東海地震対策

第一章 災害対策基本法関係

第一節 災害対策基本法

○ 災害対策基本法

(昭和三十六年十一月十五日法律第二百二十三号)

第一章 総則

(目的)

第一条  この法律は、国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護するため、防災に関し、国、地方公共団体及びその他の公共機関を通じて必要な体制を確立し、責任の所在を明確にするとともに、防災計画の作成、災害予防、災害応急対策、災害復旧及び防災に関する財政金融措置その他必要な災害対策の基本を定めることにより、総合的かつ計画的な防災行政の整備及び推進を図り、もつて社会の秩序の維持と公共の福祉の確保に資することを目的とする。

(定義)

第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 災害、暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火その他の異常な自然現象又は大規模な火事若しくは爆発その他その及ぼす被害の程度においてこれらに類する政令で定める原因により生ずる被害をいう。
二 防災、災害を未然に防止し、災害が発生した場合における被害の拡大を防ぎ、及び災害の復旧を図ることをいう。
三 指定行政機関 国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する国の行政機関及び同法第八条から第八条の三までに規定する機関で、内閣総理大臣が規定するものをいう。
四 指定地方行政機関 指定行政機関の地方支分部局(国家行政組織法第九条の地方支分部局をいう。)その他の国の地方行政機関で、内閣総理大臣が指定するものをいう。
五 指定公共機関 日本電信電話株式会社、日本銀行、日本赤十字社、日本放送協会その他の公共的機関及び電気、ガス、輸送、通信その他の公益的事業を営む法人で、内閣総理大臣が指定するものをいう。
六 指定地方公共機関 港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)第四条第一項の港務局、土地改良法(昭和二十四年法律第百九十五号)第五条第一項の土地改良区その他の公共的施設の管理者及び都道府県の地域において電気、ガス、輸送、通信その他の公益的事業を営む法人で、当該都道府県の知事が指定するものをいう。
七 防災計画 防災基本計画及び防災業務計画並びに地域防災計画をいう。
八 防災基本計画 中央防災会議が作成する防災に関する基本的な計画をいう。
九 防災業務計画 指定行政機関の長(当該指定行政機関が国家行政組織法第三条第二項の委員会である場合にあつては、当該指定行政機関。第二十八条の三第六項及び第二十八条の六第二項を除き、以下同じ。)又は指定公共機関(指定行政機関の長又は指定公共機関から委任された事務又は業務については、当該委任を受けた指定地方行政機関の長又は指定地方公共機関)が防災基本計画に基づきその所掌事務又は業務について作成する防災に関する計画をいう。
十 地域防災計画 一定地域に係る防災に関する計画で、次に掲げるものをいう。
イ 都道府県地域防災計画
都道府県の地域につき、当該都道府県の都道府県防災会議が作成するもの。
ロ 市町村地域防災計画
市町村の地域につき、当該市町村の市町村防災会議又は市町村長が作成するもの。
ハ 指定地域都道府県防災計画
二以上の都道府県の区域の全部又は一部にわたる地域につき、都道府県防災会議の協議会が作成するもの。
ニ 指定地域市町村防災計画
二以上の市町村の区域の全部又は一部にわたる地域につき、市町村防災会議の協議会が作成するもの。
(昭五三法二九・昭五八法七八・昭五九法七一・昭五九法八七・昭六一法九三・平七法一三二・一部改正)

(国の責務)

第三条  国は、国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護する使命を有することにかんがみ、組織及び機能のすべてをあげて防災に関し万全の措置を講ずる責務を有する。
 国は、前項の責務を遂行するため、災害予防、災害応急対策及び災害復旧の基本とするべき計画を作成し、及び法令に基づきこれを実施するとともに、地方公共団体、指定公共機関、指定地方公共機関等が処理する防災に関する事務又は業務の実施の推進とその総合調整を行ない、及び災害に係る経費負担の適正化を図らなければならない。
 指定行政機関及び指定地方行政機関は、その所掌事務を遂行するにあたつては、第一項に規定する国の責務が十分に果たされることとなるように、相互に協力しなければならない。
 指定行政機関の長及び指定地方行政機関の長は、この法律の規定による都道府県及び市町村の地域防災計画の作成及び実施が円滑に行われるように、その所掌事務について、当該都道府県又は市町村に対し、勧告し、指導し、助言し、その他適切な措置をとらなければならない。

(都道府県の責務)

第四条  都道府県は、当該都道府県の地域並びに当該都道府県の住民の生命、身体及び財産を災害から保護するため、関係機関及び他の地方公共団体の協力を得て、当該都道府県の地域に係る防災に関する計画を作成し、及び法令に基づきこれを実施するとともに、その区域内の市町村及び指定地方公共機関が処理する防災に関する事務又は業務の実施を助け、かつ、その総合調整を行なう責務を有する。
 都道府県の機関は、その所掌事務を遂行するにあたつては、前項に規定する都道府県の責務は十分に果たされることとなるように、相互に協力しなければならない。

