【平成16年に発生した風水害教訓情報資料集の概要】
災害から教訓を得て今後に生かすためには、まず、実際にどのような事態が発生し、それに対してどのような対応が取られたのか、また、どのような課題があったのか等について把握し、理解することが必要である。
平成16年(2004年)に発生した風水害については、政府機関をはじめ地方公共団体などが災害の情報や、その際にとられた事前の警戒体制、救援・救助及び復旧に向けた対応についての情報を文献等により発信している。本教訓情報は、近年では最も被害の大きかった平成16年に発生した新潟・福島豪雨から台風第23号までの風水害ごとに、文献などから収集し、理解し易いかたちで整理し、取りまとめたものである。
具体的な編集方針は以下のとおりである。
- 教訓情報の範囲は、風水害発生の原因である台風などの気象状況から風水害の被害発生期、応急対応期さらに復旧・復興に至る過程全般を対象としている。
- 教訓情報は公的記録、学術論文、専門雑誌、一般雑誌、一般書新聞その他の文献の形をとっているものから収集した。
- 人名の取り扱いについては、原則として、民間人については匿名(○○○○さん等)とし、公務員及び学識経験者についてはそのまま記載した。
- 教訓情報の記述例は次に示すとおりである。
階層式の記述例
階 層 記 述 例 期 第1期 台風第16号について 中分類 1-1. 発生から消滅まで 小分類 1.台風第16号の発生 教訓情報 01.台風第16号は、平成16年8月19日21時にマーシャル諸島近海で発生した。 参考文献 ◆8月19日21時にマーシャル諸島近海で発生した台風第16号は、23日にサイパン島の西で大型で猛烈な勢力となった。27日以降、日本の南海上をゆっくりと北西に進み、29日夜には九州の南海上で進路を北向きに変え、30日09時半頃、鹿児島県串木野市付近に大型で強い勢力で上陸し、九州を縦断した。17時過ぎ、山口県防府市付近に再上陸した後、中国地方から能登沖を、次第に速度を速めて強い勢力のまま北東に進んだ。その後やや勢力を弱め、31日に津軽海峡を通って、14時過ぎ、北海道苫小牧市付近に上陸した。台風は、21時にオホーツク海で温帯低気圧となった。[『災害時自然現象報告書 2004年第2号』気象庁(2004/9),P.1]
◆:教訓情報の出典の文献紹介(抜書引用)、◇:教訓情報の出典の文献紹介(参考要旨引用)をそれぞれ意味する。
- 教訓情報の全体構成は、風水害毎に、第1期の対象とする風水害の原因となる気象状況の概要を含め大きく5つのフェーズに分けてあり、具体的区分は次のとおりである。 ※風水害の内容により、違いがあるが、次に示すのは「台風第23号」のケースである。
第1期 台風第23号について
1-1.発生から消滅まで
1.台風第23号の発生
2.台風第23号から温帯低気圧への変化
1-2.台風の勢力
1.降雨の状況
2.暴風の状況
第2期 事前対応期
2-1.各種予警報等の発表状況
1.気象情報の発表状況
2-2.警戒体制について
1.警戒体制
2.避難状況
第3期 被害発生期
3-1.全国の被害の概要
1.人的被害および住家被害
2.ライフラインの被害
3.交通機関の被害
4.農林水産業関連の被害
5.公共施設等の被害
6.国土の被害
3-2.各地の被害の詳細
1.各地のライフラインへの被害
2.各地の農林水産業関連の被害
第4期 応急対応期
4-1.救援・救助活動の概要
1.災害応急体制の整備
2.自衛隊等への派遣要請
3.広域応援
第5期 復旧・復興期
5-1.政府の対応
1.総務省の対応
2.財務省の対応
3.文部科学省の対応
4.厚生労働省の対応
5.農林水産省の対応
6.経済産業省の対応
7.中小企業庁の対応
8.内閣府の対応
9.政府の対応
5-2.自治体の対応
1.岐阜県の対応
2.京都府の対応
3.兵庫県の対応
4.徳島県の対応
5.香川県の対応
6.宮崎県の対応
5-3.その他の機関の対応
1.日本赤十字社の対応
2.農林漁業金融公庫の対応
3.ボランティア活動