要援護者に配慮した自主防災組織の活性化(減災への取組)

要援護者に配慮した自主防災組織の活性化【長野県松本市】

特徴

  • 1. モデル地区における集中した事業の実施、及び他地区への成果の普及という、ステップを踏んだ自主防災組織の活性化に取り組んでいる。

  • 2. 行政内部を含め、「防災と福祉」の相互連携を重視した体制づくりを進めている。

概要

長野県松本市では、地域防災力の強化を図るため、災害時要援護者に配慮し、福祉と連携した減災活動の推進に向けた自主防災組織の活性化を図っている。

具体的には、モデル地区を指定したうえで、防災に関する住民意識調査による実態の把握、防災セミナー・研修の開催、住民主体による自主避難・避難所自治運営訓練等を集中的・継続的に実施するとともに、モデル地区の成果を活かし、徐々に市全域への普及・拡大を進めている。

里山辺地区避難訓練 安原地区避難所運営訓練
城北地区要援護者カード集め 芳川地区防災講座

目的

  • 1. 災害からの被害を少しでも減らすためには、日頃から自助・共助を育みながら公助との役割分担をした地域コミュニティーの活性化を図り、地域防災力を高めておく必要がある。

  • 2. 高齢者や障害者等災害時要援護者に配慮しつつ「市民協働で災害に強いまちづくり」の実現を図る。

経緯及び活動状況

  • 1. 長野県松本市では、1982年以来、町会組織を単位とした自主防災組織の育成に取り組んできたが、被災経験の乏しさからか、住民の防災に関する意識は低く、せっかく結成された自主防災組織の活動も低調な状況であった。また、市町村合併したこともあり、2006年現在の自主防災組織の組織率は、全体の73%にとどまっている。

  • 2. そのため、危機管理を重要施策の一つに掲げる菅谷市政の誕生した2004年度より、地域防災力の強化による、災害に強いまちづくりを進めるための「自主防災組織活性化支援事業」等を実施している。各年度の主な実施内容は、以下のとおり。

    • (1)2004年度

      • 「先進事例創出事業」として、市内の3地区(城北、里山辺、本郷)をモデル地区に指定し、災害に対する不安の有無、災害に対する備えの現状、自主防災活動に対する認識と意欲などを確認する、防災に関する意識調査の実施
      • 市民防災セミナーや市役所職員に対する防災研修の開催
      • 活断層や土砂災害危険箇所等を記載した「防災マップ」の作成、全世帯への配布
    • (2)2005年度

      • 重点方針は、「災害時要援護者に配慮し、福祉と連携した減災活動の推進」
      • モデル3地区における「先進事例創出事業」の継続実施
      • (各地区の事業概要)
      • 城北地区 : 要援護者登録カードの作成と配布
      • 里山辺地区 : 要援護者に配慮した自主避難と避難所での自治運営訓練の実践
      • 本郷地区 : 要援護者に配慮した災害時の連絡網の整備と支援体制の検討
      • 民生児童委員等福祉関係に従事する住民を対象とする市民防災セミナーの開催
      • 福祉部局や公民館との共催による「福祉と防災のまちづくり」市民シンポジウムの開催
      • 自主防災組織の活性化に向けた行政支援プランの策定
    • (3)2006年度

      • 重点活動は、「様々な資源を生かし、福祉と連携した減災活動の推進」
      • 行政内部における部局横断的な支援組織として、地域福祉の推進拠点である「福祉ひろば」、地区公民館などの地域関係課及び防災、福祉などの事業関係課から成る「地域支援プロジェクトチーム」の設置
      • モデル3地区における「先進事例創出事業」を最終年度として実施
      • 新規3地区における自主防災組織活性化支援事業を要援護者支援プラン策定事業と合わせ実施 (講座名を「防災リーダー育成研修」から「防災と福祉のまちづくり講座」に変更)
      • 全市を対象とする、防災に関する意識調査の実施
      • 市民防災セミナーやシンポジウムの開催
  • 3. 3年間にわたるモデル事業や市民防災セミナーの開催などにより、事業参加者について、女性の参加と若返りが目立つなどの効果があった。今後は、防災と福祉のまちづくりに向けた庁内連携のさらなる推進を図るとともに、2012年度までには、市内全34地区を対象に自主防災組織活性化支援事業を実施することとしている。

  • 4. 2007年度(平成19年度)以降の動き

    • (1)2007年度

      • 第2期モデル事業(2007年度~2009年度)を開始
        「子供の参加」「大学との連携」「事業所との連携」の3つのテーマで3地区を対象
      • 第1期推進事業(2006年度~2007年度)3地区、第2期推進事業(2007年度~2008年度)3地区、モデル事業と合わせ、9地区を対象に事業を実施
      • 長岡市山古志地区住民22名、輪島市門前地区住民16名の災害経験者が参加してのシンポジウム(防災と福祉のまちづくりシンポジウム)を開催
      • 「地域支援プロジェクトチーム」となる関係職員に委嘱状を交付し、部局間連携体制を更に強化
    地域支援体制概念図
    防災と福祉のまちづくりシンポジウム(2007年度)
    • (2)2008年度

      • 第2期モデル事業(2007年度~2009年度)、第2期推進事業(2007年度~2008年度)3地区、第3期推進事業(2008年度~2009年度)4地区、合計10地区を対象に事業を実施
      • 災害時要援護者支援プランの作成と災害時(等)要援護者登録制度の制度づくり
    防災と福祉のシンポジウム(2008年度)
団体名 長野県松本市
連絡先 住所 〒390-0815 長野県松本市深志3丁目10-1
担当 総務部 総合防災課
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