(市町村の責務)

第五条  市町村は、基礎的な地方公共団体として、当該市町村の地域並びに当該市町村の住民の生命、身体及び財産を災害から保護するため、関係機関及び他の地域公共団体の協力を得て、当該市町村の地域に係る防災に関する計画を作成し、及び法令に基づきこれを実施する責務を有する。
 市町村長は、前項の責務を遂行するため、消防機関、水防団等の組織の整備並びに当該市町村の区域内の公共的団体等の防災に関する組織及び住民の隣保協同の精神に基づく自発的な防災組織(第八条第二条において「自主防災組織」という。)の充実を図り、市町村の有するすべての機能を十分に発揮するように努めなければならない。
 消防機関、水防団その他の市町村の機関は、その所掌事務を遂行するにあたつては、第一項に規定する市町村の責務が十分に果たされることとなるように、相互に協力しなければならない。(平七法一三二・一部改正)

(地方公共団体相互の協力)

第五条の二  地方公共団体は、第四条第一項及び前条第一項に規定する責務を十分に果たすため必要があるときは、相互に協力するように努めなければならない。
(平七法一三二・追加)

(指定公共機関及び指定地方公共機関の責務)

第六条  指定公共機関及び指定地方公共機関は、その業務に係る防災に関する計画を作成し、及び法令に基づきこれを実施するとともに、この法律の規定による国、都道府県及び市町村の防災計画の作成及び実施が円滑に行なわれるように、その業務について、当該都道府県又は市町村に対し、協力する責務を有する。
 指定公共機関及び指定地方公共機関は、その業務の公共性又は公益性にかんがみ、それぞれその業務を通じて防災に寄与しなければならない。

(住民等の責務)

第七条  地方公共団体の区域内の公共的団体、防災上重要な施設の管理者その他法令の規定による防災に関する責務を有する者は、法令又は地域防災計画の定めるところにより、誠実にその責務を果たさなければならない。
 前項に規定するもののほか、地方公共団体の住民は、自ら災害に備えるための手段を講ずるとともに、自発的な防災活動に参加する等防災に寄与するように努めなければならない。(平七法一三二・一部改正)

(施策における防災上の配慮等)

第八条  国及び地方公共団体は、その施策が、直接的なものであると間接的なものであるとを問わず、一体として国土並びに国民の生命、身体及び財産の災害をなくすることに寄与することとなるように意を用いなければならない。
 国及び地方公共団体は、災害の発生を予防し、又は災害の拡大を防止するため、特に次に掲げる事項の実施に努めなければならない。
一 災害及び災害の防止に関する科学的研究とその成果の実現に関する事項
二 治山、治水その他の国土の保全に関する事項
三 建物の不燃堅牢化その他都市の防災構造の改善に関する事項
四 交通、情報通信等の都市機能の集積に対応する防災対策に関する事項
五 防災上必要な気象、地象及び水象の観測、予報、情報その他の業務に関する施設及び組織並びに防災上必要な通信に関する施設及び組織の整備に関する事項
六 災害の予報及び警報の改善に関する事項
七 地震予知情報(大規模地震対策特別措置法(昭和五十三年法律第七十三号)第二条第三号の地震予知情報をいう。)を周知させるための方法の改善に関する事項
八 気象観測網の充実についての国際的協力に関する事項
九 台風に対する人為的調節その他防災上必要な研究、観測及び情報交換についての国際的協力に関する事項
十 火山現象等による長期的災害に対する対策に関する事項
十一 水防、消防、救助その他災害応急措置に関する施設及び組織の整備に関する事項
十二 地方公共団体の相互応援に関する協定の締結に関する事項
十三 自主防災組織の育成、ボランティアによる防災活動の環境の整備その他国民の自発的な防災活動の促進に関する事項
十四 高齢者、障害者、乳幼児等特に配慮を要する者に対する防災上必要な措置に関する事項
十五 海外からの防災に関する支援の受入れに関する事項
十六 被災者に対する的確な情報提供に関する事項
十七 防災上必要な教育及び訓練に関する事項
十八 防災思想の普及に関する事項
 国及び地方公共団体は、災害が発生したときは、すみやかに、施設の復旧と被災者の援護を図り、災害からの復興に努めなければならない。
(昭四四法三八・昭五三法七三・平七法一三二・一部改正)

(政府の措置及び国会に対する報告)

第九条  政府は、この法律の目的を達成するため必要な法制上、財政上及び金融上の措置を講じなければならない。
 政府は、毎年、政令で定めるところにより、防災に関する計画及び防災に関してとつた措置の概況を国会に報告しなければならない。

(他の法律との関係)

第十条  防災に関する事務の処理については、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、この法律の定めるところによる。

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