地震予知情報の報告を受けた場合において、地震防災応急対策を実施する緊急の必要があると認めるときは、閣議にかけて、地震災害に関する警戒宣言を発するとともに、次に掲げる措置を執らなければならない。
一 強化地域内の居住者、滞在者その他の者及び公私の団体(以下「居住者等」という。)に対して、警戒態勢を執るべき旨を公示すること。
二 強化地域に係る指定公共機関及び都道府県知事に対して、法令又は地震防災強化計画の定めるところにより、地震防災応急対策に係る措置を執るべき旨を通知すること。
 内閣総理大臣は、警戒宣言を発したときは、直ちに、当該地震予知情報の内容について国民に対し周知させる措置を執らなければならない。この場合において、内閣総理大臣は、気象庁長官をして当該地震予知情報に係る技術的事項について説明を行わせるものとする。
 内閣総理大臣は、警戒宣言を発した後気象庁長官から地震予知情報の報告を受けた場合において、当該地震の発生のおそれがなくなつたと認めるときは、閣議にかけて、地震災害に関する警戒解除宣言を発するとともに、第一項第一号に規定する者に対し警戒態勢を解くべき旨を公示し、及び同項第二号に規定する者に対し同号に掲げる措置を中止すべき旨を通知するものとする。

(地震災害警戒本部の設置)

第十条  内閣総理大臣は、警戒宣言を発したときは、国家行政組織法第八条の三の規定にかかわらず、臨時に総理府に地震災害警戒本部(以下「警戒本部」という。)を設置するものとする。
 警戒本部の名称、所管区域並びに設置の場所及び期間は、内閣総理大臣が閣議にかけて決定する。(昭五八法七八.平七法一三二・一部改正)
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