東日本大震災(平成23年3月)
「ガッツガッツ!」防潮堤にぶつかる船の音聞き、津波をイメージ~冷静な判断が作業員の命救う~
(宮古市 30代 男性 建設会社社員)
地震発生当時、海の近くで交通規制を敷き、道路の舗装をしていた現場がありました。
もともと交通量の多い道路を交通規制していたので、作業員はよほどのことがないかぎりその場を離れることはしません。でも、係留されている船が防潮堤にぶつかる音や、船同士がぶつかり合う音を聞いて、直感的に「これは、大変だ」と感じた人間が「逃げろ!」と叫んだため、作業員は一斉に海と反対側の小高い場所に駆け上がり、全員無事に避難することができました。
防潮堤を越えた津波は、バアッと平地の方に広がって徐々に増えていく感じになりましたから、防潮堤のお陰で少しは時間が稼げた、なかったらアウトだったかもしれないなと思います。
あとで現場のビデオを観ると、確かにガッツガッツという音が入っていました。しかし、防潮堤の内側で作業している者からは海そのものが見えません。音だけで津波をイメージできたこと、音を聞き分ける冷静な判断が何十人もの命を救ったんです。
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